『三国志の王に転生したら、家臣から溺愛されてます！』第1話（創作大賞2023漫画原作部門応募作品）

【あらすじ】
社畜OLの玲奈は、ある日目覚めたらゲームの中の三国志の世界に転生してしまっていた。ゲームでは主人公の性別・容姿を自分で選べるため、美少女の容姿の、魏王・曹操に生まれ変わった。

家臣である魏の武将達が、戦い以外の日常でも玲奈を甘やかしてくれる。
楽進は、美形の男たちを集めた後宮を用意したり、郭嘉は茶菓子を全国から取り寄せ茶会を開いたり、クールな張遼は忠義を誓ってくる。

中でも、一番の腹心である隻眼の武将、夏侯惇は異常なまでの心配性で、玲奈から片時も離れず守ってくれる。

魏王、曹操に転生したら家臣から愛されまくる、中華溺愛ラブコメ！

【キャラ設定】
高山玲奈（26歳）女
長い黒髪で細身。激務の会社に勤め、毎日終電の時間まで働く社畜OL。
癒しといえば、兄の影響でハマった三国志のアプリゲーム。
魏の曹操が個性的な家臣を統べててお気に入りのキャラだったので使っていたら、自分が転生して驚いた。
恋愛経験がほとんどないため、家臣達のいい男っぷりに始終ドキドキしている。感情が顔に出やすく、喜怒哀楽がバレバレ。
夏侯惇の溺愛っぷりに困りつつ、満更でもない毎日を過ごす。甘いものが好き。

夏侯惇（かこうとん）　男
背が高く筋肉質、黒髪で左目に眼帯をつけている。目鼻立ちの良い美形。
隻眼の猛将と呼ばれる魏の武将で、剣の腕は一流。
呂布との戦いの際、曹操を守り左目を矢で射られ負傷した過去を持つ。
曹操を守ることが自分の生きる意味と思っており、片時も離れない。
思ったことを素直に口にする性格。男らしく正義感が強いため、人望は厚い。

郭嘉(かくか）　男
曹操の右腕とも呼ばれる優秀な軍師。
長い髪を束ね、色白で中性的な顔をしている。
病弱で常に顔色が良くないが、曹操の事を慕っており、甘いものや高価な茶などの贈り物を頻繁にしお茶会を開く。

楽進（がくしん）　男
夏侯惇と仲の良い武将。焼けた肌に、瞳が大きく童顔。
いつも楽しそうに笑っている前向きな性格。
曹操のために、美青年を集めた後宮を準備する行動力を持つ。

【アピールポイント】
この作品のテーマは、『無条件に愛され、慕われ、守られる喜び』です。
曹操は、優秀な部下達を束ねた名君として歴史的に有名ですが、その魏王に転生することにより、なかなか現代の女性が味わえない、歳上のイケメン家臣達から慕われる喜びを感じて欲しいです。

身分差があり、国で一番偉く権力のある立場のヒロインのため、普段仕事や育児に奔走し、理不尽な社会に生きている女性読者に楽しんでいただきたいです。
今流行りの、『異世界転生』・『中華風』・『溺愛』を取り入れ、逆ハーレム要素もあります。

登場人物のキャラをわかりやすく描くことで、三国志を好きな方にも、全く知らない方にも楽しんでいただける作品にしたいと思います。

一番の見どころは、夏侯惇が眼帯をしているのは、戦でヒロインを命懸けで守ったためだというのを知り、彼の愛情の深さを実感する場面です。
やんちゃな楽進、穏やかな郭嘉、クールな張遼と魅力的な男性キャラにときめきつつ、最終的にはいつも側にいてくれる夏侯惇と心を通わせ、結ばれる過程と結末を丁寧に描きたいです。

【第一話シナリオ】

玲奈＜素敵な男性が、自分にかしずいて、『なんでもあなたの仰せのままに』と言う。そんなおとぎ話のお姫様に憧れてた＞

ドレスを着たプリンセスに、膝をついたタキシードの男性が手の甲にキスをしている。

玲奈＜でもそんな夢みたいな話、私みたいな平凡な人間には一生訪れないと思っていた。なのに……＞

周りを見渡すと、中華服を着た美形な男性達がずらりと並び、微笑んでいる。

玲奈＜これは一体どういう状況なの！？＞
顔を真っ赤にしてあたりを見渡す玲奈。

【三国志の王に転生したら家臣から溺愛されてます！】
　扉絵　夏侯惇に背中から抱きしめられている玲奈

■場面転換（夜、オフィスのフロア）

玲奈「はあ、もうこんな時間か」

オフィスのデスクで仕事をしていた玲奈は、22時を指している時計を見て伸びをする。

玲奈＜私は高山玲奈、26歳。どこにでもいるOL。
入社した会社はなかなかの激務で、いつも帰るのはこんな時間だ＞

パソコンを切って立ち上がり、会社の外へと出る。

■場面転換（駅のホーム）

玲奈＜コンビニで夕飯を買って、お風呂入ったらもう寝る時間。ルーチンワークで毎日疲れちゃうよなぁ＞

電車が来たので乗り込み、席へと座る。

玲奈＜そんな社畜の唯一の楽しみは、この通勤中ゲームをすることよねっ♪＞

スマホを取り出し、アプリをタッチする。

玲奈＜最近ハマってるこの三国志のゲーム。
自分で作ったキャラを動かして、武将として戦ったり軍師として政治をして、国を栄えさせていくのが面白いんだよなぁ。何より、登場キャラがイケメン！＞

スマホ画面に表示されるイケメンキャラ達を眺めながらニヤつく玲奈。

玲奈＜私が作ったキャラは、魏の王様、曹操様のポジションで家臣を従えて戦っているのよね。よし、次はこの戦に勝つために武器を揃えて、と……＞

■場面転換（夜の路地裏）

コンビニに寄ろうと、信号待ちをしている玲奈。

玲奈＜ゲームしてれば長い通勤時間もすぐ過ぎるなぁ＞

赤信号を見ていたら、不意に視界がぼやける。

玲奈＜ん……なんだろ頭が痛い、めまいがする……。残業して疲れたのかな…？＞気分が悪くふらついてしまい、暗い夜の車道に倒れ込んでしまう。

玲奈＜い、いけない、立たなきゃーーー＞

体を起こそうとした時、車道をトラックが走ってきたことに気がつく。
クラクションが鳴るも、立ち上がれない。

玲奈「あ、あぶなーーーーっ！」

目をつぶり、トラックに轢かれることを覚悟し顔を覆う玲奈。

■場面転換（魏軍、城の広間）

郭嘉「―――そう様、」

玲奈「ん……？」

声をかけられ目を開けると、目の前には心配そうに顔を覗き込む男性の姿。

郭嘉「曹操様、大丈夫ですか。昨晩はあまり眠れなかったのですか？」

玲奈「そうそう…？」

玉座に座っている玲奈は、目を開けてぼんやりと返答する。

玲奈＜え、誰この人…。服も、珍しいものを着てるし、髪飾りも…＞

文官である郭嘉の羽織と冠を眺めて首を傾げる玲奈。
自分も普段の服ではなく、豪華な玉座に座っていることに気がつく。

玲奈「って、曹操？　……私が？」
玲奈＜待って、この景色どこかで見たことがある。…あのゲームの、城の中だ。ど、どういうこと！？＞

キョロキョロとあたりを見渡す玲奈に、優しく微笑みかける郭嘉。

郭嘉「そうですよ、魏王である曹操様が何を仰っているのですか」

こほん、と咳払いをすると郭嘉がよく響く声で告げる。

郭嘉「曹操様、朝の儀をお願いいたします」

玉座に座っている玲奈の目の前に並んでいた家臣たちが、一斉に頭を下げた。
十五人ほどいる全員が敬意を示すように、ある者は胸に手を当て、ある者は両手を前に出し重ねる体勢で、曹操の言葉を待っている。

玲奈＜私、三国志のゲームの中に入って、曹操様になっちゃったのーーー！？＞

唖然として固まっている玲奈の横に立っていた夏侯惇が声を上げる。

夏侯惇「曹操様は声の調子が悪いので私が代弁する。本日も代わりなく、各々の職務を全うせよ。以上！」

全員「御意！」家臣全員が頷く。

玲奈が横に立っていた夏侯惇を見上げると、凛々しい顔立ちをした夏侯惇と視線が合う。

玲奈「か、夏侯惇…さん…」

玲奈＜……彼は魏軍での大将軍、夏侯惇。曹操の右腕かつ、一番の理解者として生涯仕えたという、気高き青年＞

イケメンの夏侯惇と目が合い、玲奈は頬を赤らめる。

玲奈＜平凡なOLの私が、おとぎ話のお姫様どころか、歴史的な王様になるなんて、思ってもみなかった＞

第一話完

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