シンプルな商品設計は、その後のコストを削減できる

前回は、OEMの取り組みをご紹介いたしました。OEM先のパートナー様には本当に感謝しております。

さて、二つ目の取り組みは、SaaSプロダクトの商品をシンプルな設計にしたことです。
中小企業さんをターゲットにし、ITが苦手な方でもすぐに簡単に使えるシンプルな商品設計にしました。

当時の本音で言えば、早期に収益構造の転換を目指す上でも、月々数十万円ぐらいの単価の高い大手企業向けの商品をリリースしたいという思いもありました。ですが、大手のご利用者様のニーズは幅広く、そのニーズ全てに応えようとすると、かなり多機能・高機能な商品でなくてはなりません。

ただ、そもそも当時の僕らには資金も開発リソースもありませんから、早々に多機能な商品作りを諦めました。
大手は諦め、中小企業をターゲットとし、さらには、一度導入すれば、その後は手間がかからない簡単な商品づくりを目指しました。
そして、それに合わせて、価格も大胆に下げ、ポジションも明確にしました。

誰でもすぐに商品の特徴を理解でき、楽々とSaaSの商品を導入できるようになったことで、販売面ではウェブサイトである程度商品の特徴をご理解いただけ、対面営業の負担はさがりました。
また、導入も簡単で、さらには一旦導入すればその後設定変更もほとんどない商品設計のおかげで運用時のサポートスタッフの負担も減りました。

さらには、OEM先の開拓でもこの商品設計が功を奏しました。誰でも見ればすぐわかる商品というのは、OEM先のスタッフの方々にとっても安心して取り扱いのしやすいものになりました。
僕らのスタッフは毎日、この商品を扱う訳ですが、OEM先様のスタッフの方々にとってはたまに扱う商品です。あまり難しい問い合わせがきても不安の元になります。
競合商品に対し、機能は物足りないかもしれませんが、問い合わせが少ないのは、大きなメリットになりました。

こうして、商品作りをシンプルにしたことで、初期のSaaSチームの固定費を最小限に抑えられ、また販路の拡大にも貢献できたかなと思います。
スモールスタートから、売り上げの向上に合わせて、徐々に体制を拡充できました。

もちろん、月々数百円、数千円の商品の取り扱いについては、社内の中でも賛否両論となりました。
当時の大黒柱の事業であるウェブ制作案件で、大きなプロジェクトでは一案件で数千万円、年間では数億円のプロジェクトもありました。
そんな中で、SaaSのプロダクトは、年間費用をもらっても、数千円、数万円の商品。これを同じ会社で売ることは、スタッフにとっては、将来の見えない、途方に暮れる思いだったんじゃないかと思います。

ただ、収益構造の転換を取り組み始めたリーマンショックや東日本大震災があった時期のウェブ制作会社に、大きな資金を投じてくれる金融機関も中々ない訳ですから、できることを粛々とやるしかない。
そう腹を決めて推進しました。


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