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もう負けないよ、私

会社を休んでしまった。
朝が来るのが怖くて、瞼を開けるのが嫌で、
起き上がっても体が鉛のように重くて動けなかった。

行かなくちゃと頭が思っても心と体が拒否していて、ただぼーっとテレビに映る時計を眺めていた。
結局、会社には行けなかった。
体調が悪いので休みますと電話をかけた。上司は心配しているようで鼻で笑っているような気がした。今の私にはそんなふうに聞こえてしまっただけのかもしれない。

自分に勝てなかった。負けてしまった。
社会人になってから負けた日はなかった。想像を超えた繁忙期も乗り越えたのに。
私は逃げてしまった。色んな人の苦い顔がよぎって、人を恨めしく思う自分と自分のせいだと責める自分がいて、全部が私を苦しめていた。
こんなことで逃げていたら逃げる癖がつくようになるんじゃない?這ってでも行くべきだったんじゃないのか。 そんなことを布団の中で反芻していた。

かえるさんは嫌なことひとつで逃げるんだ
そんなんじゃこれからやっていけないよ

そんな声が聞こえてくるような気がしてしまう。休んでしまった現実に押し寄せるのは罪悪感だけで苦しい。情けない。社会人失格。弱い。ずるい。
ただただ眠った。途中でうなされて叫んでしまった。(近隣住民の方、ごめんなさい。)

週末に実家に帰っていたから、その時に食べたすき焼きの味、香り、光景が蘇って、帰りたい。母の料理が食べたい、と思ってしまう。
母は必ず毎朝おはようと行ってらっしゃいのLINEをくれる。それに対していつも私は、おはようと行ってきますのスタンプふたつで返す。
会社を休むことを知らない母から、もちろん今日もLINEがきた。休んだことを知られたくないからいつも通り返そうって思っても、私は馬鹿だからおはようのスタンプひとつでしか返せなかった。行ってきますとは送れなかった。ごめんね、母。休んじゃったよ。頑張れない娘でごめんね。


元バイト先の年上の友人には休んでしまったことを正直に言った。

私の周りは優しい人ばかりだ。こんな私を怒ってくれるような人がいてほしいのに。
そんなんじゃダメだと叱ってくれればいいのに。
お前はそんなんだからダメなんだと。


明日は負けないように頑張るね。



ネガティブ一色の投稿なんてしたくなかった。
誰かの背中をさすってあげられるような、そんな文章をこの場所には残したかったのに。
暗い気持ちにさせてしまう文章を残してごめんなさい。
自分への教訓としてあえて残します。こんな自分にはもうならないように。


母が作ってくれたすき焼きの写真、撮っておけばよかったな。おいしかった。温かった。また食べたいな。
また食べに帰るために頑張るからね。もう負けないよ、私。


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