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雨を待ちながら(短歌集)
泣いてない君がなくても生きてける濡れているのは季節のせいよ
君はいつ水を飲むかと尋ねたり道端に居る紫の花
傘差すと君が離れる気がするの手持ち無沙汰の右手揺らして
外は今五分咲きくらいかベンティを片手に眺む交差点の華
花澤香菜さん、小野賢章さんとの結婚発表より詠めり
雨の日は水たまり蹴り歩むなり君が手を引く世の明るさよ
ため息ばかり(短歌集)
ため息ごめんねと吐き出すようにつぶやいた相手はこんなぼろぼろの僕
隣人に聞かせる声で泣けるなら胸の淀みは吐き出せるのか
何もなく悲しいことも嬉しくもなにもないのに涙は流る
昔話花の色は移りにけりと嘆きつつ写真の中は褪せることなく
口にすれば終わる二人は薄氷を踏み抜くことを愛だと言い張る
恋仲と歩いた道を遡れ遠い記憶を踏んで消すには
イヤホンを忘れた日には耳の奥響く歌声愛を説く君
片