秋川 美鈴

2024年、植物を通じて心身機能の回復の仕事ができるようにしていきたい。居心地の良い緑…

秋川 美鈴

2024年、植物を通じて心身機能の回復の仕事ができるようにしていきたい。居心地の良い緑の環境を作り出せるようになりたい。園芸療法士になりました。ランドスケープデザイン勉強中。好きなもの:濃いめのミルクティー、フェアアイルセーター、チロリアンテープ、小さな花園、昭和建築。

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  • 犬の思い出

    我が家の犬が出てくる詩をマガジンにまとめました。

  • 猫と詩

    猫が出てくる自分の詩をまとめました。

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不思議な時間

しん、とした庭 ただひたすらに スケッチブックに 鉛筆を走らせていた 何も考えず ただ一心に見つめる 目の前の 草木と苔と石だけを 作庭家が そこにここに植えた 一本々が 置いた石の 一つ々が にわかに 私の中で意味を持ちだす 会話とは こんな風にも 交わすことができるのか 時代を 時間を 場を 越えて かつての造り手たちの 考えや心根に ふと触れることがあるのか 不思議の時間 永遠につながる 無の時間

    • こんにゃくらいよるに🐈

      よくきたな まあはいれよ ちらかってるけど どこかすわって ああ うん そのへんのもの どけてくれていいから え? げんきだよ そう? やせたかなあ? ま もうとしだしな さいきん まえほど たべないな うん そいつらぜんぶ うちのねこ なんびき? さあな はっぴきか? また えんがわのしたで うまれたからな かあちゃんは うちのにわにきてたのらだよ はい こーひー たんぽぽのこーひーだ いがいにいけるぞ とちのみのだんごもたべてみてよ うん まあ ここのくらしにもな

      • わたしの庭

        心がざわざわして 自分がみえにくいときは 庭へいこう わたしの庭へ なにもせず ただ見る なにも考えず 揺れる穂をみる 心が静かになるまで 風の通り道で ひとり たたずむ 夕日がわたしを照らして 髪がかがやく 音の無い世界にいたみたい ミツバチの羽音がもどってきた さて、お茶を飲みましょうか

        • ふきのとう

          今日 ふきのとう 笑った 何もなかった 冬の土と 遅霜がおりた 赤い葉っぱと 誰も気に止めない 駐車場の隅で 君が笑ってた びっくりしたんだ 突然だったから 嬉しかったんだ 君が あんまり かわいいから

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        不思議な時間

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        記事

          遠雷

          低くたなびく煙 屋根にかかる 雨に濡れた 家々の窓 コーヒーが香る かごの毛糸玉 床の上に落ちた 三毛猫たちが  かけまわる テッセンがうつむく 家路のかたわら 少し冷えた空気 遠くに轟きを聴いた 少女たちが 傘を掲げ 驟雨を分けて 駆けてくる 水玉光る稲の浅緑 白鷺が休む 黄土色の細道が 囲む 軒先の 子どもたちの まるい額 寄り合い 淡い影は 水たまりに 映り込む 幼い日 心にひそんだ 自然の息吹は 消えないで ここにある わたしたちが 手にしている 地球の

          元気でね

          9月ももうすぐ終わる そろそろ渡っていくのかな 最後に残った家族が今日も空を飛ぶ ここで生まれた君たちは その翼で長く空を渡るのだね その目で何を見るのだろう 華奢で小さな美しい鳥たちよ 春に逝った私の犬に 今私は心の中で話しかける 絶対の不在が 私の心も空っぽにした春 君たちが山々を越えて 私の勤める山あいの建物に 到着した そして 秋が近づく今 その犬と共に在る感覚を 私は持つことができるようになった 旅に出る君たち 毎日会えて嬉しかったよ 元気でね また会いましょ

          すみれいろのめをしたねこ

          テムズに向かってゆるやかに傾斜する裏庭 キッチンドアから出ていく君のしっぽ パンパスグラスの根元から しっぽ と 穂 どちらもふさふさ立ち上がって 左右に揺れている 日向の君のあくびは 幸先のいい1日の約束 「駅からの橋の上で カモメがホバリングしながら 片足で頭をかいていたの 私の頭のすぐ上で! 本当だよ!」 私がキッチンテーブルから 身を乗り出して 一日の報告をしている間 君は 上からぱらぱら降ってくる粉を 黒と白の毛皮につけて 君と同じ色のタイルの上を 行ったり来たり

          すみれいろのめをしたねこ

          君といた世界

          あのね 抱き上げた 君の後ろ頭を見ること 年老いてよく眠るようになった 君の寝顔を見ること ゆっくり歩く君と いつもの道を行くこと それが幸せだったんだ けれど 春の日に 君は 長い長い散歩に 出かけた もう会えないんだね あの日から 心を 真綿にくるんで しばらく ぼんやり しているんだ 君から受け取った愛 愛おしい 耳に馴染んだ 君がたてる色々な音 忘れない鼻先から尻尾までの手触り ずっと 家のすみずみに 必ず 君の気配と 君がいる風景があった 写真を見ると 赤

          君といた世界

          君のこと

          長くなった昼寝 目が覚めると 足が こわばって つっぱるんだ マッサージをするけど よろめきながら 水を飲む 私が部屋から出ると 敷居のところで 目をパッチリ開いて 戻るのを待つね 階段にじっとたたずむ姿は 私が小さいころ見た うちのおばあちゃんとそっくりだとも 後追いをする幼児のようだとも 思うよ 君の若いころ 家族の言い争いが起こると かけつけた みんなの間をうろうろして 「諍いはやめろ」 と言ったね 今はまあまあ平和さ 君はどう思っているかな それでも お散

          君へ

          長い昼寝 薄目を開けた君の 頭をそっと撫ぜる 君はため息をつく それは 私も好きって返事 壁のマリメッコ 赤い花が笑っている 少し喉が渇いたね お水を入れ替えよう 魚のビスケットと ミルクも少し おやつにしよう 17歳の君よ もう少し 一緒にいれるかな

          やあ!やあ!

          青天 新芽でけぶる 里の山の向こうから 腰に赤のサッシュベルト 胸に控えめのストライプ ブーメランのような翼で 空を切る君たちが現れた ようそろ! 第1陣到着に 上階の窓から歓迎の挨拶 飛べない私の目の前で 小さな君の羽は風をとらえ 少し上下しながら 一瞬で虫をついばんだ すごいなあ! まだ新しいのから 年季の入ったのまで 建物のあちこちに造られている 君たちの素敵なつぼ型のマイホーム 高らかに到着を告げる コシアカツバメたち 帰り道 ツバメ達が畑の上を飛び回る 最近原

          やあ!やあ!

          眠れぬ夜に

          N駅の向こう側 暗闇の芯に走りこむ車両 車内で高校の制服を着た私が 20代の母と言葉を交わす夢 途切れて 足元が重いのは 君だったか 小さな頭をそっと撫ぜる こちらとあちらの世界の間に 庭園があるとしてごらん 水を集める石盤に 集まる雫が広がって 浮ぶスイレンの花びらに 風が触れる 星の賑わいが 静まり返る そんな夜 私の不安は 音楽のよう 大きく 小さく ふくらみ しぼむ ポンプのスイッチは 掌にあるのさ ここにいない 人

          眠れぬ夜に

          わたしの羽

          カツラの木 留まる小鳥 小鳥はわたし 今全ての葉を落とし ありのままたたずむ木の 芽生えの薄緑の清々しさ 若葉から仰ぎ見る静かな空 たくさんの命が安らぐ夏の茂り 美しい黄金色のハートが彩る歩道 私は過ぎた季節を記したい 凍る空を見上げ 高くさえずりたい 海をのぞむ丘で 山あいの小さな町で 忙しい街のどこか片隅で 大切に心を抱きしめて 今日も生きているんだ 家族よ 友人よ 名前を知らない人たちよ 小さな夢をあたためて わたしも飛んでいく あの雲の羽のような翼で 飛んでい

          わたしの羽

          夙夜

          門をくぐると つづら折りの道 水面を囲む 苔むす岩に 静かな心が添います 風に舞う たくさんの手紙が にじみながら 秋の空に 溶けていきました 松の葉の 艶やかさ 椿の葉の 照る光にも 心が揺れるのです 菊の花 香る水に そっと 気持ちを 浮べたら 星が見守る 橋の上で あなたの船に いつまでもいつまでも 手を振りましょう

          大暑

          はたらき蟻 永い影曳いて 午後3時の溜息 枯れた クマゼミ 身を置いて 大枝の影 今朝も開いた いのちの穴よ

          道案内

          明日になれば 野ばらのつぼみ うつむく 森の入り口 緑の小道 蝶の道案内 マッキントッシュの君は 野いちごを摘む 君のおしゃべり 聞いて 森のさえずりと 一緒にいたね 明日になれば 選んだ道を歩く 君を送る 白絹のリボン アイボリーの靴 勿忘草のハンカチ ガーネットのステンドガラスから 君は未来を覗き見る 誓いの言葉を残して コンフェティは雪のよう 地面に散らばる 明日になれば この部屋に 君はいない 家具の痕が残る 君の部屋 君が君のまま強くあるように 猫とふ