楓原こうた(小説家)

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「ヤクザの息子だけがお嬢様の秘密を知っている」あらすじ

ヤクザの息子であり、『孤王』と呼ばれ恐れられている学校で有名な不良───竜胆優瑠。そんな彼とは対照的に、学校ではもう一人有名な女の子がいた。 世界三大財閥のご令嬢。容姿端麗で品行方正、正に学校の人気者である西条院柊夜。 同じクラスではあるが、住む世界が違う二人が関わることはなかった。 ある日、兄貴と慕ってくれている後輩からとある女の子の噂を聞く。どうやら、とても可愛くて、優瑠と同じ喧嘩が強い『女帝』と呼ばれている不良がいるらしい。 しかし、その他の情報は何故か一切開示されてお

    • 「ヤクザの息子だけがお嬢様の秘密を知っている」第1話

      ① 桜が舞う学校の校門の前で、使用人が開けたリムジンから女子生徒(西条院柊夜)が降りてくる。 モノローグ「この学校では 一際有名な生徒が二人がいる」 靡く金髪を押さえながら歩いていると、周囲にいた生徒が茫然と見蕩れる。 生徒A「ねぇ 西条院さんよ」 生徒B「相変わらず綺麗な人…」 モノローグ「一人は世界三代財閥である西条院グループの愛娘」 後ろから走って追いかけてくる小柄で愛くるしい顔をする肩口まで切り揃えた茶髪の女子生徒(幾田美奈《いくた みな》)がやって来て、柊夜が笑う

      • 「ヤクザの息子だけがお嬢様の秘密を知っている」第2話

        ① 畳と屏風などがある和室の部屋。 ここで布団に入っていた優瑠は目を覚まし、枕元にある時計を確認する。 優瑠(まだ5時か…) そして、再び枕へ顔を埋める。 優瑠(…まだ寝られる) その時、いきなり優瑠の住んでいる家から大きな声が聞こえ、優瑠の背中が跳ねた。 ヤクザA「坊ちゃんに春が来たぞぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」 バタバタと足音が聞こえ、部屋の障子がいきなり開かれて黒スーツを着たイカついヤクザの男が顔を出し、優瑠は額に青筋が浮かんだ。 ヤクザA「坊ちゃん 春到来おめでとう

        • 「ヤクザの息子だけがお嬢様の秘密を知っている」第3話

          ① 教室の中で多くのクラスメイトがザワついている。 その様子を見て、優瑠の机の対面に座っていた柊夜が首を傾げた。 柊夜「今日は一段と騒がしいですね」 優瑠「教室に入ってきたら不良とお嬢様が対面してるんだから そりゃ驚くだろ」 ヒソヒソと優瑠達から離れて話すクラスメイト達。 クラスメイトA「おい なんで西条院さんがあの不良と!」 クラスメイトB「まさか 脅されてるとか...」 クラスメイトC「でも さっきからなんか仲良さげだし...」 大きく溜め息をつく柊夜。 柊夜「はぁ.

        「ヤクザの息子だけがお嬢様の秘密を知っている」あらすじ

          「懺悔してくださいっ!」あらすじ

          世界最大宗教であるアリスト教では、信徒を導くための聖職者の育成に力を入れていた。 とある大聖堂で牧師見習いとして生活していたユリスは、今日も今日とて平和にしては少し刺激的な毎日を送っている。 同じ牧師見習いで少し特殊な好みをしている女の子や、女の子にしては少し力が強いシスター見習い、少し変わった懺悔を強要してくる神父など。そんな仲のいい人達と、牧師になるために教育を受けていく。 ある日、教会に配属された時を想定した『配属研修』が行われることとなった。 同じ空間で過ごし、共に生

          「懺悔してくださいっ!」あらすじ

          「懺悔してくださいっ」第3話

          ① ゆっくりとベッドで目を開けるユリス。 ユリス「んんっ…」 心地よい陽気、陽の射し込む部屋。 アリサの可愛い寝顔が横のベッドから見え、美少女のポスターが視界に入る。 ユリス(そういえば 今日から部屋が変わったんだった) ゆっくりと体を起こし、窓から外を眺める。 ユリス(今日から配属研修 か) ユリス(これから色々大変なんだろうな…) フッ、と。目を伏せて口元を綻ばせる。 ユリス(本当に…) そして、自分の横で気持ちよさそうに寝ているソフィアを見て諦めたような顔をする

          「懺悔してくださいっ」第3話

          「懺悔してくださいっ!」第2話

          ① 海の上に立つ大聖堂。秋の紅葉の景色。 モノローグ「季節は秋」「時は移ろいやすく 春先の準備はどこでも行われる」「それは 教会でも同じであり」「春に若き聖職者達が教会で働けるよう 配属された時に備えて研修が行われる───」 クワッ、と目を見開くユリスにジト目を向けるロニエ。 ユリス「こんな美少女と 同じ部屋…!」 ロニエ「ユリスくん 少しは下心を隠して」 ロニエが首を傾げていると、神父が首を傾げる。 ロニエ「でも 今頃シスター見習いが増えるなんて珍しいですね」「春にはも

          「懺悔してくださいっ!」第2話

          「懺悔してくださいっ!」第1話

          中世ヨーロッパ風の街並み。 人混みが溢れる往来の中を主人公(ユリス)が歩く。 途中、路地裏の前を差しかかる直前、蹲っている女の子を見つけて足が止まる。 ユリス「ん?」 膝を抱えて地面に蹲りながら泣いている、長い金の髪をした可愛らしい聖女(ソフィア) ソフィア「ひぐっ…しすたぁ…」「…ぐすっ」 その姿を見かけてすぐさま駆け寄って近づいた。 すると、膝を抱えているせいでピンクのパンツが見えてしまっていて─── ソフィア「…ふぇっ?」 ユリス「あ 気にしないで」 思わずしゃが

          「懺悔してくださいっ!」第1話

          「元聖女と影のクエリア」あらすじ

           正解最大宗教が象徴する存在、聖女。  十八になるとその役目を終える。  役目を終えた聖女は皆と変わらない生活を送ることになるのだが、元聖女は周囲から狙われやすい。  しかし、大聖堂が秘密裏に構成した組織、特務聖女機関が、誰にも存在を明かすことなく守っていた。  あるところに役目を終えたソフィアという少女がいる。  ソフィアはシスターとしてもう一度女神を信仰すべく、とある街で教会を営むことに。  そして、そこには特務聖女機関《リアフォーリア》に所属するサクという少年も。  こ

          「元聖女と影のクエリア」あらすじ

          「元聖女と影のクエリア」第3話

           サクの聖力《クエリア》は『影』だ。  空間にある影を自在に操作し、新たな物体として世に顕現させることが可能で、応用力や利便性に優れている。  たとえば、影の中に空間を生み出し自由に行き来を可能としたり、自身の体に鎧を模した影を纏って通常以上の筋力を身に着けたりと。  その力は少数精鋭の特務聖女機関《リアフォーリア》の中でもトップクラス。  今まで一度もタイマンでの勝負に負けたことがないほどの実力を有している。  そんなサクに、寝静まった夜———一人の来客が訪れる。 「……サ

          「元聖女と影のクエリア」第3話

          「元聖女と影のクエリア」第2話

           特務聖女機関《リアフォーリア》、という組織がある。  曰く、特務聖女機関《リアフォーリア》は影ながら聖女に自由を与える存在であり。  曰く、特務聖女機関《リアフォーリア》は上層部の一部を除いて聖女にすらも素性を明かさない存在であり。  曰く、特務聖女機関《リアフォーリア》に所属する人間は特別な力を有する存在であり。  誰もが知っている聖騎士———聖女を傍で守り、剣を握る大聖堂の誇る警備団体とは真逆。  聖女であろうが誰であろうが己の正体は隠し、ひっそりと聖女の危機を退ける。

          「元聖女と影のクエリア」第2話

          「元聖女と影のクエリア」第1話

           聖女、という存在がいる。  今や世界最大規模の宗教を誇るミレリア教の象徴として大聖堂に所属しており、女神から与えられた力によって他者へ癒しを与え、災いを取り除く人間。  それは突然に、女神から選ばれた少女にのみ女神からの言葉が届けられ、その瞬間に恩恵が与えられる。  ただし、聖女は十八を超えると聖女ではなくなってしまう。  聖女がいなくなれば新しい聖女が選ばれ、聖女だった人間は微かな残滓だけ残してその役目を終える。  そして、役目を終えた聖女は大聖堂からの感謝と支援を受けて

          「元聖女と影のクエリア」第1話