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台所のドロボー/2023.04.08
幼稚園の年中のとき。
夕方になると、台所に行っていた。
そこには、夕飯を作る母がいた。
そのとき、母は焼きそばに使う野菜を切っていた。
あたしは洗面所で顔を洗ったり、歯磨きをしたりするときに踏み台として使っている子供用の小さな椅子を台所に運んで、母の右隣に置いて椅子の上に立った。
椅子の上に立って爪先立ちすれば、手が調理台に届いた。
まな板の右端には切られたピーマンやにんじんが集まっていた。
あたしはそぉーっと手を伸ばして、切られたピーマンを取って食べた。
母はあたしに気づいて、
「こら! 危ないでしょ」
と怒った。
あたしはそんなことお構いなく、にんじんを食べた。
「ちょっと、夕飯がなくなるからやめて!」
と雷が落ちそうだったので、あたしはもう一切れピーマンを口の中に放り込み、モグモグしながら椅子から降りて、椅子を持って逃げた。
幼稚園の年長になると、下の兄弟があたしの真似をして、母の隣に立って野菜ドロボーをするようになった。
もちろん子供用の椅子を使わないと調理台に手が届かないので、あたしと一つしかない椅子の取り合いをしていた。
その様子を見た母は
「いい加減にしなさい!」
と雷が落ちることが度々あった。
あるアニメの主人公の5歳の男の子がピーマンが嫌いで、ピーマンの肉詰めを器用にピーマンと肉だねを口の中で分けて、ピーマンを口から出すシーンを見たことがある。
幼いあたしはそれを見て、
「なんでピーマン嫌いなんだろう。不思議」
と思っていた。
でも周りの同級生や近所の友達が
「ピーマン嫌い」
「にんじん嫌い」
「トマト嫌い」
と1人一つは嫌いな野菜があった。
母から
「あんたは好き嫌いなく野菜を食べるよね」
と言っていた。
自分は変わっているのかなと思った。
なんで野菜を、しかも生の野菜をお菓子のように食べていたんだろうなあ、とピーマンをみじん切りしながら、幼稚園の時の自分を思い出していた。
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みじん切りにしたピーマンと塩胡椒で味付けしておいた豚ひき肉を、ごま油をひいたフライパンで炒める。
具材に火が通ったら、中華スープのもとと一味唐辛子を加えて、さらに炒めて完成!
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早速一口食べると、ピリリと一味唐辛子が効いて、白いご飯が欲しくなった。
あたしが嫌いな野菜がなかったのは、家族のご飯を食べる姿を見たからかもしれない。
あたしの家族は食べることがすごく好きで、みんな
「これ、うまっ!」
「美味しい!」
と食べていた。
それを見て、この料理は美味しんだといっぱい食べて、色んな野菜が食べられるようになったと思う。
今は独り身だが、将来家族ができたとき、家族と楽しい食事をしたい夢がある。
その夢が叶う日まで、料理のレパートリーを増やしていきたいなと思っている。
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