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人生フラフラロンドン日記 ~Week 44~

ロンドンに来てから44週間が経過。今はロンドンから東京に向かう飛行機の中でこれを書いている。14時間のフライトが長すぎる。こんなのダメ人間になってしまう。「水曜どうでしょう」に出てくる「キングオブ深夜バス」こと「はかた号」と同じじゃないか。帰りは15時間なのだから考えるだけ今から憂鬱だ。15時間ともなると「はかた号」を超えてるじゃないか、戦争をしているロシアが恨めしい。

というか空の上ですやすや寝ている間にM-1もW杯も終わってしまうってどういうことなんですか。もう今頃には結果は出ているのだろうけど、未だに結果が分からなくてそわそわしている。何はともあれ一時帰国となる日本での2週間が楽しみだ。美味しいものをたらふく食べるぞ。

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月曜日はHyde ParkのWinter Wonderlandに遊びに行った。それはロンドンの冬の風物詩こと巨大な遊園地。通りがかるたびに、遠目に光るその外観を眺めていたけども、いざ入場すると予想以上のきらびやかさに子供のようにはしゃいでしまった。そして思っていた以上に広い。普通に道に迷ったが、どこもかしこも賑やかだからイッツオーライ。アトラクションも、日本では考えられないぐらい激しい。安全バーが隙間だらけだったりと、体が吹き飛ぶのではないかと思うようなスリルがあって、想像の斜め上をいくチープな激しさにゲラゲラと笑ってしまった。案の定バンジージャンプの遊具の紐が切れたみたいで笑ってしまった。笑えない。

The 1975「Me & You Together Song」の歌詞にも「Winter Wonderland」の言葉が出て来る。パンデミックの中でリリースされた大好きな曲。それもあって、ここにはぜひ行ってみたかった。「イギリスで地味にやりたかったリスト」をまた1つ更新。曲中で「それはくだらない時間だったけど、幸せだった」と歌われているが、その気持ちも少し分かる気がする。冬は寂しいものだけど嫌いになれない理由はこういうことなんだろうな、と教えてくれる場所。帰り道、バスに乗って住んでいる街に近づくと、まるでディズニーランドから地元に帰ってきたかのような寂しさがあった。また来年も行けたらいいな。

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木曜日、金曜日と愛してやまないBlack Country, New Roadを観に行った。ロンドンでの久々の主催ライブは2日間3公演。それぞれの公演でテーマがあって、僕が観に行った日は「四半世紀に一回の収穫祭」と「1980年代のプロムナイト」だった。入り口では演劇風のしおりまで配布されて、そういうところまで含めて彼らが愛らしいなと感じる。今年リリースの『Ants From Up There』が各種音楽メディアのAOTYにノミネートされるぐらい傑作だったが、メンバーの離脱を受け、音源化されていない新曲だけで2022年のライブをやり切ってきた彼ら。最後に観た夏よりも格段に良くなっていて圧倒されてしまった。「1回のライブは5回のリハーサルよりも曲を良くする」なんてインタビューで言っていたけど、こんなにも凄まじい演奏ができるのかって腰が引けてしまった。2日間どころか、初日から涙がボロボロとこぼれて、僕は僕と肩を組みながら泣いた。

彼らのインタビューにした夏は、正直、精神的に厳しく自分のことで精一杯な日が続いていて、なんとか奮い立たして毎日を過ごしているような状況だった。だから話が舞い込んできた時に、自分には無理だから断ろうとも最初は思っていた。結局、頑張ることに決めたのだが、あの時、自分を信じて挑戦してよかったなと今なら思える。不格好でもやり切ったあの時が、ちゃんと今に繋がっていた。2022年のご褒美のような2日間だったな。彼らの音楽を聴くたびに、愛おしい思い出も苦しい思い出も、純粋なまま抱きしめてあげられる気がする。そんなBlack Country, New Roadの音楽が大好きだ。

あとblack midiのジョーディ・グリープとUnderworldのカール・ハイドに挟まれてライブを観る経験なんて一生無さそうでウケた。

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イギリスに来てから一番つるんでいる友人ことギャルズと忘年会をした。週1、2で会っていたからか、2週間会えないだけでも少し寂しい。それはみんなそうだったみたいだ。失恋したばかりの夏に知り合った2人には、失意の底にいた自分を随分と引き上げてもらったような気がする。たまたま3人とも同じライブ会場にいた、それがきっかけで意気投合し気づけば素を通り越して素でいられるような関係に。今では夏に会ったばかりのよそよそしい感じが面白い。初めて会った日の日記を読み返して3人で腹を抱えた。どれだけ不安で自信がなくても「あんたは最高だよ」と笑い飛ばしてくれる2人に僕は何度も助けられた。もっと自分を好きになれたのは彼女たちのおかげだ。ロンドンでの生活はいつか終わるけど、いつでも彼女たちの味方でいられますようにと願う。空港に向かう朝3時のバス停で、いつも通り3人でハグをして別れた。2人とも来年もどうぞよろしくお願いします。

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「20代のうちにロンドンに住みたい」という夢から始まって、2月にロンドンにやってきてから、あっという間の44週間だった。たったの10ヶ月ですら、日本にいた時間の数倍の喜怒哀楽を経験したような気がする。僕はそれほど活動的ではないし満喫しているかと聞かれれば、二つ返事は出来ないがそれでも様々な人と知り合ったり、中々辛い失恋を経験したり、沢山の夢が叶ったりと様々な出来事があった。その中で得たことは「どれだけ多難でも結局上手くいってしまう」と思うことかもしれない。そう思い始めてからずっと自分に自信がある。それを教えてくれたのはロンドンで知り合った人たちだった。みんながみんな、強い芯を持っていて、それは長年「中身のある人になりたい」と思っていた自分にとって憧れにすら近いものだった。今年は春から今にかけて、自分でも分かるぐらい成長できた気がする。それはイギリスという国に来たこともそうだし、周りの友人達のおかげでもある。

というわけで、この甘々日記の年内更新はこれがラスト。こんなしょうもない日記でも、読んでくださっている皆様には頭が上がらない。本当にありがとうございました。たまに「日記を読んでます」と声をかけられるたびに恥ずかしいながら嬉しかった。続けることに意味もあったのかなと思う。

何事にも愛されるのは下手だったが、愛するのは上手だった、2022年はそんな年だった。それが分かっただけでも十分だと思う。誰かを素直に大切にできる優しい自分が僕は大好き。自分を大切にしてくれる人も、してくれた人も全てを大切にしたい。過去がどんな困難だったしても、今、振り返ればその道は美しかった。だからたどり着いた今を愛しく思う。皆様、良いお年を。来年はきっと幸せになっちゃうな。イギリス生活はまだまだ続く。

忘年会ぐらいはいいものを



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