小学生のころの夢
将来の夢ってみなさん何でしたか?
小学校5年生のときの私の夢は「リストラされずに、定年まで勤め上げること」でした。当時テレビでは、リストラされて借金を背負った人のエピソードばっかり流れていたので、それに影響されたのでしょう。
会社をクビになったら不幸な人生が待っている。脱サラしてら失敗して路頭に迷ってしまう。なんとか定年まで勤め上げたい。全力で後ろ向きな夢を語ったところ、現実的すぎて面白味がないと、同じく小学校5年生の友だちに苦笑されました。
この「リストラされたくない」「路頭に迷いたくない」という夢は、その後中学・高校・大学になるまで続きます。そして大学3年生になって、いざ就職活動がはじまろうとするときに、ふと、1つの不都合な真実に気づきました。
新卒入社も、定年まで40年もある。40年も潰れない会社なんて、この世に存在するのだろうか。銀行だって商社だって、今後どうなるかわからない。そもそもリストラされる前に、会社が潰れてしまっては元も子もない。どうしよう。リストラされると、路頭に迷ってしまう。リストラされなくて、会社が潰れれば同じく路頭に迷ってしまうだろう。どうすれば路頭に迷わずに済むのだろうか。
悩んだ挙げ句、私の出した答えはこのようなものでした。
「人間、路頭に迷うことは避けられない」
当時の私は、世間知らずもいいところ。今だと全くそんなことはないとわかるのですが、当時の私は真剣でした。
どの会社を選んでも40年以内のどこかで潰れ、私は路頭に迷うのだ。これが、私の決意を後押しさせました。「どうせ路頭に迷うなら、40代や50代で迷うよりも、20代のうちに迷うのが良いだろう」。
こう考えた結果、じゃあ20代で路頭に迷いそうな会社ってどこだろう、という問いから私の就職活動がはじまりました。
軸は3つ。1つはIT業界であること。ちょうどリーマンショックの直後で、どの業界も不景気にあえいでいる中、IT業界だけは伸びてました。つまり仕事の機会に恵まれているということ。
2つは、社員数が100人未満であること。100人未満であれば、社長との距離が比較的ちかい。伸びている会社の社長は優秀であるから、ポジティブな影響をもらえるのではないかと思っていました。
3つは、人の相性。1と2を満たしたうえで、あとはフィーリング。一緒に気持ちよく働けそうかどうかをチェックしていました。
「IT業界」「100人未満」「フィーリング」。これら3つが満たせれば、たとえ会社が潰れて20代で路頭に迷っても、ポータブルスキルが身につき、他社に転職できると考えたのです。
もちろん、さすがに志望理由には「御社につとめれば、路頭に迷えると感じたので」とは書きません。その思いは、そっと胸の奥にしまっておいて、「実力がつきそうな会社で働きたかった」という理由で応募先を決めていました。
そうやって選んだ会社で、よもや10年以上も働くとは思ってもいませんでした。そして、幸か不幸か。会社は順調に成長しています。潰れる気配はありません。
10年たって思うのは、「優秀な人たちと一緒に働けて、幸せだ」ということです。しかし、一方で「路頭にまようなら20代」という目論見は、果たされることなく30代になってしまいました。私の人生計画では、20代は路頭に迷うはずだったので、どうも調子が狂ってしまったことになります。人生おもったようには行かないものです。
もっと積極的に路頭に迷うべきだったのかもしれませんが、今は背負うものが出てきてしまいました。人間、背負うものができると、なかなかリスクは取りづらくなります。
小学校のころに抱いていた「リストラされずに、定年まで勤め上げること」という夢は、今はかたちをかえ、「積極的にリスクをとることで、路頭に迷うという腐りきったバッドエンドに全力で抗う」という生き方になりました。(by 東京リベンジャーズ)
これはこれで、ずーっと不安に付きまとわられるんですけどね。まぁ、自分の性分だとして、受け入れて行きていくしか無いと思っています。
以上、小学生のころの夢と、今の生き方についてのお話でした。
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