東京の夜

晴れた夜には星が見える。

シリウスは見つけやすい。

他にもデネブやアルタイル、ベガなどもそうだ。

金星は明け方や夕方に見かけることがある。

星も見えない夜空なんて誰が言ったのだろう。

そんな夜は世界中どこにでもある。


見知らぬ夜の空は、不安になる。

見知らぬ夜の海は、落ち着かなくなる。

でも、しばらく眺めているうちに、心は落ち着き、闇に溶け込んでいくような気持ちになる。

昼間の太陽は眩し過ぎて、サングラスをかけて過ごすことがある。

サングラスというのは面白いもので、心理的な遮断効果があるという。

時にはそれが孤独感を生むこともある。

東京の夜が面白いのは、世界から誰もいなくなって、自分だけ取り残されたような感じになることなのかもしれない。

天の河がはっきりと見えるほど満天の星空の下、芝生に寝転んで夜空を見上げていても、そんな気持ちになることはない。

そんな時に感じるのは、寧ろ、ひとりじゃないという感覚だ。


夜空を見ていると時の流れの感覚がおかしくなる。

相手は何百万年や何億年。

こちらはたかだか十年二十年、せいぜい数十年だ。

お互い違わないのは、限りがあるということだろう。

生まれては消えていくのは、人も星も変わらない。


東京の夜の下、思うのは、残り少ない時間をどう過ごすか、ということなのかもしれない。


花を愛で

花の傍

寄り添って

命の限り

愛しみたし

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