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いつまでもそうよ

宇多田ヒカルを聴いてゾーンに入っても
ちらつくのはいつも同じ男で
いい恋愛小説なんて書けるはずもなく
ズブズブと日々の疲れに浸っている

私の1番愛した人
と、かつての友人が話した男の子は
私が1番恋焦がれた男の子で
お互いにキチンと歳をとった。

時々考える
いま、あの小学生の頃に戻れるなら
わたしはあの狭い教室の中で
また彼に恋をするだろう
生意気そうな目と
恐ろしいほどのナルシスト
今は喫煙するのび太くんみたいだけど
それでも彼は
あの頃の夢を叶えていた

狂おしい夢だったと思う
あんなにも長い間
恋ができるなんて誰が思っただろうか
席替えは楽しみだった
彼のナルシストな発言が
好きだった

ガンダムにスターウォーズ
モデルみたいなお母さんに
いつだって優しいおばあちゃん
やたらとセンスのいい服を着て
通学帽にはナイキのマークをつけていた

彼は宇多田ヒカルの
オートマティックを絶賛した
わたしも大好きになった
よく分からないけど
彼ばかり見ていた
意味がわからないくらいカッコよかったから
はじめて同じクラスになった時から
電気が走っていたから

手紙を書きたいなと
今だから思う
お互い遠い場所にいて
ようやく会えなくなったから
彼はわたしに見つめられ
心底うんざりしていた
わたしもそれが辛かったから

ずっとずっと好きだった
理由なんてなかった
どれくらい好きだったかといえば
他の人を好きになって
こころのそこから
ほっとしたくらいに。

ずっとずっと好きだった
理由なんてなかった
どれくらい好きだったかといえば
他の人を好きになって
こころのそこから
ほっとしたくらいに。

もしうっかり会ってしまったら
ドライブにでも誘うだろうか
見晴らしの良い国道をぶっ飛ばし
あなたをすっかりビビらせた後は
安全運転であなたを送り届けるだろう
そんな事は
かなわないから
あの頃に浸れるのだ



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