大杉晃弘 / 写真と、企み・Knot Letterpress Printing(活版印刷)

編集者/コピーライター。R社で修行後、浜松へUターン。暮らしや衣食住を中心に、繊維や林…

大杉晃弘 / 写真と、企み・Knot Letterpress Printing(活版印刷)

編集者/コピーライター。R社で修行後、浜松へUターン。暮らしや衣食住を中心に、繊維や林業などの地域産業、観光、デザインなどのインタビュー記事、コンテンツ制作、コピーライティング、写真撮影を行う。浜松市で小さな活版印刷所を営業中。https://lit.link/shashinto

マガジン

最近の記事

楽しさという感覚が導く場所(3/3)

まだ知らない世界へ誘う、潤滑油としてのデザイン ──ところで、宮下さんって挫折ってあった? 高校生のときに出会った、チャッピーで有名なGROOVISIONSのデザインは、今でも好きなんだけど、自分のデザインにうまく落とし込めないというのがずっとあって。キメキメにできないというか、スタイリッシュなデザインに緩さや、外しのポイントを加えないと恥ずかしくなっちゃう。だから、グルビみたいな端正なデザインができないのがコンプレックスで、デザイン事務所に入るぐらいまで持ち続けてた。

    • 楽しさという感覚が導く場所(2/3)

      人を引きつけるアイデアを考えるのが好き ──そもそもデザイナーになろうと思ったきっかけを教えて。 なんだろうな、僕の場合、入りは音楽なんですよ。高校時代から通っていた名古屋の輸入レコード店「rail(レイル)」で、リトルプレスやミニコミ誌、ジンが並び始めていて、自分でも作れるかもと思ったのを覚えています。当時はSNSもなく、自分の思いを文章として残すなら出版しかなかったから作っていた部分もあります。ミニコミ誌以外にも、友だちに音源を提供してもらって、カセットテープでコン

      • 楽しさという感覚が導く場所(1/3)

        デザインの表現を拡げる活版 ──僕が宮下さんを知ったのは、活版とオフセットで刷られた「APOLLO COFFEE WORKS」のショップカードでした。そもそもなぜ、活版印刷を採用したの? 作ったのは2010年頃で、当時は安く、手軽なネット印刷が全盛の時代。手ざわり感のある、人が刷ったと分かるようなものにしたいなと思ったのが理由。青い部分はオフセットで刷って、文字部分が活版印刷。昔の切符って、打刻機で日付の部分だけ活版印刷してたんですね。あと、店主の橋本さんが海外旅行の切

        • はじめに

          「imprint(インプリント)」は、活版印刷所「KNOT LLETTERPRESS PRINTING」にゆかりのある方々にお話を伺い、活版の魅力、仕事の取り組み方、考え方など、クリエイティブの源を探るインタビューマガジンです。 ものをつくる過程には、いくつものステップや要素があります。事前のリサーチや情報の整理、アイディエーションをはじめ、色や形、素材の知識、社会への関心、さらには、その人がこれまで経験したことや価値観、生きざまだって大きく影響してきます。こうした要素が

        マガジン

        • クリエイターズインタビュー「Imprint」
          4本
        • 浜松注染そめプロジェクト
          10本
        • DORPのイシュー
          1本

        記事

          2022年を写真で振り返る

          2022年も残りわずか。せっかくなので写真でこの1年を振り返ってみようと思います。 1月 今年最初の買い物は、FUJIFILM X-E3でした。仕事ではSONY αIIIを使っているのだけど、もっと気軽に普段使いできるカメラが欲しいと、使っていないレンズなどを整理して資金を捻出し、購入。巷ではX-E4が話題でしたが、天邪鬼気質とシンプルなデザイン、お財布に優しいお値段が決め手に。フィルムシミュレーションは、クラシックネガ。 2月 自宅での仕事を卒業し、事務所を借りるこ

          Knot Letterpress Printing のロゴができるまで

          屋号が決まり、続いて取りかかったのがロゴの制作です。デザインは事務所をシェアしている、サイフォングラフィカの宮下さんにお願いしました。 デザインする前に 制作にあたって宮下さんから出された宿題は、好きなロゴを幾つか集めてというもの。Pinterestを使い、いいなと思うものを片っ端からピンし、ボードを共有。画像収集&検索サービスであるPinterestの利点は、言葉にしにくい感覚的なものを手軽に集められ、相手に伝えられるというところ。ある程度数が集まってくると、何となくの

          活版印刷所をはじめる

          いつか、いつかと先送りしていて活版印刷所が、ついに実現しました。この4月、これまで自宅事務所に併設していた活版印刷所を、卸商団地に引っ越ししました。 一番の理由は、自宅では、打ち合わせや印刷の立ち会いがしにくいというもの。自宅事務所は離れにあったとはいえ、お客さんが来るとリビングにいる定年退職した父親と目が合う...。これでは、気軽に招くこともできません。 あと、活版のワークショップやオープスタジオをしたいというのも理由。ワークショップは年に1回ほど、鴨江アートセンターで

          はじめてのLeica

          この1ヶ月ほど、Leica D-Lux 7を使っていたので、その使用感をメモ。 きっかけは、4月の上旬、ライカの値段が上がるというニュースを知り、Leica欲しい熱が再発。いろいろ検討してみるけれど活版工房を立ち上げたばかりで資金がなく、だったらレンタルしたらいいのではと気づき、カメラやレンズなどのサブスク「GOOPASS」を利用することに。 本当はLeica Q2がよかったけれど連休前だからか在庫がなく、値段も高かったので、万が一買うとなっても手を出しやすいD-Lux

          私の仕事道具。ロジクールのマウス「M590」が便利

          パソコンを使う人にとって欠かせない道具がマウス。以前はノートパソコンのみで仕事をしていたからマウスではなくトラックパッドを使っていたけれど、五十肩をきっかけにキーボードとマウスを導入。 せっかくなら腕の疲労を減らしてくれるものをと、エルゴノミックスデザインの高性能マウス「MX Master 3」やトラックボールのマウス「MX ERGO」を導入したけれど、指や腕が疲れるなど、いまいちしっくりこずメルカリで売却。なんだかんだで、選ばれたのは比較的安価な「M590」です。 上記

          私の仕事道具。ロジクールのマウス「M590」が便利

          iPad Air 4から、iPad Pro 12.9インチに乗り換えた感想

          Appleのスペシャルイベントで発表された新しいiPad mini が神機だと話題を集めていますが、この6月末にiPad Pro 12.9インチ(第3世代/Appleの整備済製品)を買って、もうすぐ3カ月が経とうとしています。iPad Pro を買うにあたってnoteでも情報収集をしたので、誰かの参考になればと、使用感などをメモしておきます。 Apple Pencilを使って がしがし文字を書くなら、iPad Pro 12.9インチ 理由は、Apple Pencilの書き味

          iPad Air 4から、iPad Pro 12.9インチに乗り換えた感想

          モルト粕を使ったビールの紙を使って、活版印刷で遊ぶ

          Twitterに投稿しただけだったので、noteにも残しておきます。 静岡県が緊急事態宣言に入る直前、浜松のブリューパプ「オクタゴン」にてビールジャーナリストさんと、活版印刷機で遊んだという話です。 きっかけは2つあって、1つは鴨江アートセンターで行った僕の活版ワークショップに、そのビールジャーナリストさんが参加してくれ、いつか呑みましょうねと約束したこと。もう1つは、クラフトビールのモルト粕を使った紙を開発しましたという記事を立て続けに読んだこと。 あ、社交辞令でなく

          モルト粕を使ったビールの紙を使って、活版印刷で遊ぶ

          鴨江アートセンターにて、活版印刷と3Dプリンターを使ったワークショップをしました

          活版印刷で小さなカードを飾るカードフレームを作る浜松市中区にある鴨江アートセンターとは、浜松にUターンして以来活版印刷機を使ったワークショップをしていて、2017年からは3Dプリンターを使って活版印刷の新しい楽しみ方を触れる実験的な試みをしています。今回はその第5弾。 3Dプリンターで、●、■、▲、( といった形の特製樹脂版を事前に作り、自由に組みあわせ、テキン(手動の活版印刷機)で厚紙に印刷し、オリジナルデザインのカードフレームを作るという内容。 自宅事務所で打ち合わせ

          鴨江アートセンターにて、活版印刷と3Dプリンターを使ったワークショップをしました

          ヘアサロン「teoto.」の名刺を、活版で印刷

          浜松市天竜区は二俣にある「KISSA&DINING山ノ舎」の中谷くんのご紹介で、ヘアーサロン「teoto.」の古田オーナー夫妻の名刺を活版印刷で作りました。 美容師と言う手に職の仕事。ご自身の名刺も職人の手によるこだわりのものがほしいと中谷くんに相談し、活版というのがあるよと、僕を紹介いただきました。僕はまだまだ職人の域にはほど遠いですが、紹介いただき、ありがとうございます! 最初は移転の可能性もあるとのことで作り直すかもしれないと言われたので、ネット印刷と比べて活版印刷

          採用するなら、仕事観を振り返る必要がある

          3月末までの怒濤の仕事が終わった4月。長く保留させてもらっていた天竜川にまつわるライティングの仕事や茶園の撮影など、地元の仕事をしていました。移動が少ないって楽ちん。ちょっと遅くなりましたが、半年かけて取り組んだ仕事を振り返ってみたいと思います。 関西に住む古い友人に声をかけてもらい、この半年ほど、福島県の復興関連の仕事をしていました。福島イノベーションコースト構想という、東日本大震災や原発事故によって被害を受けた福島県浜通り地域(海側の地域)に、ロボットや航空宇宙、医療、

          採用するなら、仕事観を振り返る必要がある

          DORP 浜松注染プロジェクトの報告書が完成

          昨年度、地元のデザイナーやイラストレーター、建築家、カメラマン、ビデオグラファーたちと一緒に活動していた「浜松注染プロジェクト」。 半年ほどの活動内容をまとめた報告書が完成しました。 デザインは、サイフォングラフィカの宮下さん。 コロナ禍でお祭りやイベントなどが激減し、手ぬぐいやゆかたの売上げが激減した浜松の染工場を、クリエイターのアイデアで何とかしようというもの。 浜松にある3つの染工場さんが協力してくださり、まずは、みんなで工場見学。1つの染工場に4名がついて、ヒア

          DORP 浜松注染プロジェクトの報告書が完成

          浜松注染そめ 工場見学してきました

          浜松は、東京や大阪と並ぶ、注染そめの産地。でも、新型コロナウイルスの影響でお祭りやイベントが中止になり、手ぬぐいやゆかたといった注染の注文が激減している状況です。 そんなとき、DORPの1人として市の担当者から、「注染とクリエイターでなにかできませんかね」と相談があり始まった注染プロジェクト。詳細は、こちらに書いています。 浜松界隈のクリエイターに声をかけ、まずは注染工場へリサーチしに行くことに。デザイナーやイラストレーターをはじめ、建築家、カメラマン、ビデオグラファー、