【まんが少年日々記】73話 めじろをかちみよー【コラム】
メジロの捕獲方法は2つある。
1つは、2段式落とし籠。
籠2つを上下にくっつけて、上の籠の上部半分は40度ほど空ける。
下の籠には、良く鳴く囮のメジロを入れておく。
鳴き声につられ上の籠に入りエサのくだものをつっつくと閉じる仕掛けだ。
おじーたちお気に入りの羽や体毛を痛めない気長に待つ方法だ。
暇なおじーだからできる猟りさ〜のセリフは、禁句だった。
2つめは、ムチニーでだっくゎーす(くっ付ける)。
竿の先端に鳥もちを付けて狙い定めて突いて獲る方法。
少年たちは興奮と手ごたえを好んだが、おじーたちは嫌って侮辱した。
なに「少年たちの興奮遊びは大人達の改良版か」ってか。
年寄りは風流を好み。子どもは興奮を好んだのよ。
めだか釣りやトンボ取り、よりも狩猟気分の興奮度が最たるものだった。
メジロの捕獲は、子ども達には体力と忍耐の勝負だった。
昼日中の暑い最中に根気のいる捕物だ。
が、疲れもなんのその。“疲れ”を忘れ“獲る”という執着心に、気分は高揚していた。
他人の屋敷の垣根の側に立つセンダンの木、デイゴの木その他の木々を見上げてひたすら探す獲物のメジロ。
空籠と竿を持ち目を配りしながら市内の路地を耳をそばだてて巡った。
なに「他に遊びは無いのか」ってか。
甲高く美しい鳴き声のメジロが欲しかったのよ。
おじーたちのメジロ談義のうんちくを聞いて「じゃー僕も」ってなったのよ。
見つけたら、“仲間が居るぞー”と思わせぶりのメジロの鳴き声を真似る。
そっと近づいて、竿の先端に鳥もちをつけて足を狙って突く。
これが難しいのよ。
見つけた興奮を抑えて慎重に竿の先端を近づけるのは技量を要する。
なんせ相手は小さい鳥。ちょこちょこと枝から枝へと動き回っている。
それに、シビアな難題もある。
竿の先端には、行手を阻む枝や葉っぱが天然の要塞状態なのだ。
ムチャムチャの鳥もちが付いた竿は、先端へ行くほど細く全長4から5メートルほどもある。
移動のたびにユラユラ揺れるので、葉っぱへくっつか無いように神経を使う。
枝や葉っぱにくっ付けずにそれらをくぐって、メジロに近づけるのは至難の業だ。
しかも、突く目標は細い足だ。全神経集中状態。
いっときの休みも無く動き回った挙句、やがて彼方へ飛び去る獲物。
期待が無残に胸の億で音をきしませ崩壊とはこの事ぞ的放心状態。
体力の限界は、おのずと帰路へ足を向ける。
当時、冷蔵庫なんてものは無く蛇口から水を飲んで板間の台所で涼を取る。
残念無念のメジロ獲りで疲労困憊にうつらうつらから爆睡。
市場の買い物帰りの母ちゃん。
真っ赤に日焼けした顔や手足を見て叩き起こされ超怒鳴られる。
なに「帽子も被らず昼日中に歩くのどーよ」ってか。
小学生は、学が浅いので根性と気合いなのよ。
でも、身体はまだガキですから気合いって何?状態らしい。ははは。
※現在メジロは天然記念物で、捕獲禁止です。
獲ると罰せられますからご注意!!
これは、本土復帰前の遠く遠く遠〜くに経験した過去の顛末なのよ。了解してね。
ではでは、読書感謝します。ありがとー。拝
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次の更新は 74話の標準語版 です。
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