まだ職業や業務の顔をしていない仕事

「遊びを仕事にするのが上手なイメージがある」と言ってくれた人がいる。

味噌や塩麹をつくる教室、雑多でちょっと後ろめたいけれどおいしい家庭料理「スエットめし」、現代版割烹着の「Kappo」、母と子どもだけでキャンプをする「母子camping」、渋谷の魅力を散歩の視点で伝えるWebメディア「シブヤ散歩新聞」。ここ数年でやってきた不思議な企画をざっとあげると、こんなものがある。たしかに、遊びを仕事にするのが上手な人、みたいな感じがある。

もともと私はコピーライターでした(過去形にしちゃったのは、最近はあんまり書いていないから。書くことをやめたわけじゃないよ)。ずっと、ワンフレーズで人の心の柔らかいところに届くような、そんな言葉を生み出したいと思ってきました。その過程で、ターゲットイマジネーション(昔の職場ではそう呼ばれていました。ペルソナマーケティングみたいなものです)の修行をひたすらしていたのですが、そのへんも「遊びを仕事にする」原点かもしれません。

私は「仕事」とは、誰かの役に立つことだと思っています。たった一人のためにすることも、社会のためにすることも「仕事」。そして、できれば自分の得意なことで役に立つのがいいと思う。あとは、他にはないことで役に立つのも大事。

Googleで「仕事」を調べると、“職業や業務として、すること。また、職業” と出てくるけれど、誰かの役に立つことが「仕事」だとしたら、まだ職業や業務の顔をしていない「仕事」もあるんじゃないかと思うのです。私は職業ではなかったり、会社に紐づく業務でないことをやっているので、「遊びを仕事にしている」という印象があるのかもしれない。

職業や業務になっていない「仕事」を見つけるには、誰かのことをよくよく見つめるしかない。誰かの中に、「仕事」の種があるから。もしかしたら、ターゲットのことをひたすら考えたあの頃に、そういう種を見つける練習をしていたのかもしれません。

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