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故障ばかりしていた僕が「ランナーが故障するメカニズム」を解説してみた。①

前回の記事、需要と供給のタイミングが奇跡的に合い、想像以上の反響でした。読んで下さった方、拡散して下さった方、本当にありがとうございました。

前回の記事↓
現役実業団選手がヴェイパーフライをガチレビューしてみた。

改めまして、このnoteでは僕が『速く走るために考えてきたこと』を書いていこうと思います。 

第二回目の今回は、軽い自己紹介とランナーならではの『痛み』について言語化し、解説していきたいと思います。 

自己紹介

さて、今更自己紹介なんですが、以前、RUNNING CLINICの宮川さんにインタビューして頂いた記事を読んで頂ければ、大体僕がどんな選手か分かると思います。すごく良い感じにまとめて頂きました。笑 

インタビューの内容は主に『故障』について。

ランナーに故障はつきものですが、僕も数多くの故障を繰り返してきました。そんな自分だからこそ伝えられることがあることがあるのではと思い、インタビュー記事の内容よりも更に深掘りし、ランナーならではの『痛み』とその対処方法について出来るだけ分かりやすく解説していきたいと思います。 

故障ばかりしてきた

僕は今まで沢山の故障をしてきました。足底筋膜炎、シンスプリント、舟状骨疲労骨折、中足骨疲労骨折、アキレス腱炎、グローインペインなど…。大袈裟じゃなく、僕の競技人生はずっと、脚の痛みとの戦いでした。そして競技者でいる限り、この問題からは逃げられないと思っています。 

故障を経験した人なら分かると思いますが、競技者にとって故障をして走れなくなるということは、どんなに厳しい練習を行うことよりも辛いです。特に、なかなか治らない長期故障は何もかも投げ出したくなる気持ちにさせます。「この痛みはずっと無くならないんじゃないか」、「チームメイトとの力の差が追いつけない位になってしまっているんじゃないか」と、益々ネガティブな気持ちに向かわせます。そして挙句の果てに無理をして故障を悪化させます。 

僕はそんな地獄のような経験を何度も味わってきました。振り返ってみると「あの時こうしていれば…あの時こうしなければ…」という後悔ばかりです。そして今の自分の知識があれば、防げた故障もあったように思います。「故障をして得るものがあった」とはよく聞きますが、はっきり言って故障をしないに越したことはありません。 

なので今回は「かつての故障ばかりしていた自分に伝えられる事があるとするなら」というつもりで書いていこうと思います。 

トレーナーとの出会い

これだけひどい経験をしてきたと書きましたが、僕の場合、幸運なことに、故障の度に助けてくれたトレーナーとの出会いがありました。その方々は単なる「トレーナーと患者」という関係だけではなく、僕に寄り添って考えてくれました。身体のあれこれについて、しつこく聞く僕と対話してくれました。その方々のお陰で、より自分の身体を知ることができたし、ここまで競技を続けられていると思っています。本当に感謝し尽くせません。このnoteにまとめている内容も、トレーナーの方々との対話によって、少しずつ言語化することが出来ています。 

脚が痛くなるメカニズム

前置きが長くなりましたが、ここからが本題。脚が痛くなるメカニズムについて考えていきたいと思います。 

まず大前提として、脚が痛くなるのには必ず何かの理由があります。そして、当たり前のことですが、陸上競技という種目は速さを競い合う競技なので、どんなにアンバランスなフォームであろうが、アウターマッスルを総動員しようが、速ければ何でもありです。しかし、間違った身体の使い方をし続けた場合や、オーバートレーニングの代償として、身体はイビツに緊張し、最終的に故障を招いてしまいます。

それを分かりやすく説明するために、故障までの過程を6段階(フェーズ)に分けて考えていきます。

フェーズ0 フラットな状態(元の状態)
フェーズ1 単なる疲労・筋肉痛
フェーズ2 一箇所の強い張り(主原因)
フェーズ3 二箇所以上の強い張り(崩れた状態)
フェーズ4 軽度の痛み(主訴)
フェーズ5 故障 

人間の身体には「元の状態」(フェーズ0)に戻ろうとする、ホメオスタシス(恒常性維持)という機能が備わっています。トレーニングで疲れていても、しっかりご飯を食べて寝れば、回復していくのはそのためです。 

しかし、あまりに「元の状態」を無視し続けていると、脳は「元の状態」ではない「崩れた状態」を「元の状態」と錯覚して認識します。こうなると、しっかりご飯を食べて寝ていたとしても回復はしません。そして、その状態は限りなく故障(痛み)に近い状態だと言えます。 

どう対処するか?

そんな時はどう対処すればいいか。 

それを考える為に、フェーズ2(1箇所の強い張り)からフェーズ4(痛み)に移行するメカニズムをより詳しく考えていきたいと思います。 

筋肉Aが固まる(フェーズ2)→
脳は筋肉Aが固まった状態を「元の位置」と認識する→
その状態で走り続ける→
元のように動かせないため、代償として筋肉Bが固まる→
脳は筋肉A.Bが固まった状態を「元の位置」と認識する(フェーズ3)→
その状態で走り続ける→
筋肉Bに強い張り感・痛みを感じる(主訴)(フェーズ4) 

フェーズ4まで来ると、すぐに元の状態に戻すのは難しくなります。脳が崩れた状態を元の状態と認識しているためです。そのため、筋肉Bを緩めたとしても身体は「筋肉Bが固まった状態」に戻ろうとします。

厄介な点は、本人がよほど注意深く身体に気を遣っていない限り、「筋肉Bが固まり、痛みや違和感が出た」ことによって、初めて異常に気付くということです。その時点で主訴(筋肉B)だけでなく主原因(筋肉A)にアプローチしない限り、フェーズ2〜4を行き来します。そして、いくら治療してもずっと脚の痛みを抱えたままの状態となり、「治療のいたちごっこ」になってしまいます。

対処法としては、このメカニズムの逆を考えます。 

実際に強い張りを感じる筋肉(筋肉B)を緩めた後に、その筋肉が強く張ってしまう原因となった筋肉(筋肉A)を緩める。更に既に脳が「元の状態」でない「崩れた状態」を「元の状態」と認識しているため、脳に「元の状態」を再認識させるようなエクササイズを行う。

以上をまとめると、こんな感じです。 

・主訴である筋肉Bを緩める
・主原因である筋肉Aを緩める
・元の状態を再認識させる 

このように文字にすればとても簡単なことのようですが、元の状態に戻るためには、この作業をしつこく繰り返す必要があります。そして、この作業を行わないまま、トレーニングを行っていても当然パフォーマンスは上がりにくいです。 

今回挙げた例は、筋肉Aと筋肉Bの2箇所のみの場合でしたが、3箇所、4箇所と強く固まってしまう場合があります。そうなると、より痛みを感じやすくなり、元の状態に戻すのには時間と労力がかかります。それは、「案外解くのが簡単なパズル(身体)をぐちゃぐちゃで難解なものにしてしまう」からです。

経験上、フェーズ4(痛み)まで来たら、身体はかなり難解なパズルになっていると考えて良いと思います。その場合は、まずはトレーナーに全身の筋肉をくまなく解してもらい、その後に原因を探さなければなりません。問題は本人が思っているよりも根深いはずですから。それゆえに、「何故だか分からないけど脚の不調や痛みが無くならない」時は、「ただ原因を見つけられていないだけ」だと僕は思います。

そして、残念なことに筋肉や腱や骨などを完全に痛めてしまった場合(フェーズ5)は、組織が癒えるのを待つしかありません。厳しいことを言うようですが、それは「原因を見つけられずに身体の声を無視し続けた結果」です。必ず何かしらの前兆があったはずです。しかし、僕の経験上、リハビリ段階においても故障をした原因を見つけることは確実に回復のきっかけになると思います。

このように、間違った身体の使い方をして、尚且つ、身体の声を無視し続ければ必ず足は痛くなります。つまり、全ての痛みには必ず原因があり、痛みを無くすには原因を徹底的に追求するしかないのです。

なぜ、そこまで強く言い切れるのか、といえば実際に僕自身がそうだったからです。 

ある時の僕の例を挙げてみます。 

体幹(骨盤)が安定しない
→トラックを順走(左回り)で走る
→骨盤の右回旋の動きが強くなる
→骨盤の左回旋の動きが弱くなる
→接地が安定しない
→バランスを取ろうと左腰方形筋の緊張が強くなる
→左の肩が下がり、左の骨盤が上がる
→左偏位(左重心優位)になる
→バランスを取ろうと右の肩が上がる
→左足が短くなる
→バランスを取ろうと左足首の内反が強くなる
→左アキレス腱に負担、痛み
→左足をかばう
→右足首に痛み(故障) 

更に細かく書くことはできるのですが、大体こんな感じです。この際は、下記のようにして元の状態に戻していました。

・主訴である右足首と左足首(内在筋)を緩める
・主原因である左腰方形筋と左肩甲骨付近を緩める
・元の状態(正しい使い方)を再認識させる 

以上のように、脚が痛くなるメカニズムを意識し始めてからは、大きな故障をする前に適切な処置が出来ていると思います。実際、長期の故障は減ったと実感しています。

根本的なアプローチとは?

しかしながら、主に高強度のトレーニングをすると、どうしても脚に違和感や痛みが出てしまい、その度に治療院に行って元の状態に戻さなくてはなりませんでした。そうなると、なかなか高強度のトレーニングを継続することは出来ません。

「根本的なアプローチとは何なのだろう?」

特に近年はその疑問をずっと抱えていました。そして、ある時フェーズ0〜フェーズ1をキープさせることが根本的なアプローチになるはずだと気付いたのです。

(続きです↓)

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