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2023年8月の読書記録まとめ

みなさんこんにちは! 旅狼かいとです。

今回は少し遅くなってしまいましたが、2023年8月で読んだ本をまとめていきます!

8月月初〜中頃は仕事が多忙で、月末はその疲れが出てきてしまい体調を崩したという1ヶ月でした…。

ただ、月末の誕生日に鎌倉&江ノ島に一人旅をしたのが、かなり息抜きと気持ちの切り替えになりました。

ちなみに9月に入ってからはビジネス本熱がアツく、結構意識が変わりつつあるなと実感している今日この頃です。

①八月の銀の雪

Amazonプライムデーで、タイトルと表紙を見てジャケ買い。タイトル的に、8月に読みたいな〜と思っていた一冊。

読み終えて振り返って作品全体を見つつ解説を読むと、掲載の5篇はどれも「科学から人間性やひとの心に繋がっている」と言える。そしてその「科学」というが、地球科学と生物なのも何か意味を感じてしまった。有機的というか、意思を持っているように見えたり、人間の営みに密接に関わっている、みたいな。うまくいえないけれど。

それぞれのお話で、心の核、世界をありのままに受け入れる、自分の居場所、ありのままの自分、変わるものと変わらないもの、みたいなものを表現していると感じた。この世界と自分の繋がり、そして、自分自身について表現されていると言えるのかな。

解説にもあった通り、話自体に衝撃はないし、これらしい刺激もない。でもそこには“非日常な日常”があり、それを通じて主人公たちが穏やかに心に刺さるものを得ている。それが読者にも響くのではないかな。

おすすめ度:★★★★☆
作者:伊与原 新


②アリスとテレスのまぼろし工場

『あの花』の脚本を手がけた岡田麿里さんの作品。映画公開に先駆けて文庫化されたらしい、が。ここ最近深い作品を読んでいたからか、正直、しょーうじき、「こんなものか…」という残念な気持ちの方が強い

「どこにも行けない」という物理的に囚われたまぼろしの世界、でもそんな世界でも心は自由に生きていける。対して現実の世界は、どこにでもいけるが過去に心が囚われてしまっている。

この対比が描かれていたのはわかったし、響いたところもあった。でも、他の展開は、正直うーんと感じてしまう。ご都合主義、とまでは言わないけれど、筋が通っていないというか、お話がしっちゃかめっちゃかってかんじ。見た目は整然と並んで見えるけど、蓋を開けてみたら中はぐちゃぐちゃ、そんなかんじ。まあそういう意味では、アニメ映画でこれがどのように映像化されるのかが楽しみではある。

そう考えると、今まで読んでいた本たちが本当に良い本だったんだな、と改めて感じられもした。

とはいえ、劇場アニメは調べたらやっぱり気になる。キャスト豪華だしMAPPAの制作も注目ポイント。見には行くかな、そこでこの小説との違いを感じられることができたら嬉しいな。

おすすめ度:★★★☆☆
作者:岡田 麿里

『アリスとテレスのまぼろし工場』については、コチラのブログ記事でも詳しくレビューしています!


③invert 城塚翡翠倒叙集

一作目『medium』に比べると衝撃はない、正直。それでも「城塚翡翠シリーズ」のファンとしては純粋に楽しめた。感覚的には「ホームズの活躍を見たい」と思ってホームズシリーズを読む、みたいな感覚。

とはいえ最後の一作品は、俺も最初から“ちゃんと”騙されたなぁ。読み手さえも巻き込んでいくっていう推理小説はやっぱいいよね。

寝る前にちまちま読んでいたけれど、結局読む時は1時間半とか平気で読んでいたし、やっぱ推理小説は面白いなぁ、好きだなぁって感じさせてくれた一冊。

おすすめ度:★★★★☆
作者:相沢 沙呼


④テスカトリポカ

8月の本の中では一番衝撃的な一冊。Prime Dayの時のキャンペーンでタイトル買いし、久しぶりにKindleで読んだ。

最初はどんな話なのかと思っていたけれど、最終的な結末までしっかり流れていった印象だった。メキシコのカルテルのボスが日本に流れ着き、そこで、メキシコのカルテル戦争から逃れるために流れ着いた女の子供と出会う。2人は共通の故国をもち、ゆえにアステカで結び付けられていたが、最後には…。

言いたいこと、伝えたいことは物語の随所に見られるものであり、最後にドーンと結論のように描くわけではない作品だと思う。あくまで“物語としておもしろい”というのが軸というタイプ。それでいて、他にはない不思議な雰囲気、“何かが感じられそう”とずっと感じながら読んでいた。ナルコの話、アステカの話、臓器売買の話、殺し屋の話っていうかなり特殊な物語っていうのは影響しているだろうが、そんな“特異性”みたいなものも含めて、この作品の魅力だと思う。

この作品を「そりゃあ変わった作品だからね」と別枠扱いっていうのは違う。これを描ける、という時点ですでに評価対象。想像力がすごい。

ちょっと前の自分ならこういう作品は読まなかっただろうし、電子書籍という形では読まなかった。こういう自分の変化を感じさせてくれたのも、この本を個人的に評価したいポイント(これは完全にたまたまタイミングがあっただけだが…)。

ちなみに、2021年の直木賞受賞作ということは、このnoteを書いている時に知りました。笑

おすすめ度:★★★★★
作者:佐藤 究


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