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ヤクルトで眠れ。

私は惰眠を貪ることが好きでした。
いつまでもだらだらと、食事もろくにせず、ぐーぐーと昼まで寝ることが大好きで、いつもいつもそうでした。
グダグダと昼過ぎに起床し、遅すぎたブランチを食べ、またうとうとしながら夕方ごろからゴソゴソしだす。
これが若い頃の休日の過ごし方で、まあそんな具合にダラダラしていたのです。

まあ、なんて覇気のない生活なんでしょう?と驚かれた方もいらっしゃると思いますが、リーマンショック以降の若者なんてそんな感じじゃないですかね?
だってお金はないし、更にいまどき賄い付き洗濯サービス付きの寮がある就職先なんてありません。
それは正直実家暮らしでの就職となんら変わりませんし(つーか下手な実家暮らしより快適で楽よね)いまは家賃払って食うだけが辛うじて可能なお給料しかもらえません。
労働時間も長くって生活もカツカツですから、休みの日は最低限の掃除や洗濯をして終わり、あとは寝るだけ、みたいな生活の人はいっぱいいるはずです。
私もそんな地獄の時代がありましたよ。

相場より高い値段で社長所有のマンションを借りさせられ、ついでに管理者も社長だから、いつだってタダで社長と寝られるというクソみたいな契約を交わし、そこに住んで働かないか?と言われたことがあります。
結局、契約書にハンコを押す前に夜逃げ同然で逃げましたが(あの社長所有のマンション、今どうなったんだろ…)あの社長はなぜ私と契約を交わそうとしたんでしょうか。
きっとタダでヤレるからでしょう。

あの社長は私の持参した履歴書を
「よくある文章ですね」
と、嫌味ったらしく酷評してくれましたが、正直やりたくもない仕事を、縁もゆかりもない土地にあるその会社のホームページを見ながら、よくある無難な、とくに欠点すら指摘しようのない文章を(相手方も決定的な問題がないからこそ、その程度の嫌味しか言えない)1時間ほどで書いたんですから、大したものだと思うのですが。

まっ、そうでもしなければ仕事がない時代でした。
あの社長はそんな我々の足元を見て、人を採用し続けましたが、時代がかわりコロナもありで、本業では全く稼げず、今や副業で糊口をしのいでいます。ちょっぴり哀れではありますが、まだしばらく社長の座には座れろうですし、そしていつかは会社は社員の誰かに乗っ取られ、そしてその長い歴史も終わるでしょう。

とにかく私は寝るのが大好きでした。
若い頃は、飲んで帰って、お風呂に入ってセックスをして、シャワーをあびて、寝て起きて、ご飯を食べたらセックスをする。
そしてまたウトウトしてしまう。
彼氏がゲームをする傍、私はスヤスヤと寝てしまって、起きるとまたセックスをしている、なんてこともあったりしました。

でもね、びっくりしました。
妊娠した途端、私は不眠に陥りました。
全く眠れなくなってしまったのです。

中途覚醒はもちろん、極端に寝付きが悪くなり、朝まで寝られないのは当たり前でした。
辛かったです。
その上実母からは、まるでおしんの姑のようにいびられました。
だらしがない、いくじがない、そんなのではろくな赤ん坊が生まれない。
おかげさまで母子ともに死にかけました。
まったく。
あの時のアイツにヤクルト1000本ノックしたい。
かっこいいとこ見てみたいと叫びたい。

ところでヤクルト。
本当に不眠に効果的なのでしょうか?
現在バカ売れで転売ヤーが血眼になって探している商品なんだとか。
つば九郎も飲んで、朝から寝床でぐーぐーしてるのかな?

今日ももうすでに寝たい。
やる気は果てしなくない。

ヤクルトレディの息子だったお友だち、元気かな。
君のことは、結構好きだったんだよ。
ゲームの話、粗暴じゃないところ、ウィットに富んだ発言。いつも出してくれたヤクルト。
なんだか君のことは、忘れたくないや。

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