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『学校がうまくいっているというのはどういうことか?』

抄録 / Abstract: 『学校がうまくいっているというのはどういうことか?』


アイズナーは、『学校がうまくいっているというのはどういうことか』(Eisner, E. 2001)と題した論文の中で多くの疑問を投げかけている。いくつかの質問には答えがあるのですが、多くの場合、答えがないままになっています。
学校がうまくいっているというのはどういう意味か?本面は、「答えのない」質問のうち3つを取り上げた内容でお届けしたいと思います。

要素1 / Trait 1: 『学校がうまくいっている要素1=評価・テストのやり方』


学習者は自分の学習、テスト、評価や採点基準の作成などに参加するべきか?
私の答えは「Yes」です。まず、評価の目的は、自分が学んだことを共有したり発表することにあります。それには、学習活動に慣れるために、知識に関するデータを収集し解釈することも含まれます。これは、学習者が学習プロセスの様々な段階で何を理解し、何を知っていて、何ができるかを学習者本人と教員、保護者などが認識するものです。この目的を達成するための効率的な評価は、教育を構成するものとそれを維持する方法を認識するための重要なデータを提示し、すべての学習メンバーにとって意義のあるものである必要があります。学習者は、評価に取り組み、効果的なフィードバックを共有ことで、十分な自己管理能力を持った学習者となることができます。これは、彼らが自分の進歩について考え、学習の目標を設定し、その目標を達成するために何をすべきかを決定することを促すものになります。

そのためには、彼らの学習成果物(テストや作成した作品など)を共同で評価する必要があります。教師が、自分の学習について考え、どのように変更を加えるかについて様々な実践を行うことで、学習者は評価能力を身につけることができます。学習を説明し、証明し、評価するために、生徒は教師と協力して自分の目標と成功基準を作り、自分の学習を振り返り、次のステップを計画するメタ認知能力を向上させることによって、評価能力を発揮することができるようになります。(IBO、2018年)
学習者と教師は、"そもそも学習目標はなんなのか?"、"そこに到達するために何が必要なのか? "という問いをシェアできるようにするために、自分で学習目標を設定する必要があります。これらは個人に合わせたものであることが理想であり、新しく学ぶ知識を事前に学んだ知識と結びつけるものである。学習目標は、学習プロセスを通じて再確認し、評価する必要があります。私のクラスでは、個人学習目標は、指導者、生徒、その家族にとって学習を透明化し、達成すべき知識について共通の理解を深め、生徒が自分の学習に主体性を持つように促すことで、高い期待を抱かせることをサポートしています。

要素2 / Trait 2:『学校がうまくいっている要素2=学習者の主体性』


学習者は”自分が”重要だと思う問題や学習課題を通して学習を進めることができているか。(Eisner, E. 2001)
私の探究型学習のクラスでは、学習者はあらゆる探究のプロセスにおいて、協働で学び、探究しています。各学習者の熱意と目的を組み合わせた探究過程は、学習者の声、選択、オーナーシップを通じて学習者の学びを最大化できます。(IBO, 2018)教師と学習者は、規定の学習目標に合った、学習者の興味や意見、クラスの文化や文脈に対応してりる学び方や教材などのリソースを通じて、協働で学習をデザインすることが大切です。
学習のプロセスを通じて、学習者は現在の認識から新しい、より深い認識へと進んでいくことができる。このプロセスには、探究、疑問、質問、実験、可能性の分析と追及、以前の学習と現在の学習との関連づけ、予測を立て、何が起こるか確かめるために意図的に行動すること、などが含まれます。また、データを収集し結果を報告すること、概念を適用して概念的な理解を深めること、さまざまな方法で問題を解決することも含まれます。(Audet, RH. 2005)教師は、学習者の探究心を、パーソナライズされた学習体験から、協力的で協働構築的な体験へと導苦ことをサポートする必要があります。また、学習者が教えを受ける立場から、意味を構築する積極的なパートナーとしての立場へと転進させる必要があります。

要素 3 / Trait 3:『学校がうまくいっている要素3=保護者と学習コミュニティー』


学校の質を向上させるために、各保護者や家庭の信念や理念を学校は聞き入れるべきか?(Eisner, E. 2001)
私の答えは「イエス」です。学習コミュニティは、学習文化を確立するための鍵です。学校コミュニティーは、学習がすべての構成員に個別にも全体にも利益をもたらす共同体であることを理解する必要があります。学校と保護者との連携は、学習者のためとなり、彼らが学校コミュニティに持ち込む意見には感謝しなくてはなりません。学校でなされる判断を共有し、アイデアを交換し、R&Dし、学校の生活に積極的に連携を強めることによって、学びあいができる環境を整えることができます。家庭と学校のつながりは、学習と成長を促進するための鍵である。
例えば、学校は、以下のような形で保護者と交流できる。保護者会保護者ボランティアペアレントイブニング、保護者主導のイベント生徒主導の会議・報告会学習成果報告会学習者の学習日誌とポートフォリオ

結論 / Conclusion


『学校がうまくいっているというのはどういうことか?』(アイズナー, 2001)
この問いには万人に共通する答えはありません。だからこそ、自分で学び、自分の価値観と信念を見極め続けることが必要になっていくのではないでしょうか?

参考文献 / References


Audet, RH. 2005. “Inquiry: A continuum of ideas, issues, and practices”. In R Audet and L Jordan (Eds.), Integrating inquiry across the curriculum. Pp 5–16. Thousand Oaks, CA, USA. Corwin Press.
Eisner, E. (n.d.). What does it mean to say a school is doing well?. In Flinders, D. J., & Thornton, S. J. (Eds.), The Curriculum Studies Reader, Fourth Edition, pp.297-305. New York, NY: Routledge. https://chrisdavidcampbell.files.wordpress.com/2016/12/eisener-2001.pdf
© International Baccalaureate Organization. (2018). The Learning Community (A Community of Learners).
© International Baccalaureate Organization. (2018). Teaching and Learning (Assessment).

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