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環境問題を日本語のクラスで

こんばんは。今、メキシコは夜12時半です。

今日もなんだかんだでNoteを書き始めるのが遅くなってしまった。
もう少し早く始められたらと思ったのだが。

今日は前回の続きの投稿。

そのクラスで取り上げたことがあるアニメ映画というのは、

平成狸合戦ぽんぽこ

である。

スタジオジブリが1994年に制作したアニメ映画なのだが、去年うちの学校で一番上のクラスを担当することになり、日本語のクラスでジブリ映画を取り上げてみようという話になった。

というのも、そのクラスでは一通り文法の勉強を終え、ある程度の日本語力を持った学生が参加してくれるので、授業のカリキュラムは自分で一から作らなければならない。その時、僕は学生に日本語で環境問題について考えてもらいたかった。いろいろ悩んだあげく、ジブリ映画を取り上げることにした。

ぽんぽこはジブリ作品の中でもあまり人気がないような気がする。個人的には好きな作品の一つなのだが、クラスの最初に学生に見たことがあるかどうか聞いたが誰もいなかった。それよりよく名前が挙がるのは、もののけ姫や千と千尋の神隠しなどだった。

別にそれならそれで良かった。

そのほうが授業のし甲斐がある。

この作品の舞台は1970年代の東京。高度経済成長でどんどん人が住むようになったころの東京で、多摩ニュータウン計画と呼ばれる都市開発によって自分の住む森を人間たちに奪われたたぬきたちが自分たちの力を見せつけ、都市開発を止めさせようとする話だ。変身術を使って何とかしようと奮闘するも、結局すべて失敗に終わってしまう。その結果、人間に姿を変えることができるたぬきは人間と暮らすようになり、そうでないたぬきたちは住処を移りながらも森に残ることを選ぶ。

だいぶ端折ってしまったが、あらすじはこんな感じだ。

これは子供向けのファンタジー映画なのだが、舞台が高度経済成長期の東京というところにとてもリアリティーを感じる。

そして、環境問題という視点で見ると、いろいろな見方ができておもしろい。

まず、たぬきは人間に住処を奪われた気の毒な存在。それをした人間は欲張りで悪い存在。

そういう風に最初見える。

しかし、そんなに単純ではない。

物語の序盤、都市開発を止めさせようと目論むたぬきたちは、建設中のトラックが通りかかるとこるに罠をしかけ、崖から転落させる。そして、乗っていた運転手が亡くなり、それをテレビで見ていたたぬきたちが自分たちの勝利を祝って飲めや歌えやのどんちゃん騒ぎをする。

そういうシーンがある。

すると、どうだろう。今まで気の毒でかわいいそうなたぬきたちが急に悪いやつに見えてくる。

つまり、どちらが良いとか悪いとかいう二元論は状況や立場によって入れ替わることがあり、一つの物事の中にはどちらも存在している。

そういうことが言いたいのではないだろうか。

もう一つこの映画で好きなところがある。

物語の終盤。人間と一緒に暮らすようになったたぬきと森でひっそりと暮らしていくたぬきたち、それぞれの暮らしを描いているシーンだ。実は人間に変身できるたぬきも栄養ドリンクを定期的に飲まないと、たぬきに戻ってしまうらしい。こどものころは、ただ笑って見過ごしていたが、去年クラスのために見返していて、何か無理をしているように見えた。

そしてはっと気づいたことがある。

ずっと主人公はたぬきだから、

これはたぬきの森をこれ以上壊さないためにみんなで森を守りましょう。ごみをこれ以上増やさないようにしましょう。

ずっとそういうメッセージがあるんだとばかり思っていたが、それは違う。

これは私たち人間の物語なのである。

人間界で無理をして生きているたぬき、それは田舎から東京に出てきたけど、生活に追われ、仕事に追われ、栄養ドリンクを飲む日々を送っている私たち人間だったのである。田舎で自然に囲まれた暮らしをしていれば、体にあまり良くない栄養ドリンクなんか飲まなくてもよかったのに。

なぜかそういう風に見えた。

そして、そのシーンが一緒に暮らしている猫5匹と重なった。本当は自然の中で暮らしていたはずの彼らが人間と暮らすようになり、そのために人工的に作られたえさを食べさせられ、避妊や去勢といったある意味では虐待に当たることをさせられてしまった。

人間と一緒に暮らし続けるために。ただそれだけのために。

そう思うと、簡単に「かわいいかわいい」と思えなくなってしまった。

最後に、クラスで学生に投げかけた質問をみなさんにもしたい。

ペットとして飼っている動物は人間と共存していると言えますか。


もしこれを読んでいただけたら、ぜひコメントに書いていただけると嬉しいです。今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。





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