増税すべきか、減税すべきか、積極財政をすべきか:本当に行うべき経済政策とは

「経済政策や財政政策をどうすべきか」という話を聞いたことがあると思う。
それらの議論は大抵、経済学の小難しい議論に持っていかれることが多く、大抵の場合は、経済学に疎い一般人にとって理解が困難な内容に持っていかれてしまう。

議論の入り口は「増税すべきか、減税すべきか」という二択であり、単純で議論しやすそうな切り口から始められるのだが、議論が始まった瞬間に、「プライマリーバランスがどうだ」とか、「財政規律がどうだ」とか、わけのわからない話を始める。
筆者は金融経済の分野に20年ほど在籍し、アナリストやエコノミストと呼ばれる職に就き、その分野を専門として専門家たちと何度も議論をしてきたが、専門家たちでさえ、「プライマリーバランスを維持すべきだ」といったような議論をする時でさえ、その中身は人によって詳細はバラバラであり、話が噛み合っていないことが多い。

筆者はそういう議論を「空中戦」と呼んでいる。
平面で戦うことを基本とする「地上戦」に比べて、空中戦では水平面だけでなく、上下の高度も自由に行き来することが出来るため、議論の的を絞ることが出来ないまま、議論の中身だけが発展してしまうため、収拾がつかなくなるからである。

この「空中戦」は、専門家同士の議論で行われているだけではなく、国会答弁においても行われている。
昨今の裏金問題についての国会での追及では、一般的な国民に十分理解できる内容であるにも関わらず、岸田文雄は「国民の批判を真摯に受け止めて対応していきたい」という不誠実で謎な回答をしているし、財務省は遠回しに「裏金を追求することは求めず、脱税を容認する」と回答しているために、国民からの批判が殺到している。

だが、財政・金融政策については、先の説明のように専門用語を多用することで、「空中戦」に持っていくことが容易である。
一旦、「空中戦」に持っていくと、政府・官僚は現在行っている不正を隠蔽し、責任を逃れ、引き続き不正を継続して、国民の血税を勝手に盗んで私腹を肥やし続けることが出来るのである。

そもそも、「今の日本経済においては増税は絶対に行ってはならず、減税すべきである」というのが結論だが、単純に減税すれば良いかというと、話は簡単ではない。
減税することの影響をどのように対処するかというのは、専門的には複雑な話になってくるため、再び、政府や官僚による「空中戦」に持っていかれるのである。

一部の政治家や言論人が「減税をして積極財政をすべきだ!」と主張しているが、それも単純な話ではないのである。
筆者の記事を読んで、「空中戦」に持ち込まれないインテリジェンスを身に付けてもらいたいと願う。



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