それは喪失を受け入れる物語。

ちょっ、おま、何言ってんのか分かるようで分からない。
そんな物語が確かにある。
それこそがエヴァンゲリオン。

通称エヴァ

なのである。

皆がすごいすごいと言うし、あの破滅的なハ短調の曲(残酷な天使のテーゼね)を歌いこなすには原作を見る必要があるなと思い、15年ほど前にバイト先から程近いレンタルビデオ屋で

VHS

を借りて、アニメ版を全部見た。
一通りみても意味わかんなくて、さらに映画版をみてももっと分からなくて、これはもはや破滅的な中二病や厨二病を楽しむべき嗜むべきアニメーションなんだなと、原作公開からすでに10年経っていたにもかかわらず、ほーーっとぼーーっと無理やり納得させていた。
んで、2008年くらいに確かエヴァの最新映画版が公開して、すぐに友人と新しくできた映画館に見に行って、その映像美と第三使徒の死に様に感動したのを覚えている。

次回作もみるぞ!!!

と強く心に誓ったけれど、やっぱり意味わかんないからいいや、と結局初回をみて終了。
長い年月をかけて、高橋洋子さんから自分のものへと変えていった宇多田ヒカルさんの強引さ力強さを肌で感じることなく、気がついたらエヴァは終わってしまった。
もう戻ることのないエヴァンゲリオン。
緒方恵美さんの声が、それをそっと、でも確かに全世界に伝えていた。

宇多田ヒカルと緒方恵美。そして三石琴乃。
エヴァンゲリオンは私の大好きで溢れているアニメーションで、私のバイブル。
でも全然意味わかんない。前々前世からずっとずっと分かんなくて、そのバイブでバイブレーションして一生震えていれば良いと、自分でも思っている。

あぁ、神よ。否アニメーションに対する深い愛情を持つ者達よ。
違うな、あの人達はアニメ界の神様だ。
どうしてあんなにも複雑で込み入った、愛憎溢れる血生臭い困難な作品を生み出してしまったんだ。
そもそもあの楽曲の歌詞もやっぱり意味わかんなくて、めっちゃくちゃ壮大な感じで、なんかいい。ハ短調ってのも破綻してる感じがして良い。魂のルフランはもっと意味わからなくて、私はそれを輪廻転生の仏教の歌と、信じてやまない。
まあとにかく、なんかすごいアニメなんだな。

以前宇多田ヒカルさんのInstagramのストーリー?生配信?で庵野監督との対談コーナーがあって


それがアニメオタクのうんちくをキレイなお姉さんが聞く夜の街的カウンセリングとても深く深く、結局のところ宇多田ヒカルの歌は喪失で、エヴァンゲリオンは喪失を受け入れるお話ですと結論付けていて、なんだかとっても強引で楽しかった。
その所々訪れる

がね、新しくて静かで優しくて、スナック光が約20年ぶりに帰ってきたようでした。
まあねヒカルお姉さんはお酒飲んでましたし。
また庵野監督は、奥様の漫画のカントク君そのもので、とってもよかったです。
初めて本人を映像で見て、にてる!!と思ったのは新鮮でしたハイ。

あと、宇多田ヒカルさんは息子さんから、ママは綾波に似てる!と言われたらしい!
マジか!?と思ったが言われてみれば、ほしのあきにも似てるとバンドメンバーから言われ、本人もなぜ!?と思ったらしいが、ほしのあきは綾波レイ系の顔だわ(わたし的に)
うーん、宇多田ヒカルさん、普段無表情なんか?
そしてあんまり強くなさそうで、か弱い感じなんだけど実は結構強い!と言われたら確かにそうなので、えー!?自分で言っちゃう!?でも息子さんに言われたのならそうか!と思った。
本当めちゃくちゃファンだしな。これでも初期からの生粋の。

なんだかんだでですね、やっぱり綾波の悲しそうなか弱そうな目と、静かなる強さが好き。
この綾波の目を見つめながら宇多田ヒカルを聴いてしまうと、とびそうになる。
ゲンドウは、ユイと何を見て何を語り合ったのだろうか。またユイは何を話したのか。



私はこの綾波レイの顔を見ながら、宇多田ヒカルさんが1番辛い時に、週刊誌に撮られた顔を思い出す。
とても悲しそうで、不思議なことに子どもみたいで、悲しい時はみな子どもに戻ってしまうのかも知れない、と思った。
あの写真は撮られるべきものではなかった。
さらに公開されるべきものでもなかった。
そんな事は分かりきっているから、もう2度と見る事はないけれど。

綾波レイは何度でも生まれ変わるけど、宇多田ヒカルはたった1人のその肉体で、なにもかも乗り越えなければならない。
何度でも甦る肉体から湧き出る諦めと、大切なものを失い受け入れる過程は、とても似ているのかもしれない。
だとしたら2人の持つ心は、とても似通っているんじゃないかと、この綾波レイをみて感じている。

初めてのルーブルがなんてことなかったとしたら、その胸には大事なものが既にあって、それがなんらかの生きる力の源と知る。
綾波、弱くないもんね。
お母さんって生き物はさ、皆だんだん強くなっていくのさ。多分ね。

残酷な天使のテーゼでは、いつか失うものを受け入れようと足掻いていて、魂のルフランでは、自分のもとに帰っておいでと叫びながら歌っている。
でも最後はこの歌を聴いて、みんな優しく喪失を受け入れようね、って事にしておこうかな。

※文章内で曲の解釈が色々変わっておりますが、たまたまみたネット記事をよみ、そうか!と書きながら納得した次第です。お許しを。
とにかくこの3曲は、子育て中のお母さんが聞くべき曲。例え親子であってもさ、腹から出たら完全に別の生き物だしね。

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