【公務員試験】国税専門官になろう! その3 〜職場の雰囲気・キャリアとノンキャリア〜
国税専門官を考えている方向けの記事ですが、税務署や国税組織に興味があるという人もお読みいただければと思います。
前回は仕事の内容等をご紹介しました。
今回は、職場の雰囲気です。なろう!とは言いつつ、今回はネガティブな話が多いです…。
採用区分
国税組織には、大卒対象の国税専門官試験採用者だけではなく、国家総合職で財務省に採用された人(省キャリ)及び国税庁に採用された人(庁キャリ)や高卒区分の税務職員採用試験で採用された人(普通科)がいます。
普通科とは税務大学校普通科課程のことで、高卒区分では採用後1年間、この研修を受けることになるため、高卒区分で採用された人のことを普通科の人、又は単に"普通科"と呼びます。この対比で国税専門官試験採用者のことを専科の人、又は単に"専科"と呼びます。
そして、普通科○期、専科○期という形で、人事上の管理を行っています。例えば、出世の速い人の噂をするとき、専科○期で統括官発令があった、などと使います。また、先輩後輩の上下関係を手っ取り早く確認するため、自己紹介で普通科○期です、専科○期です、と関係者に伝えることが慣例となっています。縦社会の人間は、自分が上か下か分からないと不安になるものです(笑)
さて、採用区分で出世に違いがあるか、ですね。国税組織の頂点、国税庁長官は財務省のナンバー2のポストですから、当然省キャリが就任します。これに続く国税庁次長や各部の部長も省キャリで占められていますし、東京国税局長等の都市部の国税局長も省キャリが就任します。庁キャリは田舎の国税局長が最高ランクで、本庁課長より上はなかなか難しいところです。そういう意味では本当のキャリア組ではなく、準キャリアと見る向きもありますし、東大生の人気もありません。
そうはいっても、庁キャリが全国5万人の兵隊を束ねるキャリア組なのは間違いありません。庁キャリの採用数は毎年一桁台ですが、専科・普通科(ノンキャリア)の採用数は合わせて2000人近くになります(年度により異なります)。庁キャリは、30歳くらいで地方の国税局の課長に就任しますが、ノンキャリアは40代・50代でもその部下というのが当たり前です。13年目には、田舎とはいえ、税務署長にも就任します。ノンキャリアのおじさんの中には、自分の出世のために、キャリアに対してペコペコする人も多いです。つまり、庁キャリでもメチャクチャ承認欲求が満たされます。
これは、当の庁キャリの人たちも自覚しています。学生の方は、試しに国税庁の説明会に参加してみて下さい。俺たちは5万人の職員のマネジメントをしていると真面目な顔で語っていますよ。筆者も旧国1合格者なので、実際に説明会に参加してこの言葉を聞いていました。
また、筆者は会計検査院の課長補佐級調査官(=国税局では課長クラス)でもありましたが、こんなに偉そうな立場ではありませんでした。ピラミッド組織の上澄みがいかに特権階級か物語っています。
ここまでのキャリアの話で、国税専門官を志望している人はゲンナリしたかもしれません。でも、安心してください。キャリアは本当に上澄みだけなので、ほとんどの職員は、キャリア・ノンキャリアを意識せずに働いています。それよりも深刻(?)なのは、大卒と高卒の確執です。
専科と普通科
出世の話をします。ルール上は、専科がやや優遇されていますが、運用上は、ほとんど変わりません。一部の他省庁ではあり得ないことです。会計検査院では、高卒区分は、明確に庶務担当として採用しており、国家一般職の大卒区分よりも出世できないことが最初から決まっています(出世したかったら大卒区分に合格して任用替えを狙えばよい)。
この点、一部の専科は不満に思っていますし、逆に普通科の中には、有名大学まで出たのに高卒の俺たちと同じ仕事・給料、と専科を馬鹿にしている人もいます。専科の若手だけで飲み会をすると、この手の話になることもあるので、決して極小数の変な人が思っているということではありません。5ちゃんねるの"若手国税専門官"スレでも散々書かれています。筆者が駆け出しのときにpart1を立てたのですが、15年以上も続いています(笑)
仕事をしている時は、皆んな感情を表に出すことはありませんが、内心複雑な気持ちの専科は多いと思います。
筆者も世間的には難関大卒なので、全く気にならないといったら嘘になりますね。努力は正当に評価してもらいたいって気持ち、何にもおかしくないと思います。
ということで、ここに引っ掛かりのある人は、同じ公務員でも、高卒と明確に区別のある役所を選んだ方が良いです。会計検査院は超おすすめです。
ただ、何だかんだ折り合いをつけてやっている人がほとんどなので、専科と普通科の差がないことが不満で辞める人は滅多にいません。
筆者は、普通科の粗暴な先輩が大嫌いでしたが、一方で、仕事を丁寧に教えてくれる普通科の先輩もいたので、何とかやれてました。概して専科の先輩の方が優しい人が多いですが、専科・普通科の区分に関係なく、頼れる先輩を見つけるのが長続きするポイントかもしれません。
筆者が長続きしなかったのは、単に公認会計士試験に受かって、もっと年収を上げたかっただけです(笑)
誤解のないように書いておきますが、筆者は高卒に偏見を持っているわけではありません。普通科の後輩に付きっきりで仕事を教えていましたし、あくまで国税の職場での対立構造(?)を説明しているだけです。どちらかというと、仕事で結果出せばどうでもいいでしょって立場です。
その3のおわりに
今回はネガティブな話が多くてすみません。採用されてから、思ってたのと違うってことがないように記事にしたつもりです。逆に採用後に拍子抜けしてもらえたら大成功です(笑) 仕事内容は面白いので、総合的に見て職業としては魅力的だと思ってます。次回もお楽しみに!
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