ベルギーに引っ越して5ヶ月経ったので、マイノリティ体験について考えてみる
ベルギーに引っ越してから5ヶ月目になって考えていること
ベルギーのブリュッセルに引っ越してから5ヶ月目に突入しました。
アメリカで8年間と南米で1年半、海外生活をしているのですが、子連れで海外移住するのは初めてです。そしてヨーロッパ圏は旅行でしか訪れたことがないので本格的に移住するのは初めてです。
大前提、ベルギーは人も優しいし、景観もきれいで、治安もよくて住みやすい、いい国です。
ベルギーに住む日本人は約5000人*もおり、ヨーロッパの中でもポピュラーな移住先といえるでしょう。私の感覚では日本企業から駐在として来ているご家族が多いように感じますね。
とはいえベルギーの中ではやっぱり日本人、アジア人はマイノリティです。
日本人が多い地域でも、歩いてて日本人にすれ違う確率は1日数人レベルでしょうか。(それでも多いほうかもしれないけど…)
スーパーや電車、買い物にいけば基本はヨーロッパ系とお見受けする人種の方が店員です。ジムにいけば、当然アジア人はひとり。
「マイノリティだなぁ…」と感じる瞬間はほぼ毎日訪れます。
日常で訪れる、「マイノリティ」の瞬間
突然ですが、ベルギーの公用語って何語かご存知ですか?
ベルギーの公用語は、フランス語とオランダ語。
事前に「ブリュッセルは英語が通じるから大丈夫だよ」ときいていたものの…半分正解で半分違うなという印象てす。
ベルギーにはEU本部があり、その為、ベルギー出身でない方がビジネスが政治関係で滞在している人も非常に多いです。いわゆる「外国人に優しい」国であることは間違いなく、かつ英語を話せる方もかなり多くいます。
とはいえ、どこもかしこも絶対に英語が通じるというわけではありませんでした。
ベルギーの国自体はフランス語とオランダ語の二つの公用語を利用してるのですが、歴史的背景があり、実は地域で使われている第一言語が違います。
標識はダブル表記ではなく、その地域で使われている第一言語が使用されていることが多いです。
ブリュッセルは首都ということもありダブル表記が多いですが、口語的には圧倒的にフランス語話者が多い印象です。東西でオランダ語話者とフランス語話者で違うそうですね。
だいたい買い物にいくと、怒涛のフランス語で語りかけられる。
困って英語で返すと、英語で変えてくれるか、「はぁ…」って顔をされるかのどっちかです。
「はあ、って顔されても、気にすることない」と頭では理解しつつも、
やっぱり「こいつフランス語わからんのかよ」という反応は微妙にストレスなんですよね。(臆病者で…)
もし仮に私が日本に帰国し、英語しか話せない外国人が遭遇したら、
にこやかに「大丈夫だよ」と雰囲気を出そうとこちらにいると心に誓います。(笑)
そんなわけで(いまのところ)、地味に「フランス語がわからないストレス」を感じることが多いのです。特に困るのは日常の買い物のシーンです。
商品やPOPにフランス語かオランダ語しか書いてないことがあり、その商品がなんなのかがわからない。
例えばお肉を買おうと思った時。鶏肉か豚肉か牛肉か、くらいは見た目でわかりますが、それがモモ肉なのか、むね肉なのか、はたまた全然違う部位なのか、日本とのカッティングが違うのでパッと見で判断できない。
「鶏肉の割には高いなぁ」と思ってるとウサギだったり、
「これ豚かな」とおもったらラム肉だった!ってこともよくあります。
あと最初にスーパーにいったときに最初困ったのは牛乳です。
牛乳もところ狭しとホールミルク、低脂肪、無脂肪、グラスフェッドミルク、ソイミルク、アーモンドミルク、常温ミルク、といろんな牛乳が並んでいて、表記だけではわからない。
初めてこちらでスーパーいったときは、翻訳機を通してもうまく翻訳がかからず、牛乳コーナーに10分くらい立ち止まっていました…。
買い物以外のシーンで言えば、
なにか困ったりするわけではないのですが、「私はマイノリティだな」と思う時は、電車や人が集まる場所でジロジロとみられることがあることですね。
元々人の視線を気にするタイプではあるものの、
結構ジロジロ見られたり、「あのひと中国人かな?日本人かな?」と囁かれることも。英語だったら「聞こえてますよー」と心の中で呟いてます。(笑)
買い物は慣れちゃえばどうってことないし、ジロジロ見られたりするのは無視すればいいだけなのです。
ですが、私にとっては結構なストレス。こうしたちょっとしたミニストレスが溜まると、母国じゃない感覚や、心休まらない時を感じることもあるのです。常に気が張っているというか。
これが「マイノリティでいることだなぁ」と実感します。
マイノリティであることは、自分本来の力を制限されること
以前、ヘラルボニーさんのイベントに出席した時に心に残っている言葉があります。
それは「マイノリティでいることは、自分の力が無意識に70%に押さえられる感覚だ」ということばでした。その時も深く頷きましたが、今も本当にその通りだなとおもいます。
思い返せば過去の職場でも、数の少ない女性というだけで気が張ったり、強くみせないと!という感覚を持っていました。場に支配される空気に気圧されてしまいます。
日本にいるとマイノリティでいることも少なくなってきた今日この頃ですが、マイノリティでいることの感覚をまた思い出す日々です。
職場で言えば、120%、150%の力を出して頑張りたいところを、同じ属性の人が少ないというだけで、持っているポテンシャルを発揮できないなんて悔しいですよね。
ところ変わって、子供達が通うインターナショナルスクールの日本人ファミリー向けの会合に出席をしたのですが、そこでは、20人を超える日本人の方が集まり、学校の新しい制度についてお話しを聞く機会がありました。
こんなに一同に日本人が集う機会に参加することがかなり少ないので、新鮮だったとともにに、「同じ属性の人が集まることの心強さ」も同時に感じた出来事でした。
マジョリティの立場としてできること
日本で働いていた時に「アライ (ally) 」という存在を知る機会がありました。
今回の記事はLGBTQ+については言及するものではありませんが、マイノリティを体感している一人として、また女性の少ない職場や職種を経験してきた一人として、当事者ではない立場のときは当事者に寄り添い支え、そして自分がマイノリティ側の立場になった時には声をあげる、もしくは社会を変えていくようなアクションを取れるような存在でありたい、と考えています。
最近では、起業家やスタートアップにおける女性比率の少なさについて話題になることも増えましたが、女性の役員や特定の業種・業界でのジェンダーバランスの問題についても同様な問題意識を持っています。
もしあなたがいる環境がマジョリティの立場だったら。
「歓迎していますよ」ということを態度で示しましょう。文化圏によってその表現は違うと思いますが、日本人だったら笑顔で接したり、積極的に話しかけたり、そういったことで構わないと思います。
話は少しそれてしまいますが、「数を揃える」クオータ制は賛成派の立場です。近い属性の人が一人ではなく、相当数にいることだけで当事者の発言のしやすさ、発言を受け取れる重みなどが変わると思っているからです。
山田進太郎D&I財団COOを務めている石倉さんのツイートには深くうなづきました。
そしてもしあなたがマイノリティの立場だったら。
本当に勇気のいることだと思いますが、自己開示をしたり、そのコミュニティに参加するようにしませんか?新しい文化圏に飛び込んでいき、新しいことを始めるのは本当に勇気のいることです。
でも「察してほしい」は通じませんし、声をあげる、存在を示すことは相互理解の第一歩だと思います。
職場のダイバーシティ施策で言えば自分の人生史をチームに開示するようなやり方もありますが、発信をしてチーム全員で相互理解ができるような自己開示も非常に重要だと思います。この辺りについてはまた別に語ります(笑)
以上、マイノリティの立場になったのでその体験や思いについて振り返ってみました。いつかこの話は音声メディアでもお話ししたいと思っておりますのでお楽しみに😆