バスは走り、映画は運動を続ける/『スピード』
一度動き出したら止まらない。止まった時、それはもはや存在しない。それは生きている間だけ存在し、死を迎えると無となる。それは現実を記録する芸術として、時に死のイメージで語られることもあるが、生き続けるものとして、生の一面をも持つ。ただしその生は、死と表裏一体のものとして現れる。常に死の不安に悩みながら生きる、生きなければならない。不安自体が生なのだ。では、結局死とはその解消に当たるのか。否、生の中にのみ幸福な体験が待ち受ける。そうしたことに改めて気づかせてくれたのがヤン・デ・