見出し画像

What did you do on the weekend?" に答えられない日本の生徒をどう考えるか

長期休暇や連休後の英会話の授業で良くあるのが、お休み中に何をしたか?というやりとり。

もちろんこれは日常会話では雑談の一種で、コミュニケーションのとっかかりになるようなたわいもないものでもあります。

でも、それが言えない生徒が本当に多い。

そして、私の問題意識は、それは英語の能力の問題だけでないと言うこと。

もちろん文化的な違い(月曜日や休み明けに週末の話や休みに何したかなんてまず話さないことが多いと言うこと)はあるにせよ、”What did you do on the weekend?"に対する最も多い答えは、

「え…何にもしてない」です。

「何にもしてないわけないやろー!?」と速攻で突っ込みそうになるのですがそこはぐっと堪えて、「テレビ見たとか、友達とこんな話したとか、本読んだとか、友達とご飯行ったとか、妹と喧嘩したとか」と提示すると「あ、部活した」とか「あー、ゲームしたな」とか出てきます。そして、それがWhat did you do on the weekend?に対する答えでいいのです。

「週末何をした?」が生徒には「週末に何か【特別な】ことした?」に聞こえてるのではないかなと思います。例えば旅行に行ったとか、コンサートに行ったとか、イベントと呼べるような特別なことがないと言えない、または言う価値がないと思っているのです。

そう言う私も高校生の頃はALTがなぜいつも人の週末のことをこんなに根掘り葉掘り聞いてくるのか不思議に思っていた一人でした。「他に聞きたいことないんかい」とか「学校行って部活してるだけの平凡な日常にそんなに語ることないやろ」と冷めた態度で思ってた高校時代。多分、今の高校生もそう思っているのかもしれません。

でもそれって、本当は他に聞きたいことがないから聞いてるわけでもないし、平凡な毎日だから語ることがないわけでもないんですよね。英語圏文化の人たちにとったら単なる日常会話でも結構基礎的で重要な会話でもあります。そこから人間関係ができていくような階段の1段目です。生徒には、まずこの1段目で踏み外して欲しくない。

それに、自分のことを語れると言うのはとても大事なことです。特別なことしか語れないのではなく、日常にも意味を見出したり、平凡でも人と違う自分の行動や生活に目を向けることは大切な作業です。自分のアイデンティティについて考える時間を学校でもっと持ちたいと言う話にも通じます。週末や自分の時間を大切に過ごすメンタルヘルスにもつながるかもしれません。

会話の階段の1段目をさっと気持ちよく駆け上がれる生徒を育てたいものです。



Teachers of Japanではティーチャーアイデンティティ (教師観)の発見を通じて日本の先生方がもっと自分らしく教育活動に専念し本来は多様である「教師」の姿を日本国内外へ発進しています。日本の先生の声をもっと世界へ!サポートいただけたら嬉しいです。