短歌集

「かわいい」と打っては消して投稿が無難になるたび君は遠のく

下書きに残した気持ちは募るなり秘する心は無いのと同じ

言の葉よ破れ散りたる形なら口にするまで壊しはすまじ

いたづらにふるるべからず菊の花うつろうからに色のまされば

自らの温もりを抱く寝室の静かな夜は脈の声聞く

「あなたにはきっと素敵なひとがいる」慰めかけるあなたは素敵

叶うなら重ねた日々の行く先が花なるときか見てきてほしい

「さみしい」が「君に会いたい」とおなじだと言うことできず虚空につぶやく

暖冬と世間は騒ぐ冬の空雪がなければ解ける日もなく

君の目はいつも遠くを眺めてて近くの僕に気づく日は来ず

はにかんで眼鏡を外したときだけは君の視界にわたしが映る

恋なのか恋じゃないのか恋なのか君が頭を占める独り寝

夕暮れに七日の月が落ちるなり日を追うごとに高くなりゆく

同じ空見上げる君が指差したスピカは二人互いを廻る

同じ空見上げる君の見る星はわたしが見つけた星とは違う


お気に召しましたらちゃりんとお願いします。メッセージ、感想等お待ちしております。