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【連載小説】雨の日の水溜りで遊んだのはいつの頃だろう

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毎日、自分に関する周囲の記憶がリセットされる男の話。自分の記憶だけは変わらない。
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#エッセイ

雨の日の水溜りで遊んだのはいつの頃だろう【19】

記憶というのは、想像のひとつだと聞いたことがある。 断片を繋ぎ合わせて、事実を作る創造だ…

蓮
3年前

雨の日の水溜りで遊んだのはいつの頃だろう【18】

国道沿いに南に歩いて行った。 この道路は一車線しかない。狭いのに主要道路となっていて、ひ…

蓮
3年前
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雨の日の水溜りで遊んだのはいつの頃だろう【17】

雲を掴むような話だろう。 誰だってそうだ。 自分のことを誰も彼もが、一日だけしか覚えてく…

蓮
3年前
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雨の日の水溜りで遊んだのはいつの頃だろう【16】

単線の線路。 山と海の間を走る列車。 ゴトンゴトンとリズミカルに刻んでいく。 車窓から見…

蓮
3年前
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雨の日の水溜りで遊んだのはいつの頃だろう【15】

ふるさとは 遠きにありて思ふもの そして 悲しくうたふもの 室生犀星の小景異情詩を、何故…

蓮
3年前
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雨の日の水溜りで遊んだのはいつの頃だろう【14】

僕にも人並みに性欲がある。 いや、人並み以上、獣欲かもしれない。 たとえ人の記憶から僕だ…

蓮
3年前

雨の日の水溜りで遊んだのはいつの頃だろう【13】

僕は名刺を受け取りながら言った。 「ありがとうございます」 そして、思ったことも正直に付け加えた。 「拝見して…とても漢字が多いですね。何文字あるのでしょう。お名前は、本庄蝉丸さんと仰るのですね。蝉丸さんとはお珍しいお名前ですね」 「36文字あります。名前を入れると40文字。住所を入れると更に。蝉丸というのは、平安時代の歌人の名前です。ところで、小倉百人一首はご存知ですかな?」 「いえ。寡聞にして、存じ上げません」 「そうですか。古い歌集です。平安時代に藤原定家が

雨の日の水溜りで遊んだのはいつの頃だろう【7】

子供の頃の話をしようと思う。 僕には姉がいたように思う。 いたように、というのは予防線だ…

蓮
3年前
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雨の日の水溜りで遊んだのはいつの頃だろう【6】

葉子が作って来てくれたサンドイッチを囲んで、お昼を取った。 「このキュウリのサンドイッチ…

蓮
3年前
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雨の日の水溜りで遊んだのはいつの頃だろう【4】

仕事が休みの時は、図書館に行くことが多かった。 人の記憶はリセットされても、僕の図書カー…

蓮
3年前

雨の日の水溜りで遊んだのはいつの頃だろう【3】

見知らぬ女性の写真が添えられていた手紙は、今、机の上にあった。 僕は腕を組んでそれを見て…

蓮
3年前
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雨の日の水溜りで遊んだのはいつの頃だろう

子供の頃、雨の日は長靴を履いていた。 道路の所々には水溜まりがあって、長靴は濡れなくて平…

蓮
3年前
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