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ピアノレッスン帳:ショパン「即興曲第1番」

趣味でピアノをぼちぼち続ける私が、チャレンジした曲の難しかったところ、素敵だったところをつらつら書きます。

曲紹介

曲名:即興曲第一番op.29
作曲:ショパン

ショパンのなかでは弾きやすい部類の曲だよーという話で、挑戦することに。

確かに楽譜は全6ページ。
しかも最後2ページはほぼ最初の繰り返しなため、実質4ページ暗譜すれば弾ける。
趣味ピアノ弾きにはとっつきやすい暗譜量でした。

しかし!

ショパンのなかでは割りと弾きやすい曲
≠ 簡単な曲


ということに、当時の私は気づいてなかったのです…。(遠い目)

目まぐるしく変わる和音についてけないっ

まず、読譜が大変でした。

ピアノは右手と左手で違うことをします。
最初は片手ずつ覚えますが、最終的に両手で演奏しないと曲になりません。当たり前ながら。
右手と左手の楽譜をいっぺんに読みながら弾くのはけっこう忙しいです(汗

ただでさえ忙しいのに、この曲は左手で演奏する伴奏の和音が、短いフレーズの中でも半音ずつ上がったり下がったりまた上がったり…ゆらゆら行ったり来たり。めちゃくちゃ変化します。 
もう、頭がついていかない!

ポップスだったら、だいたいこのコードて分かる範囲で伴奏が進行します。最後に転調したり、アクセントとしてコードの範囲からはみ出したりはありますが、あくまでたまに。
ベートーベンのソナタもそんな感じでした。
そのほうが、頭の整理もしやすく両手で演奏しても混乱しにくい感じがします。

演奏する側にとってたいへん嫌らしいこの和音の変化、ショパンの特徴だそうです。
半音階的和声法、虹のように変化するグラデーション。
聴いている分にはすごく心地よいんですけどね…。耳が半音の変化に慣れるのに時間がかかりました。

慣れたきっかけは「左手の音をあんまり聴かない」こと。いや、言い方がよくないかもですが。
いつもだったら左手の和音の響きの中に右手のフレーズを入れるイメージでしたのが、半音で変化するところはそれやってたらいつまでも「???」てなるので、半音の響きに慣れるまでは、そういう風にしちゃいました。(学習的にあっていたのかは、うーん汗)

左手と右手は伴奏というよりおのおのの旋律が自由に歌うけれど、全体としてなんとなーく調和的してる、そんな感じなんだと思います。
こんなの思いつくショパンさんは変人さんですね。リスペクトです。


フレーズが延々と続いて途切れない…そろそろ休憩させてくれぇ…

これは即興曲だから、なのかもしれませんが。
フレーズがとにかく長い!

ベートーベンのソナタをこれまた引き合いに出すと、多分8小節くらいでフレーズは区切れてたと思うんです。記憶では。

それがこの曲は、フレーズがほんとだったら終わってくれるはずの8小節目が、
「終わると見せかけて…なんちゃって♪終わらないよ~」
と次のフレーズに繋がってしまうんです。

体感で言うと、ソナタと比べて4倍ぐらいは長い気がしちゃいます。

これの辛いところは、休憩する暇がないところです。

クラシックピアノでフレーズを作るときの型は、大きく弧を描くように次の音と音を繋げ、膨らませて終息させるようにします。
けれどピアノは打楽器(弦をハンマーで打つ)なので、本来は「音は広がらず、一度音が大きく出たら減衰するのみ」です。音を繋げたり膨らませたりは不得意。(バイオリンのほうがそういうのは得意だそうです)
不得意なものをどうやって実現させるかというと、それは…

根性

です。ええ。
もうちょっと綺麗に言えば集中です。
ほっといたら減衰するものを、指の運びで膨らんで次に繋がってるように聴こえるようにするんです。

疲れない訳がないですね。

何でこんなに長いのだぁぁ!
何度先生に
「音が止まって聴こえますね」
とご指摘頂いたことか。

ただ立ち返ると、この曲は即興曲。
根性振り絞って演奏するより、
その場の気分で演奏してるように聴こえるのが最終的にはかっこよいはず。

その境地に至るには、あと2回くらい転生が必要そうです…。


自由な旋律は安定したテンポから

ショパンの切なくて甘美な響きって、
自由な旋律の抑揚によって作られているように思います。

先に挙げた半音の進行もそうですね。
あとトリル。
オクターブの駆け上がりとか。

CDで聴くとすごく思いのままに、
無作為に自由に演奏してるようにきこえます。

これって、いままで私は、その人の自由意思とか表現力のなせる技だと思ってました。
しかしやってみると違ったのです。

忠実なテンポ感、基礎が確立しているからこそでした。

自分の気分、思いだけに頼って演奏してみると、
ものすごーくがちゃがちゃして雑に聴こえてしまったのです…。

クラシックピアノにとって、フレーズ感、前に進む時間軸がものすごく大事にされています。(これ、文化的なものだと思うのです。世界的に考えればそうでない音楽だってあります。日本の雅楽とか、ないわけではいんでしょうがどちらかというと空気感を大事にしてる感じを受けます。授業で聞いた程度の印象ですが。。)

自分の気分を優先しすぎると、その前に進む時間軸が見えにくくなってしまうんです。

ジャズも、自由に演奏しているように見えるけれど、
バックでは正確なビートをドラムが刻んでいます。それと同じかなぁ、と思ったりします。

でも、テンポを守るってたいへん!
基本なんですけど、
私は機械じゃなくて人間で、
本来揺らぐのがデフォルトですから。
指の運びでどうしても間ができてしまったり。

プロの演奏は、そういうところを
ものスゴーい努力と技術で平均化して、
本当に聴かせたい抑揚を際立たせてます。
改めてすごいなぁと感じました。


まとめ

今回は妊娠出産の合間ということもあり、
習熟にとても苦労しました。
実際できあがった演奏を聞いてみると、
テンポを守ることを意識しすぎたあまり、今度は表現が消えてしまったようにも思います。
悔しいっ!

けれどCDで聴くだけでは分からない、
曲の魅力には充分浸れて勉強できたなぁと思います。

次は隙間時間に練習することも考慮して、
小品をやらせていただくことにしました。

プロコフィエフの「タランテラ。」
子供の発表会でも弾かれるようです。
けれどはじめての現代曲を勉強できる!
ということでうきうきしてます(* ´ ▽ ` *)
楽譜を見ただけでも独特ですね。

また勉強の成果をnoteに書けたらと思います。

アップロードした演奏はこちらから辿れます。
ただしレベルは…えへへ…な感じですので
生暖かい目で見守っていただけたらと思います。