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「分量なんてない」っていうのが秘伝っぽいんだな。

実家を離れて(といっても距離的には十数キロ)2ヵ月たった10月の初め、誕生日を迎えた。
特別なことをしようなんて一切思っていなかったが、やっぱりふと実家の味が恋しくなったので、我が家で時々食卓に上っていたわたしの好物を作ることにした。

「鶏肉のカレー煮」
わたしの父方の祖母→母親とレシピが伝わったらしい。亡くなった祖母だけでなく叔父もこれを作れる。

実家にいるときも母親と一緒に何度か作った。
レシピをわたしも継承しようと思い、材料と分量を聞いたことがあったが、こんな答えが返ってきた。

「分量なんてない。おばあちゃんはだいたい目分量で作ってる。」

細かいことを気にしない祖母らしいな、と思った。

細かいことを気にしないのはわたしも一緒だが、わたしと違うのは、祖母はそれでも何でも器用にこなしてしまうところだった。


誕生日の夜、思い立って作ることにした。
〔材料〕
・鶏肉(普段は手羽元。この日は家にあったもも肉)
・カレー粉
・小麦粉
・オリーブオイル
・水
・にんにく
・しょうが(普段は刻む。この日はチューブ)
・鷹の爪
・ローリエ
・ブイヨン

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〔手順〕
オリーブオイルを熱したフライパンににんにく、しょうが、鷹の爪を炒め、香りが立ってきたら鶏肉、カレー粉、小麦粉を投入して炒める
火が通ったら水、ブイヨンを加えて煮る。煮るときに香りづけでローリエを入れる。


今回は、冷蔵庫に残っていた玉ねぎとレンコンも一緒に煮込むことにした。
見た目、香りはいい感じ。

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実食。

すぐに致命的なミスの連発に気づいた。

まず、ブイヨンを入れ忘れた。
(おわかりいただけただろうか。写真にブイヨンが写っていない。なんなら、鷹の爪とローリエも今回は割愛。)
そして、カレー粉を入れすぎた。

ただ刺激の強い、辛いだけの煮込みが出来上がってしまった。
最初味がなかったので、もしかして味覚異常を引き起こす「あの病」を発症してしまったか!?と一瞬思ったが、「辛い」という感覚だけは舌にビンビン伝わってくる。

味覚異常ではない。味付異常だった。


悔しいのでいつかリベンジする。
祖母も、母も、叔父たちも、すごいのは「目分量」というざっくりとした感覚で毎回ほぼ変わらない味を出せるということ。

まだまだ彼らには追い付けそうにない。いつか納得のいく、懐かしいと思える味を再現できるようにしたい。


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