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チャールズ・ディケンズ 『クリスマス・キャロル』の感想|クリスマスのほのぼの作品だと思ったら、、、

今回はチャールズ・ディケンズの『クリスマス・キャロル』のブックレビューをお届けしていきます!

てっきり「どうせクリスマスを祝うキラキラ物語なんだろ〜」と思っていたのですが、想像以上に重く、多くのメッセージが込められている作品でした。

クリスマスのこの時期に、一度は読んでおきたい名作です!

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あらすじ

ケチで冷たくて人間嫌いな老人スクルージは、クリスマス・イブの夜、かつての仕事仲間であったマーレイの亡霊と対面する。

商売とお金にしか目がなかったマーレイは、自ら生きている時代につくり巻いたという鉄の鎖を身に纏い、スクルージに自らの後悔を告げる。そして、自分のようにはなるな、とこれから来る三人の幽霊たちがスクルージの心を入れ替えるだろうと告げ、消えてしまう。

かくしてスクルージは三人の幽霊たちに連れられ、クリスマスの中、一家で団欒の時を過ごす"あったかもしれない未来"、見知った人のクリスマスの光景、そして、このまま生きていったとしたらの"あるであろう未来"を見せられる。

その果てに、スクルージはどんな感情を手にするのか…。

感想

一年で最も、家族がともに過ごせる時間、大切な人と過ごせる時間。それが、クリスマス・イブとクリスマスだといっても過言ではありません。そんなクリスマスになんの価値も抱いていない、ネガティブに思っているほどの老人スクルージが、『クリスマス・キャロル』の主人公。

題名の有名さとその明るいイメージから、ずっと暖かな雰囲気で進むのかと思っていたら、、ずいぶんと心に刺さるお話でした

特に、人間関係にあまり価値を見出していない人にとっては、結構心にグサグサとくるんじゃないかな

「人と人とのつながり」だったり「人への献身」の大切さを「クリスマス」という最も伝えやすい舞台で伝えている、というのが、『クリスマス・キャロル』をもっともシンプルに表現した言葉だと思います。

その中に、人間どうしの関係性、普遍性みたいなものも織り交ぜていることで、"物語"というよりは"学び"や"自己啓発"に近い内容も多く感じられました。

いやしくも自分が身を置く小さな世界で、どんなことでも世の中の役に立ちたいと熱心な人がいるが、それを成し遂げるには人間の生涯はあまりにも短いのだ。また、どんなに後悔しても、人がいったん失った機会は二度と取り戻せないのだ。

とか、

彼はこの世では、何事でも善い事なら、必ず誰かしらに笑われるものだということをちゃんと知っていたし、またそういう人々は盲目だということを知っていたので、おかしそうに目元にしわをよせて笑えば、盲目という病気がいくぶんと目立たなくなるだけ結構と考えていた。

は、特に印象的なセリフです。

『クリスマス・キャロル』のまとめ

本自体は薄めですが、読み終えてみると「詰まっていたなぁ」という印象を受けました。

『クリスマス・キャロル』を読んでおいてお金の話はいかがなものかと思いますが、、それでも、このお値段でこれだけさまざまなことを感じられるというのは、本当に「本って、素晴らしいなぁ」と改めて感じさせてもくれました。

もちろん、クリスマス以外でも全然読める作品ですが、一度読めば「クリスマス"ごとに"読み直したい本」になること間違いなしです。

あるいは、普段本を読まない方でも、「クリスマスにこの作品を読んでみるか〜」とキッカケになるとても良い作品です。

ぜひお手に取ってみてくださいね!

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