化学書評

化学、主に有機化学に関する書評を投稿します。基本的にネットに情報が落ちていないようなマ…

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化学、主に有機化学に関する書評を投稿します。基本的にネットに情報が落ちていないようなマニアックな書籍をターゲットにしています。amazonアソシエイトを利用しています。

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化学系出版社

初めに 化学系の出版社一覧が欲しいと思ったことがないだろうか。一応、自然科学に関する出版社がまとめられたwikiの記事もあるのだが、数が少なすぎるので使い物にならない。従って、自分で作ることにした。 ただ、”化学系出版社”という概念があやふやなので、「化学系の書籍を一冊以上は出版していること」を最低限の条件とした。つまり、化学を主とした出版事業でなくても可とした。ただ、化学と編にいっても、分野は多種多用で、最近では融合が加速したことで分野間の境目も極めて薄いものとなってい

    • 書評:有機化合物辞典

      読んだ本 有機合成化学協会・編、有機化合物辞典、初版第1刷、講談社サイエンティフィク、1985年、1298頁. 分野 有機化学全般 対象 収集家 評価 難易度:無評価(辞典のため) 文体:無評価(辞典のため) 内容:悪 ★★☆☆☆ 良 総合評価:★★☆☆☆ はたして現代に価値はあるのか 内容紹介 ●学界・産業界の第一線研究者250余名が実用的内容をめざして執筆・編纂。 ●基本的化合物、重要な天然物はもとより、化学・製薬・食品工業の原料、製品、試剤から液晶

      • 気になる新刊(24/4~24/6)

        いつのまにか7月末になってしまいましたが、2024年第一四半期の気になる新刊をまとめました。個人的に今回は不作です。 ・生命起源の事典 この本は化学なのかと言われれば微妙なのだが、目次を見ていただければどんな分野の人も目を惹かれると思う。私は有機化学畑なのだが、”1-26 ホモキラリティ:鏡の中の世界はあるのか”や、”3-6 地球外物質とキラリティ”、”3-11~18 炭素質隕石の有機物”、”4-23 不斉自己触媒反応”など、見るからに興味をそそられるものばかりである。た

        • 書評:コスメの科学

          読んだ本 野々村 美宗 著、教授にきいた・・・ コスメの科学、第1版第2刷、フラグレンスジャーナル社、2020年、134頁. 分野 化粧品、有機化学 対象 少し化学をかじっていて、化粧に興味がある人 評価 無評価(学術書ではないため) 内容紹介 感想  私は生まれてこの方、コスメとやらに興味を抱いたことすらないコスメ素人である。ただ、知り合いから当書を貸していただく機会があったので、書評を書いてみた。  先に述べた通り、コスメなど全く興味がない。しかし、

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        化学系出版社

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        • ☆2
          7本
        • 書評:有機化学
          18本
        • ☆5
          4本
        • ☆4
          7本
        • ☆3
          7本
        • ☆1
          2本

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          書評:反結合性軌道の役割

          読んだ本 M Orchin, H. H. Jaffe 著、米沢貞次郎 訳、反結合性軌道の役割、第1版第7刷、東京化学同人、1979年、102頁、(現代化学シリーズ, 53). 分野 量子化学、分子軌道法 対象 学部生以上 評価 難易度:易 ★★★☆☆ 難 文体:易 ★★★☆☆ 難 内容:悪 ★★☆☆☆ 良 総合評価:★☆☆☆☆ 単なる量子化学の本 内容紹介 感想  量子化学の成書は、和書に限っても腐るほど存在している。しかしながら、反結合性軌道に焦点を

          書評:反結合性軌道の役割

          書評:元素楽章

          読んだ本 揚げ鶏々 著・イラスト、元素楽章、第1版第1刷、化学同人、2024年、149頁. 分野 元素化学 対象 中学生以上 評価 無評価(学術書ではないため) 内容紹介 感想  化学同人は以前から絵本などを発行しており、東京化学同人と比べると、割りとフリーダムに感じる(なんで化学同人が絵本を発行しているのか知っていたら教えてください)。従って、私個人としては、東京化学同人を”硬派”と表現すると、”軟派”な化学同人というイメージである(もちろん、学術書を

          書評:元素楽章

          書評:有機化学講座6 有機金属化学

          読んだ本 丸山和博 編、山本嘉則 成田吉徳 共著、有機金属化学、丸善、1983年、328頁、(有機化学講座, 6). 分野 有機金属化学 対象 研究室配属~大学院生 評価 難易度:易 ★★★☆☆ 難 文体:易 ★★★☆☆ 難 内容:悪 ★★☆☆☆ 良 総合評価:★★☆☆☆ 典型金属化学はまだ使える 内容紹介 感想  戦前の有機金属化学といえば、Grignard試薬やアルキルリチウム試薬程度である。にもかかわらず、戦後のたった数十年で、クロスカップリング

          書評:有機化学講座6 有機金属化学

          書評:Pythonで動かして始める量子化学計算

          読んだ本 野田秀俊 著、Pythonで動かして始める量子化学計算、初版第1刷、コロナ社、2014年、224頁. 分野 量子化学計算、量子化学、DFT、プログラミング 対象 初めてPsi4で量子化学計算をやりたい人 評価 難易度:易 ★★★☆☆ 難 文体:易 ★★☆☆☆ 難 内容:悪 ★★☆☆☆ 良 総合評価:★★☆☆☆ あまり親切ではなく、結局WEBで調べざるを得ない 内容紹介 【読者対象】 本書は「量子化学計算を始めてみたいと思った初心者」を対象に,量

          書評:Pythonで動かして始める量子化学計算

          気になる新刊(23/12~24/3)

           計算化学をやっていると一度は見たことがあるであろう、化学の新しいカタチというブログの主による書籍。タイトルの通り、Pythonを用いた計算化学についての実践的書籍のようである。目次をみると、本当に初歩的なところからSAPT法とマニアックな計算までのっているようである。私は基本的にGaussian, GAMESS, ORCAしか使わないのだが、これを機にPsi4に手を出してみてもいいかもしれない。著者自らによる紹介の記事もあるので参考にするといいだろう。 2024/4/5

          気になる新刊(23/12~24/3)

          書評:Gaussianプログラムによる量子化学計算マニュアル

          読んだ本 新化学発展協会 編、堀 憲次 監修、Gaussianプログラムによる量子化学計算マニュアル 計算入力法から実験値との比較まで、初版第2刷、丸善出版、2010年、120頁. 分野 計算化学、コンピュータ化学、DFT計算、量子化学 対象 Gaussianで特定の計算 (後述) がわからない人 評価 難易度:易 ★★☆☆☆ 難 文体:易 ★★☆☆☆ 難 内容:悪 ★★★☆☆ 良 総合評価:★★★☆☆ 痒い所に手が届く一冊 内容紹介  量子化学計算は、ソ

          書評:Gaussianプログラムによる量子化学計算マニュアル

          書評:有機合成のための遷移金属触媒反応

          読んだ本 辻二郎 著、有機合成のための遷移金属触媒反応、第1版第3刷、東京化学同人、2012年、154頁. 分野 有機金属化学、遷移金属錯体化学 対象 有機金属化学を初めて学ぶ学生 (B3~M1) 評価 難易度:易 ★★★☆☆ 難 文体:易 ★★★☆☆ 難 内容:悪 ★★★★☆ 良 総合評価:★★★★☆ 有機金属初学者向けといえばこれ 内容紹介  本書は有機合成化学協会の出版委員会の一企画として,とくに合成を専門とする有機化学者のために,錯体触媒を用いる

          書評:有機合成のための遷移金属触媒反応

          書評:有機化学のための量子化学計算入門

          読んだ本 西長亨・本田康 共著、有機化学のための量子化学計算入門-Gaussianの基本と有効利用のヒント-、第一版一刷、裳華房、2022年、224頁. 分野 計算化学、コンピュータ化学、DFT計算、量子化学 対象 GaussianでDFT計算を始める初心者 評価 難易度:易 ★★☆☆☆ 難 文体:易 ★★☆☆☆ 難 内容:悪 ★★★★★ 良 総合評価:★★★★★ 初心者用Gaussianマニュアル書の頂点に君臨 内容紹介  量子化学計算に興味はあっても

          書評:有機化学のための量子化学計算入門

          書評:電子構造論による化学の探求 第二版

          読んだ本 田崎健三 訳、電子構造論による化学の探求、第二版第6刷、ガウシアン社、1998年、302頁. 分野 計算化学、コンピュータ化学、DFT計算、量子化学 対象 GaussianでDFT計算を始める人 評価 難易度:易 ★★★☆☆ 難 文体:易 ★★★★☆ 難 内容:悪 ★★☆☆☆ 良 総合評価:★★☆☆☆ 公式本だが良書とは言えない 内容紹介  「電子構造論による化学の探究」は計算機化学の入門書です。化学現象の研究に電子構造論をどう適用したらよいか

          書評:電子構造論による化学の探求 第二版

          書評:有機合成の定番レシピ

          読んだ本 上村明男 訳、研究室ですぐに使える 有機合成の定番レシピ、初版第6刷、丸善、2017年、246頁. 分野 有機化学、実験化学 対象 有機系研究室に配属されたB4 評価 難易度:無評価(実験書のため) 文体:無評価(実験書のため) 内容:悪 ★★★★☆ 良 総合評価:★★★☆☆ 初心者向け有機化学実験書の双璧をなす 内容紹介  合成化学者必携。あなたが思い描いた化合物、さて、どのようにつくるべきか。どんな反応を用いればよいの?どんなテクニックがあ

          書評:有機合成の定番レシピ

          書評:研究室で役立つ有機実験のナビゲーター

          読んだ本 上村明男 訳、研究室で役立つ有機実験のナビゲーター、第3版、丸善、2018年、370頁. 分野 有機化学、実験化学 対象 有機系研究室に配属されたB4 評価 難易度:易 ★☆☆☆☆ 難 文体:易 ★☆☆☆☆ 難 内容:悪 ★★★★☆ 良 総合評価:★★★★☆ 初心者向け有機化学実験書の双璧をなす 内容紹介  実験を行ううえでもっとも重要である基礎的な技術や知識についてまとめた入門書として好評を博した書籍の第3弾。実験ノートの取り方など「いまさら

          書評:研究室で役立つ有機実験のナビゲーター

          書評:合成化学者のための実験有機金属化学

          読んだ本 佐藤史衛・山本經二・今本恒雄、合成化学者のための実験有機金属化学、第1版第1刷、講談社サイエンティフィク、1992年、270頁. 分野 実験化学、有機化学、有機金属化学 対象 有機系に研究室配属されたB4以上 評価 難易度:無評価(実験書のため) 文体:無評価(実験書のため) 内容:悪 ★★★★☆ 良 総合評価:★★★★☆ 特化したからこその良著 内容紹介 合成手法の実際と適用範囲を詳述した実験書大きな発展しつつある有機金属化合物を利用する合成

          書評:合成化学者のための実験有機金属化学