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僕のメキシコ生活④ ~まだできないこと~

こんばんは。今、メキシコのグアダラハラは夜12時です。

先週からメキシコでの仕事や生活のことについて書いています。
もしよろしければ、先週の金曜日に出した投稿から順番に読んでいただけると嬉しいです。


僕が働いている学校は1年が3つの学期に分かれていて、毎学期ごとに新しい学生が入ってくる。だいたい100人くらいの学生がうちの学校で日本語を勉強し始めるわけだ。そして、毎学期ごとに担当するクラスも変わる。

だいたい毎学期ごとに50人くらいは新しい学生と知り合っていると思う。

そうすると、1年で150人3年で450人くらいの学生に日本語を教えてきた計算になる。

いろんなバックグラウンドを持った学生がやって来る。

僕が勤めている学校では13歳から入学が許されるので、13歳の中学生もいれば、高校生や大学生の子もいるし、社会人やもうリタイアした人もいる。

僕はメキシコ人というと、パリピで騒がしくて、もっとイケイケ感じだと思っていた。いわゆるレゲトンのイメージだ。

しかしながら、僕が仕事を通して出会ってきたメキシコ人は、どこかちょっとコミュニケーションが苦手だったり、内向的で日本語が話せるようになりたいと思って勉強してるはずなのに、モジモジする人が多い。

なんだか見ていて、かわいらしい(笑)

でも、もちろんコミュニケーションが上手な学生も多い。

先週末、ある学生がヨガ教室に誘ってくれた。

彼はヨガのインストラクター。学生とその彼女が担当するお試しのクラスがあるというので、参加させてもらった。

僕は全くの初心者で、めちゃくちゃ自分の体が硬いことに気づき、いくつかのポーズができなかった。クラス中、横にいたその学生が

「先生、右手は上。左足はまっすぐ。」

などと日本語で教えてくれた。

いつもは学生として彼のことを見ていたが、なんだかとても頼もしく見えた。大半の学生がアニメやマンガがきっかけで日本語の勉強を始めるのだが、彼は日本の武道に興味があるそうで、柔道着を着てヨガ教室を開いていた。

インドと日本のコラボがメキシコのグアダラハラで実現したわけだ。

終わったあとに「今日はありがとう」とメッセージを送ったら、日本語でメッセージを返してくれた。自分の言いたいことを一生懸命に考えて送ってきてくれたそのメッセージは、多少間違いはあるものの、ちゃんと自分の思いを伝えようとしていた。

メキシコ人はとても人懐っこい。情に厚い。困ったことがあれば、かならず助けてくれる。人のつながりが強く、それゆえコネ社会であるとも言える。

それから、話好きな人が多い。とにかく人が集まると、話が長くて待たされることも多い。でも、やっぱり言葉で自分の思いを伝えることに長けているんだと思う。

どうしたらそんなに長く話していられるのだろうといつも感心してしまう。

日本ではよく他人に迷惑をかけないで生きていきなさいと教えられる。

自分で何でもできるようになりなさい。
他人の力を当てにしてはいけません。

確かに僕もそういう風に学校で教えてもらったような気がする。

だから、どうしても自分が困ってることを言い出せなかったり、他人に素直に頼れなかったりする。

でも、そんなに人間は強くないと思う。完璧な存在ではないことはみんな知っているはずだ。

メキシコで生活してると、誰かの助けを借りないとできないこともある。でも、実はそこにまだ抵抗がある。

例えば、自分の労働ビザの更新。2年前に更新したので、今年また更新しなければいけないのだが、誰かの手を借りないで自分の力ですることに意味があると思ってしまう。

他にも、銀行口座を開設したり、車の免許の手続きをしたりする時なんかも自分の力で何とかしたいと思っている。

しかしながら、同時にこう思うときもある。

時には誰かに甘えたっていい。
素直にSOSを出せばいい。
誰かが助けてくれると信じてもいい。

そう書くのは、まだ自分はどこか人に頼りたくない反面、そうなれたらいいなとも思っているからだ。

昨日は今住んでいる家の家主さんの誕生日だった。お昼ごはんを一緒に食べようと誘ってくれて、一緒にレストランへ行った。

メキシコでは誰かが誕生日の時によく歌うMAÑANITASという歌がある。
家主さんの彼氏がサプライズで用意して、ケーキが出てきた瞬間にお店の人が歌っていた。

彼女は63歳になった。

彼氏がおでこにキスをして、照れながらも嬉しそうにしていたの見て、自分はこんな63歳になれるのだろうかと思った。

あんなふうに誰かに甘えられるだろうか。
あんなふうに心を許せるだろうか。
あんなふうに誰かに頼れるだろうか。

うーん、自分にはまだできない…..

しかし、見ていてなんだかとてもほっこりとした気分になった。


これで今回のこの「僕のメキシコ生活」シリーズは終わりにしたいと思います。最後まで読んでくださってありがとうございました。


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