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高卒就職者に求められる能力は結局、学力と関係がないのか?

私は今、高校の進路指導部を担当しています。勤務校では伝統的に昔から就職者も多く、企業訪問をしたり、求人を持って来られる企業の方々とお会いする機会が随分とあります。そして、企業の方が来校された際に必ずする質問があります。

「どんな生徒が欲しいですか?」


答えはいつも、だいたいこんな感じです。

運動部の生徒。
3年間運動を頑張った生徒。野球部の生徒。
欠席の少ない生徒。
素直な生徒。
元気で明るい生徒。
誰とでもうまくやっていける生徒。
休まずに出勤できる生徒。

どこの企業の方も、勉強の成績や知識、資格などは話題にもしません。つまり、どんなに学校の成績が悪くても元気で明るくて野球部を3年間続けた生徒ならば就職先があるということです。

実際、授業中にどれだけ寝ていても、どれだけ成績が悪くても優良企業へ就職する生徒はいますし、長く働き続けていれば、教員の何倍もの収入を手にする卒業生もたくさんいます。

教師にとったら、これはとても虚しい現実ではないでしょうか。生徒は学校で良い成績を収める必要がなく、素直で明るく元気であればそれで良いと社会が証明しているのです。

これは高校を卒業して働く生徒の例ですが、基本的には大学を出て新卒で働く方々とも重なる部分があるのではないでしょうか。多くの日本の企業はまだまだ専門的な知識を持った人を雇うと言う感覚は薄く、それよりは素直で誰とでもうまくやっていける人材を雇用し、企業の思うように働く人材へと教育します。そのため、特定の考えを持っていたり、持ちすぎていたりすると嫌われる傾向にあるのです。

グローバル人材になるものが実際には日本の企業では毛嫌いされると言うことについては以前書きました。⬇︎

結局、学校の成績と言うのは、多くの人をふるいにかけるための道具でしかないのでしょうか。学校で教えられることとは、他にどんなことがあるのでしょうか。明るくて素直で元気である事はもちろん素晴らしいことですが、しかしそれだけで良いのでしょうか。

進路指導部で企業の方々の目線を通して学校教育を考えてみたり、就職に向けて一生懸命、取り組む生徒たちを見ていると、色々と考えさせられます。


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