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「ヘルパーさんに来てもらいたいのに、両親が拒否をします。」~効果的な説得の仕方とは??~

両親の生活が心配で、介護保険の利用を考えている方は多いと思います。
現在、日本ではおよそ400万人の方が、介護保険を利用しながら、在宅で生活をされています。
しかし、全員が常に介護が必要な状態というわけではありません。
中には、介護に抵抗があり、「私は一人で大丈夫」という方も多くおられます。
自分から進んで「介護を受けたい」という高齢者の方は実は少なく、家族や病院の先生からの勧めという方が、多いいです。
つまり、高齢者の多くは「人には頼らず、一人(夫婦)で生活していきたい」というのが本音ではないでしょうか。

介護に対しての拒否は色々とありますが、今回は「訪問介護の利用をしてもらいたいのに、両親が納得してくれない」という方へ、その原因や効果的なアプローチを紹介します。

訪問介護(ヘルパー)を拒否する原因

原因がわからずに、いくら訪問介護の利用を勧めても納得はされません。拒否する理由は人によって様々ですが、よく聞く原因を紹介します。

①知らない人を家に入れたくない
知らない人を家に入れる事には抵抗があって当たり前です。

「片付けや掃除をするのが面倒」
「部屋が散らかっているから見せたくない」
「自分や家族以外は信用できない。」
 といった心理が働いているのかもしれません。

②プライドが高い
「心配されるほどまだ衰えていない。」
「他人に迷惑をかけたくない。
「介護を受けることが情けない。」
このような感情により、老いを自分で認めることができず、拒否してしまいます。

③体調不良を知られたくない
例えば腹痛や腰痛、歯の痛みなど、身体の不調を相手に知られたくないという心理が働き、他者との接触を拒まれます。

④認知症状がある
症状にもよりますが、介護が必要であることが把握できていない場合があります。

生活は荒れ、色んな事に対して無頓着になってしまう事や、今の生活状況が理解できていない事など、物忘れや失敗する姿を見られたくないとの心理から、拒否をされることもあります。

図1

拒否をされた時の対処法


ヘルパーや訪問介護の話をし、拒否された時の対処の仕方を紹介します。
最初は子供から親に提案する事が多いと思いますが、どうしても感情が先立ち、口論になってしまう事も多くあります。
そうならないためにも、以下の点に気をつけて対応する事が大切です。

① 目的をきちんと説明する
何のためにヘルパーが来るのか、目的をはっきりと伝えましょう。
ヘルパーの拒否をされる方の多くは、「何をしに来るのかわからない」という事が多いようです。
ヘルパーが来ることのメリットをきちんと説明する事が大切です。

②本人の話を否定しない
拒否をされる大抵の方が、
「ご飯は自分で食べている。」
「洗濯も自分でしている」
「お風呂もきちんと入っている」
と、一人で生活できていることを話されます。

しかし、たとえできていないことがわかっていても、そこは否定せず、受け入れる事から始めましょう。そして「毎日のことだから、たまには休んで、ゆっくりしてもらいたい」と、こちらの素直な気持ちを両親に伝えることも大切です。

③タイミングを見計らう
興奮状態の時には何を言っても、両親には伝わりません。そんな時は、いったん、その話はやめて、懐かしい思い出話や、訪問介護とは関係のない話をしましょう。日を改めることも良いでしょう。

何かに抵抗感を感じているわけですから、心の整理をするためにも、時間を空けることが大切です。気持ちの変化も現れるかもしれません。

④ケアマネやヘルパーとの接点を作る
これは強硬手段に近いですが、実際にお世話になるケアマネやヘルパーさんと一緒に談話の時間を作ってしまいましょう。

見もしない相手の事を勧めるより、実際に会ってもらう事で、安心感を与えることができます。
性格にもよりますが、断れない状況を作ってしまう事も、結果的には効果があるかもしれません。

図1

効果的なアプローチ


高齢者は特に、今の生活のスタイルを変えたくないとの思いが強くあります。たとえ介護が必要な状態であると理解したとしても、新しいことを始めるには、私たちが思っている以上のエネルギーと、心の負担があるのかもしれません。

本人が納得しない以上、サービスの介入は難しいと思うかもしれませんが、説得だけがアプローチではありません。

すぐに訪問サービスを利用しなくても、徐々に受け入れてもらえる体制を作る事ができる、効果的なアプローチを紹介します。

①いつでも介護できる状態にしておく。
たとえ本人が拒否をしてサービスが実施できなくても、ケアマネージャーや地域包括支援センターは相談にのってくれます。
今後必要になるサービスや、今の健康状態から予測される病気など、対策や、サービスの内容を知っておくことで、いざ介入する事ができるようになった時、スムーズに事が運びます。

介護保険サービスには様々なサービスがありますので、今のうちに利用するサービスを決めておくことができます。

たとえ介護保険の認定ができない状態でも、申請した日からさかのぼって請求もできるため、利用する事業所さえ知っていれば、すぐにサービスを利用する事ができます。

②外出をするサービスから利用してみる
自宅に伺う訪問介護が嫌なら、外出のサービスから始めてみるのもお勧めです。デイサービスと聞くと嫌がる方には、「食事をしに行こう」といった勧め方や、得意なことがあれば、「趣味を楽しみに行こう」との勧め方など、本人の興味に合わせ、抵抗なく外出できる方法を考えましょう。

「麻雀が大好きな方が、デイサービスは嫌がるが、麻雀ができると言ったら、何の拒否もなく通い始め、毎週楽しみにするようになった。
その後、訪問介護も拒否がなくなった。」といったことがたくさんあります。
時間はかかるかもしれませんが、きっかけを作る事は、とても重要です。

③包括支援センターのサービスから利用を始める
地域包括支援センターには任意事業として、介護をする家族の支援や介護相談など、様々な地域支援事業があります。民生委員などは、地域の方の安否確認や、お話し相手などのボランティアを行ったり、社会福祉協議会にもそのような遠くからのアプローチができるサービスがあります。

④前向きな表現で、伝える
家族での話し合いではたいてい、「00ができていないから、介護保険を利用しよう」といった、「できない」をピックアップしてしまいがちですが、実はこの言葉に本人は痛く傷ついています。
今までできていたことができなくなることに、理由がわからず、ただ不安と孤独が心を覆ってしまうのです。
それが繰り返されれば、気持ちがふさぎ込んでしまったり、無気力になったりと、認知症を発症する原因にさえなってしまいます。

そうならないためにも、できるだけ前向きな言葉かけをしましょう。

例えば、
「一人でお風呂に入れないから、ヘルパーさんを呼びます」といった表現ではなく、「気持ちよく生活してもらいたいから、ヘルパーさんに手伝ってもらおう」といった、目的を明示する事や、こちらの思いを素直に伝えることで、本人を傷つけずに、根気よく進める事ができるのではないでしょうか。


図1

まとめ

介護拒否の理由は本当に、人によって原因がたくさんあります。
多くの高齢者は人のお世話になる事をあまり好みません。

「今までできていたんだから、これからもこのままの生活を続けていきたい」というのが高齢者の本音です。

ここに家族が介入していくわけですから、拒否がでるのは当たり前です。
できなくなっているのは本人が一番よく理解しています。その中で家族がまず、すべきことは、傷ついた心に寄り添い、一番の味方になる事です。
本当は両親に、「ヘルパーに来てもらって」なんて言いたくないですよね。
言いたくないことは、周りの関係者に言ってもらって、家族はできるだけ、本人の味方となってアプローチをすることが、一番の近道かもしれません。

東住吉介護センターには6名の介護支援専門員が在籍しております。
一人でなやまず、まずはお気軽にご相談ください。

フッターB



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