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ミナトホテルの裏庭には

ホテル好きなのかもしれません。いや、かもしれないではなくて…好きなのだと最近はっきりとわかってきました。それは、「あの人のこと、気になる…好きかもしれない」と、ぼんやり感じていたことが、何かのきっかけで「あっ!好きだ!」とピンっ!とくる感度に、ちょっと似ているのかもしれません。そして、一度そのことを明確に受け止めてしまうと、もう好きだ!が止められないような…感情とは気付きの継続なのでしょうか。

私がそれと気付いてしまったのは、実はこのnoteのおかげ?!マガジンでホテルレポートでもまとめていこうかなぁ。とチラホラを書き始めたら、色々なホテルでの時間が思い出され、その時の光景が鮮明に蘇り、一つ一つが私の記憶の中で短編小説のようになるのです。多分、私は仕事柄?!空間に対する思い入れも強いので、一つの空間から与えられる情報と感情が大きいのだと感じます。だから、例え1日宿泊しただけでも、3日分くらいの濃度で過ごす…のかもしれません。

実際に、せっかく素敵なホテルにステイしてても…長時間は眠っていません、眠れないのです。時差のせいもあるけれど、現地時間の朝4時から5時くらいに起きてしまうのです。そして朝食までの朝時間も楽しみます。静かな朝から、陽が昇り知らない街が動き出していく感じも好きなのです。普段の生活では、そんな風にじっくりとした朝を過ごしてもいられない。ホテルならではの朝タイムが楽しくて目覚めてしまうのです。その分、夜は電池が切れてしまうようにスコーンと眠ってしまう。携帯のアラームセットやモーニングコールをお願いするので、そうだ!ホテルではこのモーニングコールも気に入っている。たいてい既に起きているけれど、誰かが必ず起こしてくれる。という他人任せな…子供の頃のような安心感が短時間でも深く眠らせてくれるのかもしれない。

さて。そんな風に「あの人が好き」と気が付いてしまった私、そういえば、将来的、と言ってももう十分に大人だし、一般的な将来には到達しているのだと知ってもいるけれど、それでもやはり将来の夢は?と、問われることがあるのなら…

ホテルを作りたい

あぁ。告白してしまいました。そう言えば、そうだった。私は昔から実は漠然とだけれど、好きだったのだ!そうか…だから、今ここでお仕事をしているのだな。なぜなら、ここは住宅だけれど、日本で一番(たぶん)「ホテルに近い注文住宅をデザインできるところ」と思われる。(宣伝ではありません!)実際のお施主様の多くが、「ホテルみたいな家にしたい!」とオーダーされる…本来なら、住宅とホテルは日常と非日常のように相反するところもあるから、要素のバランスがむずかしくもあります。

仮にデザイン様式として、「北欧風にしたい」というのであれば、十分に北欧テイストを目指した「住宅」にすれば良いのですが、「ホテルみたいにしたい」場合、ホテルへすればするほど、「住宅とかけ離れていかざるを得ないライン」をどこで線引きしていくか?もはや、「ホテルで暮らす」に寄せつつ日常へ展開するなどしながら、デザインしていきます。

そして、私の「ホテル・プロジェクト」への思いは、単にホテル空間をデザインしたり監修したり、オーナーになりたいとか、そうした商業目的というよりも、その必要な時間をそこで過ごすための徹底的な空間構成とそこで生まれる時間と、それを経たビジターのエッセンスになってくれたら、いいなぁ。そんな気持ちなのです。だから、夢のような時間を過ごして、本当にリフレッシュして…元気のチャージになれるような…ホテルを作りたい!

と、いうことで。前置きが大変長くなりましたが、今回書こうと思っていたのは、本を読んだお話しでした!私は実は本を読むのも好きなので、本屋さんも大好きです。ネットで本を買うよりも、本屋さんをウロウロして「光っている本」と出会うことを楽しみにしています。何でしょうね…多くの本の中から、「これだよ!」って本からアピール光線感じちゃうというか、光って見えるみたいに?

そして、今回出会った本が「ミナトホテルの裏庭には」。(もしかしたら無意識に「ホテル」というワードの題名が今の私に光ってきたのかもしれません)あまり書いちゃうとネタバレしてしまうので、内容には極力ふれませんが…古くからあるホテルを舞台としたお話しの展開で、人との関わりの感じがほんわりしている←ほっこりではないのです。私自身、あまりウエットな感情は好まず、どちらかといえばドライ派…?そもそも、感情のウエットとドライってどういうことだ?と気になり、自分の中でまず整理。ふむふむしっくりくる言葉を見つけました「ウエットな関係より、ドライな関係を。誰にも支配されず、誰も支配しないこと」(※新・魔法の言葉より)

話を戻して…そうなのです!ホテルでは正に「誰にも支配されず、誰も支配しない…ニュートラルな空間が維持されている」から、そこで過ごす人次第でそれぞれの時間やストーリーが生まれるんですよ!!ってホテルの話にいっていますが?!大丈夫、この本の話もズバリはそうした感じと、更にはホテルそのものの存続と背景のストーリーもあるから、そのリンク具合も興味深いのです。そして、色々な側面からの感情表現があり、何でしょう。自分側だけの意見ではなく「そっち側」の気持ちの幅も大きく感じられます。

そして、やっぱりホテルっていいなぁ。こういうホテル…それは建物としてだけではなく空間の存続意味みたいなところが、将来的に私が創っていきたいと考えている「場」なのかも。私の予想では、これはきっと映画化すると思います。何となくその映像が私の中では見えている、キャステイングも。けど三谷監督ではないでお願いしたいかな(個人的には)…一見ぴったりそうだけれど、実はもっとヒューマンストリーとして、静かにじっくり、そう音楽は極力少なめ、BGMがなくてドアや窓の開く音。階段を上がる足音。呼び出しベルが響く…そんな無音楽にリアルな音が淡々としていて、言葉少ない会話のポツリポツリが余韻を持って交わされていくイメージなのです。

クラシカルでしっとりと、ひっそりとしたホテル。ミナトホテルもデザインしますよ〜まだ未定の映画監督さま!素敵な映画を楽しみにしています。…最後にちょっとだけ気になる。何故に題名が「ミナトホテル」だけでなくて「ミナトホテルの裏庭」でもなくて「ミナトホテルの裏庭には」となっているところ…にわには??と韻を踏んでいる。

確かに「ミナトホテル」だけでは物件名(建築的解釈)。「ミナトホテルの裏庭」は場所の特定。そして最後に「には」が入って、何なに??、何があるの?という想像と好奇心を掻き立てられます。言葉って面白いともしみじみ感じます。さて、次は何を読もう。どこへ行こうか。

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