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詩  散文

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2024年1月の記事一覧

命の迷路

命の迷路

幾度も増築された病院の
迷路の様な細い廊下を歩く
清潔で無駄ない空間は冷たい
向かう場所へ矢印は続き
溜息と不安が低い天井にこだまする
生や死はいつも隣にあること
遠い地の災害
隣家からのSOS
無力さを嘆きながらも
痛さを封印したこころは実は無感動
少しずつ溢れていく
いずれ何もなくなるから
消えそうで消えない命に
へらへらと笑う君と私は
双子のように育った
悲しくはないんだ
私では守りきれない

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触れる

触れる

生きた証って
触れてから始まる
重くはないよ
軽はずみな笑みもないよ
そう
言葉でない想い
月がすっと昇るだろうから
そこにいる
おおよその
俗なる愛とか
崇高なとか
清いとか
黄昏が吸い込んでくれればいい
私がここにいること
気づいてくれたこと
ケラケラとして
それで消えてしまう澱み
生きていく為のカードはいらないよ
お互いのカードは大事にすればいい
生きているからね
もうすぐさ
消えてしまうじ

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12月 散文詩

12月 散文詩

広場の石畳みに
刻まれた記憶が
霧の中で息を吐く
遠い汽笛が蘇り
失くした靴は
旅路の果てに
朽ちた思い出と眠りついた 
やがて広がる漆黒に
誰が哀れみを乞うのだろう
月は隠れて
戸惑う牛は
馬車に揺られて
広場を横切る 

12月1日
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身を委ねた流れの
行き着く先の海原に 
静かに漂う
いずれ群青に沈み  
哀しみは溶けてゆく
そんな願い

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