友達は少ないほうがいい
こんばんは。今、メキシコのグアダラハラは夜10時です。
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「友達は少ないほうがいい」
そう言ったのは、「今でしょ!」で一躍時の人となり、今ではすっかりお茶の間的な存在になった林修先生だ。
友達は少ないほうがいい….
みなさんは、友達が多いほうだろうか。それとも少ないほうだろうか。
僕はどちらかと言えば、後者だ。しかし、どこか「これでいいのかな」という不安を抱えながら、10代を過ごしていた。
小学校3年生の時、人生で初めての引っ越しを経験した。
と言っても、同じ県の市から市への移動なので、そんなに遠い引っ越しではなかった。もっと遠い引っ越しを30歳の時に経験している。
今、メキシコに住んでいるように。
両親の家族がより多く住んでいる町に引っ越してきてすぐ友達ができた。
僕よりも学校の近くに住んでいたAくんだ。
よく学校が終わってから遊びにいった。
僕はスーファミ世代なので、家でゲームをしたり、飼っていた犬と散歩したり、本当にいろいろなことをした。
しかし、4年生か5年生の時に突然Aくんは僕の前から姿を消した。
前の日まで一緒に遊んでいたので、とても信じられない出来事だった。
その時に思った。
いつか人との出会いには別れが来る
それは突然にやって来る
あとで知った。Aさんの家は経済的に不安定で、夜逃げしたそうだ。
しかし、その時ぐらいから僕は友達と呼べる存在がいなくなってしまった。
どうせ仲良くなっても、いつか僕の前からいなくなるのなら、最初からあまり仲良くしないほうがいい」
と自分の殻に閉じこもった。
その反動は大きく、
「誰にも自分を理解してもらわなくてもいい」
「理解してもらうほど僕は弱くない」
そうやって、中学、高校といろんな人間関係をうわべだけで過ごしてきた。
しかし、大学生になった時に、転機が訪れる。
僕は地元の私立大学に進学したのだが、そこで出会った群馬から来たMくんと仲良くなった。
いや、ちがう。
正しくはいつ仲良くなったかは分からない。
同じ学科でスペイン語を勉強した仲なのだが、1年生の時、学科のミニ旅行で三重県の志摩パルケエスパーニャに行ったときに初めて話した記憶がある。
もう細部は思い出せないが、なぜか彼は泣いていて、そのとなりで慰めてる自分がいた。
いつも一緒につるんでるという感じではなかったけど、なぜか自分に弱みを見せてくれた彼に親近感を抱いた。
そこから何かある時、一緒にお酒を吐くまで呑み、ノリで坊主にし、好きな音楽の話をした。彼はヒップホップが大好きで、よく
「これ最近聴いてるんさ~。」「このビートがいいんさ~」
と言っていた。
群馬の人はみんな「○○んさ~」って言うのだろうか。
その同時、僕はジャズしかほとんど聞かなかったから、いつも彼の話を右から左に流していたが、後になってヒップホップとジャズもルーツがとても似ていることを知った。
以来、自分もヒップホップを聞くようにしている。
大学を卒業して、彼は自転車で南米を縦断すると言って、日本を飛び出していった。
「すげー!アグレッシブなやつだな!」
自分も同じ年にカナダにいたが、同じように海外にいても、なぜか彼と比べて自分はとても劣等感を感じていた。
時々FBで近況を知らせてくれていたが、自分のしたいことにまっすぐで、
とても眩しい存在に思えた。
日本に帰ってきて、なんと彼は公務員になった。
「え!南米帰りのチャリ野郎が群馬で公務員?!」
一瞬びっくりしたが、意外と将来のことを見据えた堅実な判断だったのかもしれない。
その後、地元で結婚し、今では一児のパパになった。
結婚式にも呼んでくれて、Beginの三線の花を一緒に演奏したのを覚えている。
先日彼にメッセージを送ったら、
「家族と職場ばかりが世界になってしまってなかなか外に出ていけず、悔しい思いをするときもあるけど、今は家族を大切にしていこうと思っている」
と言っていた。
「Mくん、かっこいいじゃないか!チャリで南米を縦断したことがある群馬のパパで、そんなことが言えるやつは一体どれくらいいるんだろう!
今の自分を誇りに思ってほしいぞ!」
僕は彼のようにまだ家族を持ったことがない。
チャリで南米を縦断すると言って日本を飛び出していった時のように、
自分のまだしてないことにチャレンジしようとしてるその姿は、
今でも眩しい存在に思えた。
去年の帰国の折、2年ぶりに彼に会った。
1日だけだったが、実家に泊めてくれ、レコードが置いてある部屋に案内してくれた時に、Carol Kingの「You've got a friend」をかけてくれた。
友達は少ないほうがいい。
うん、それでいいのだと思う。
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