お酒と本と美食と映画が好きな、快楽主義と禁欲主義が半々の人間です。随想と物語を時々書い…

お酒と本と美食と映画が好きな、快楽主義と禁欲主義が半々の人間です。随想と物語を時々書いています。最近小説をひっそりと連載中。

マガジン

  • 東京名無和歌集

    口の端から溢れた三十一文字

  • 僕と伯父さん

    唐突に何処からともなく現れる伯父さんと僕のゆるやかな日常

  • 【連載小説】雨の日の水溜りで遊んだのはいつの頃だろう

    毎日、自分に関する周囲の記憶がリセットされる男の話。自分の記憶だけは変わらない。

  • 花と花守

    全ての女性は花。百花繚乱の中から、一輪だけを愛でて大切にしたいと願う花守の想い。

最近の記事

夫婦別性

夫婦別姓ではありません。 夫婦別性です。 夫婦だからといって、必ずしも性の嗜好や志向、性癖が一致しているわけではありません。 もしかすると、一致している夫婦は少数派なのかもしれません。肌勘ですが。 仮面を被って一致しているふりをするくらいなら、仮面を外して本音を話し合った方が、お互いの人生のためになる。お互いの時間をすり減らすことも、心を削ることもないように思います。 お互いの性の不一致を認め合うこと、それが夫婦別性です。 それぞれの違いを受け止め受け入れて、それ

    • 東京の夜

      晴れた夜には星が見える。 シリウスは見つけやすい。 他にもデネブやアルタイル、ベガなどもそうだ。 金星は明け方や夕方に見かけることがある。 星も見えない夜空なんて誰が言ったのだろう。 そんな夜は世界中どこにでもある。 見知らぬ夜の空は、不安になる。 見知らぬ夜の海は、落ち着かなくなる。 でも、しばらく眺めているうちに、心は落ち着き、闇に溶け込んでいくような気持ちになる。 昼間の太陽は眩し過ぎて、サングラスをかけて過ごすことがある。 サングラスというのは面白

      • たかが世界の終わり

        題名が心に刺さったのは久しぶりだった。 去年、一昨年、いや、もっと前のことだろうか。 うん、そうだね、と腑に落ちた。 今もその気持ちは変わらない。 そして、世界は終わってはいない。 現実世界が終わっていないだけで、その人の世界は終わったのだ。 そして、たかが世界が終わっただけなのだ。 たかが、という言葉の後には、されど、という言葉が続くことがある。 しかし、この場合、されどという言葉は続かない。 本当の意味で、たかがだから。 それだけの意味と価値を見出した

        • Scent of a Woman

          夢の香りという邦題は出色だろう。 それはまさに夢の香りだから。 花の香りのように。 夢のような。 夢でないような。 映画の中でふたりがタンゴを踊るシーンはとても印象に残っている。 そこで流れる「Por una cabeza」は好きな曲。 香りは記憶を呼び起こす。 匂いは感情を生む。 プルースト効果と呼ばれる。 特定のにおいがそれに結びつく記憶や感情を呼び起こす現象。 呼び起こす 記憶の欠片 花の香り 生まれる前にも きっと出逢っていた 目に見え

        夫婦別性

        マガジン

        • 東京名無和歌集
          50本
        • 僕と伯父さん
          14本
        • 【連載小説】雨の日の水溜りで遊んだのはいつの頃だろう
          24本
        • 花と花守
          14本

        記事

          前に進むには、何かを後ろに置いていかなければならない

          映画『インターステラー』の中で、ブラックホールから脱出する時のクーパーのセリフ。 自らがその“何か“となり、好きな女性を生かすために、後ろに置いていくべき存在となった。 彼女を前に進ませるために。 この言葉はニュートンの運動の第三法則として有名だが、改めてその当たり前のことを再認識した。 二つの物体が相互に及ぼす力は大きさが等しく、方向は反対(作用反作用の法則) 僕らは、何の気無しに、常に前に進んでいると思っている。 でも果たしてそうなのだろうか? そう自省する

          前に進むには、何かを後ろに置いていかなければならない

          花と弦月

          今宵は上弦の月。 弓張月。 弦月。 半月。 夜空には雲が浮かび、お月様は見え隠れ。 花を想う。 今頃どうしているだろう。 白銀色の月光を浴びているだろうか。 弦月の 見上げて想う 片割れを 花の傍 ずっと寄り添う

          花と弦月

          花の顔は上を向いて前を向く

          上を向くのは 涙が溢れないように 月を見るため 星を見るため お日様の光を浴びるため 前を向くのは 涙が出なくなったから どんな時も希望を失わないから 転ばないようにするために うなだれた うなじにそっと 手を添えて 息吹を吹きかけ 愛を注ぐ

          花の顔は上を向いて前を向く

          花は唇をかみしめて

          堪えてる 泣かないように 泣いていい 抱きしめられて 泣きじゃくるまで

          花は唇をかみしめて

          花の本性

          ふりしてる 美しいのも 本当は かわいい顔は ひとりにだけに

          花の本性

          花の逃避

          したくても 簡単でない 花だから それをわかって 花を逃がせし

          花の逃避

          花の泣き顔

          ひとりなら 誰も知らない いつまでも 泣いていられる 胸で泣きたい

          花の泣き顔

          雨男、雨女

          雨が降ると 誰かしら 何処かしら 声がする 雨男 雨女 それはまるで 自嘲するかのよう 晴れ男 晴れ女 晴れると 誰かしら 何処かしら 声がする それはまるで 誇らしげ 雨でも晴れでもない 男と女がいる 男は囁く 君の傘になりたい 女は囁く あなたの傘に入りたい ずっと守ってね

          雨男、雨女

          生きているということ

          辛さあり 苦しみもがき 涙する されどいつかは 楽しき時来

          生きているということ

          温もり

          いなくても 思うだけでも あたたかい 肌の温もり 心の中に

          温もり

          それから

          変わるもの 変わらないもの 多々あれど 変わりゆくのが 現世の習い

          それから

          あれから

          どれだけの 時が過ぎたか 忘れても 忘れなきこと 片隅にあり

          あれから