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人生フラフラロンドン日記 ~Week 57~

ロンドンに来てから57週間が経過。日曜の昼下がり、久々の大英図書館に足を運ぶと端のベンチでビデオ通話している男の子がいた。ちらりと映った画面の向こう側は、暗い部屋で机のライトに照らされた女の子。雰囲気的に彼の恋人のようだ。かくいう自分もロンドンに来たばかりの時に、大英図書館のWi-Fiを借りて、当時付き合っていた人とビデオ通話をしていた。今となっては終わってしまった関係だが、彼女が言ってくれた「カエデ君なら大丈夫」が今でも助けてくれる日がある。そんなことを思い出して少し優しい気持ちになった。それぐらいはいい思い出として抱えていたい。春はいい季節だな。書きたいことが山ほどあって選ばなきゃいけない週は久々だった。書くことがない時は本当に書くことがないので上手くバランスが取れたらいいのに。

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1.

サグカレー初挑戦! 友人たちがカレーを食べに家へと遊びにきた。そのうちの1人が「サグカレー」なるものを食べたいというので、簡易的にだけど見様見真似で作ってみる。サグカレーはほうれん草ベースの緑色のカレー。ほうれん草をベースに、スパイスとマッシュルームで作ってみたがそれなりに成功。ターメリックライスとの色合いもいい。自分の中のスパイスカレー作りの新しい扉を開いてくれた気がする。もう少し爽やかめだと個人的には美味しい気がしたので、柑橘類を足してもいいかも。何はともあれ、好評をいただき嬉しい限りだった。食べてくれる人がいて作る食事は、自分のためだけに作る食事とは違うな。やはり作りがいがある。もっともっとカレーを美味しく作れるようになりたい。健やかさは美味しい食事から。

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2.

Happy St. Patrick’s Day! アイルランドにキリスト教を布教した聖パトリックの命日こと、金曜日はセントパトリックデー。せっかくだからとアイリッシュパブに行ったが予想以上の大賑わいだった。調べても見つけられなかったので正確な数は分からないが、お隣さんということでロンドンにはアイルランドの人もきっと多いはず。アイルランドとイギリスの距離的にも大阪から東京に行くような感覚だと思う。街中、緑の何かに身を包んだ人も多く見かけて、こちらまでめでたい気持ちになる。パブではアイルランド音楽メドレーがずっとかかっていた。その中でもTDCCの「What You Know」で大盛り上がりだったけど、TDCCもアイルランドでいいのか。北アイルランドはアイルランドにありながらも、雰囲気はどうやってもイギリスの不思議な街だった思い出がある。何はともあれアイルランドは22才の時に住んでいたこともあってとても親近感がある国。今となってはあの何もない田舎町が恋しい。また帰れますように。

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3.

今週のライブ記録。火曜日はThe SocialにてPorchlightを観に行った。ちょうど1年前のSo Youngの企画で知ったBrightonの5人組。その時以来のライブだったが全てがパワーアップしていた。踊るように歌うヴォーカルに、飛び道具満載の楽器隊。上手のギターの暴れっぷりも観ていて楽しい。そしてなにより音がデカい。音がデカいのは正義なのです。

金曜日はShacklewellでHOT GARBAGEを観た。前情報なしだったから知らなかったのだが彼らはカナダのバンドらしい。初のUKショーということだったが、北米のインディーバンドが来てくれるのもロンドンの良いところなのかもしれない。個人的にはサポートアクトを務めていた
Man/Woman/Chainsawがとても良かった。ここ数年、ポストパンクの震源地と言われてきたUKインディーシーンだけど、その中でも明らかに世代が次へ、次へと変わっているのを実感する。その心身代謝のような循環を目の当たりにできるのはとても幸せなことだ。ヘンテコでありながらキャッチーなバンド。

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テムズ川の横のベンチに座っていたら、ルーマニア人のおじさんが話しかけてきた。彼は僕があまりにも辛気くさい顔で座っているから話しかけてくれたようだ。少し話すと彼は20年来連れ添った奥さんに不倫をされ離婚したそうで、それ以来、建築業をやめて今は絵描きを目指して頑張っているらしい。少し前時代的な考え方だったが、それでも回復へのプロセスはこれからの人生訓になり得るものだとも思ったし、誰かと話すことで意外とすぐに落ち込みはなくなることを実感した出来事だった。同じく気づいたことは、友人にカレーを作ってあげた時のこと。やっぱり誰かのために何かをしている時間が大好きだ。独りよがりだとしても僕の良いところは優しいところ。独りよがりかもしれないけど、そう話すと「私もそう思うよ」と高校の親友は返してくれた。

自分を慕ってくれている後輩や友人がカッコいいから、僕はもっと頑張らないといけないなと思う。何を言われても、自分で自分で好きでいるためにも頑張らないといけない。気を抜けばすぐにオールドファッションになる。綺麗に生きていたい。生き延ばしにはなりたくない。イギリス生活はまだまだ続く。

冬はギネスが美味しくなるチート

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