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知的複眼思考法 誰でも持っている創造力のスイッチ(苅谷剛彦)

1  選んだ理由
 Voisyで木下斉氏が「学生時代に読んで感銘を受けた本」として紹介していた。
 

2 簡単な感想、印象
 最近木下斉氏のVoisyにはまっていて、毎日更新されるので、毎日聞いています。なるべくコメントもするようにしていますが、テーマ的に難しいときもあり、まだまだ勉強が必要です。
 この本については、もともと、木下氏から照会がある前に、苅谷剛彦氏のことは、大学時代に著作を読んだこともあり知っていて、(「大衆教育社会のゆくえ」)この本も1996年が初版とのことで、丁度一番教育社会学にはまっていたころです。
 内容的には、IT関係については若干古い記載があるものの、エッセンスについては、そのまま使えるものが多くありました。
 そして今、自分が大学生当時に社会学の本を読んで、「物事を違った角度から見てみる」「必ずしも自分と同じ思考をすべての人がしているわけではない」ことが分かった時の驚きが再びよみがえることになりました。
 改めて、世の中に出てきているもの、特にメディアやSNSを通じて出てきているものについては、「はて」と考え直す癖をつけたいです。つい、忘れがちなので、以下、大切なことを再びメモっておくことによって、時々読み返したいと思います。

3 印象に残ったフレーズ
P53 1 複眼思考とは、ありきたりの常識や紋切り型の考え方にとらわれずに、ものごとを考えていく方法のこと。
2 「常識」にとらわれないためには、なによりも、ステレオタイプから抜け出して、それを相対化する視点を持つことが重要。
3 知識も大切だが、「正解」がどこにあるという発想からは複眼思考は生まれない。

P92 批判的読書のコツ 20のポイント(抜粋)
1 読んだことのすべてをそのまま信じたりはしない。

9 書かれている内容自体に自分が影響されたのか、それとも著者の各スタイル(文体)に強く影響を受けているのかを見分ける。
10 議論、論争の部分を分析する。

13 ありそうなこと(可能性)に基づいて論を進めているのか、必ず起きるという保証付きの論拠(必然)にもとづいて論を進めているのかを区別する。

16 意見や主張と事実との区別、主観的な記述と客観的な記述との区別をする。
17 使われているデータをそのまま簡単に信じないようにする
18 メタファー(たとえ)や、熟語や術語、口語表現、流行語・俗語の利用の仕方に目を向け、理解に努める

P204 (「疑似相関」とは、)一見、相互に関係(=相関)があるように見えていて、実際にはその関係が偽物(=疑似)であるという場合です。
P205 (疑似相関を見破るには)すでに起きている複数のことがらを比べることによって、結果的には「同時に変化している要因の影響を取り除く」のと同じようなことができるのです。

P303 こうした実態化してとらえられたマジックワード(魔法のことば)を使うと、なんとなくわかった気にさせられてしまいます。こういうときこそ、これらのことばをいったん主語の座からおろしてしまう。そして、実体化していることで何が見えなくなっているのかを考えるのです。

P368 1 「なぜ、それが問題なのか」に着目することによって、ある問題を問題とみなす視点は何かをとらえる。
2 同じような事柄でも、問題にする視点によって問題のとらえかたや問題のしかたが違ってくることに注目する。
3 ある問題がクローズアップされることで、隠れてしまう問題がないのかに目を向ける。
4 さらに問題の文脈に目を向けるためのほうほうとして、
a ある問題を立てることで、誰が得をするのか損をするのかに目を向ける
 b 当該の問題が解けたらどうなるか、を考える。


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