ママでもピアノ発表会に挑む!リターンズ2021冬
娘1歳5か月をあやしながらお母さんが趣味で教室のピアノ発表会を目指す話。結末やいかに!?
なぜ「リターンズ」なのかはこちら。
今回はカウントダウン形式で発表会に向けた心境をお送りします。
それではスタート~
発表会まであと4週間
やば、そろそろ発表会1か月前だ。
唐突に気づいてしまった。
ついnoteを開いてしまうが、そろそろギアを切り替えてピアノ練習をふやさなきゃ…。
「発表会にむけて更新頻度落とします」宣言をして退路を絶ってみる。
が、ついつい更新してしまう。
夏休みの宿題がなかなかはかどらないのと
原理は同じ。
私はリモートワーク&時短勤務のため、少しだけ始業前にピアノを弾く時間の余裕がとれる。
たかが10分。けれど毎日やれば70分。
…すみません「毎日やれば」は言い過ぎました。仕事と育児で疲れてるときはやらない勇気も大事。
結局、土日休みのときの娘昼寝中が練習が一番はかどる。
発表会まであと3週間
発表会から日があるときは、自由にやりたいフレーズを練習したりテンポアップに挑戦する。
けれど発表会が近づいたらそういうのは一休みすることにしている。
他人から聴いたとき完成度が高く聴こえる演奏は「曲全体が平均的に安定していること」だと、ピアノ歴20年の間に身に染みた。
突出して良い部分があったとしても、全体がガチャガチャしていると聞き苦しくて印象に残らなくなる。
それが後で一番悔しくなるパターンだった。
浮気心を払い除け「このテンポ!」と決めて反復する。
録音してずれて聴こえる部分を重点練習。
暗譜がおぼつかないところを見つけて覚え直したり。
地道な作業だ。
ー本当はもっとレベルアップに
挑戦したかったな。
ーもっと練習してたら、
あの素敵な演奏みたいに速いテンポで
弾けたのかな。
「たら」「れば」が胸をよぎっては、
指を走らせる合間に消えた。
~その頃の演奏~
発表会まであと2週間
今日は久しぶりのオンラインレッスン。
先生から貴重なアドバイスや、耳に痛い現実をご指導いただけるまたとない機会。
レッスンが始まったとき、
娘はばあばと居間で遊んでもらった…
のだが、我慢しきれなくなったらしい。
とうとう部屋の扉が、がちゃりと開いた。
「やいやい◯✕△!」
膝に登ろうとするマイ・フェアレディ。
ま、ここまで我慢してくれたのはありがたいか…。
カメラの向こうの先生に「すみません、我慢できなくなっちゃったみたいで」と挨拶しながら娘を膝にのせた。
先生はいいですよー、と気さくに仰ってくださった。
私が「お母さん」になってからは、こうやって娘にペースを乱されることが日常だ。
苦笑して受け流せるようになるまで、
悔しい/自分が自分でないみたい/もやもや…
色んな感情を経験した。
お母さんになって、
私は私のことだけに熱中するわけには
いかなくなった。
しょうがない、どうしようもないことだ。
ただ…。
膝にのった娘に、
ほら、こうやって音を出すのよと
見せる気持ちで最初の1フレーズを奏でた。
「今の出だし、今までで一番よかったですね」
先生の思いがけない言葉。
え?と聞き返す。
力みがなくて。
かえでさんいつも考えすぎちゃうから、
それくらい自然に演奏できるといいですね。
そう言って先生は笑った。
どうやら、
自分のペースを乱されるのは悪いことばかりではないらしい。
発表会まであと1週間
この頃、空気がとても冷える。
ピアノを演奏するとき、冷えは筋肉のこわばりに繋がってしまう。うまく回らなくて、自分の指が自分のものでないみたい。
はー。
手に息を吐きかけて暖めようとしてみた。
なかなかうまくいかない。
練習して手が暖まるのを待てればよいのだけど、今は隙間時間を見つけてピアノの前に座ったものだから、そんなに時間がない。
ショパンはどうしてたんだろう?
なんとなく昔に思いを馳せた。
□
こんどはなんだか夜泣きがひどい。
夜泣きは波のようなもの。
寄せては返す。
ひどくなってはまた収まる。
抵抗せずその日のコンディションでされるがまま、また収まる日が来るのを待つ。
眠いので、朝、仕事の前にピアノに向かう元気がでない。
布団のなかでうずくまる。
焦るな焦るな。
次の発表会の出来がどうだったかは、
関係ないじゃないか。
私が今も音楽する喜びを手放してない。
それだけで、
お釣りが来るぐらいに幸せだ。
□
ピアノに触れるだけが練習じゃない。
スマホでメトロノームをカチカチ鳴らし、
旋律を歌った。
この方法なら娘に授乳しながらだってできるのだ。
発表会当日
運命とは無情なもの。
数日前から娘が体調を崩してしまった。
おねがい回復して~!と私は念を送った。
実際、少しずつ回復はしたんだけれど、
ばあばに任せきりにするのに不安が残る程度には、病み上がりの様子。
ため息をついて欠場を決めたのだった。
だってまだ1歳だものねぇ。体調崩して当たり前。
だけどだけど、ここ2か月ほど大きな風邪は
ひいてなかったのも事実。
このタイミングでの罹患は、
もしや娘のお母さんセンサーが発動したんではないの?と勘ぐってしまう私だ。
(お母さんセンサーとは、お母さんが物理的心理的に離れることを察知し寝ていてもぱちりと目を覚ますセンサーです。)
ま、もともと発表会は出れたらラッキー、
程度と思っていた。
子どもの体調不良は突然なもの。
私も母の楽しい休暇をそれでいくつもオシャカにしたらしいし、因果が巡っただけ。
(少し強がりだけど。)
発表会に申し込んだ時から、もしかして出られないかもと私は内心覚悟していた。
なら、
出られなくなるかもしれないもののために
なぜ1か月頑張れたのか。
それは発表会で演奏するというのが、
私にとっては頑張った結果得られるものの、 数ある側面のうちの一つでしかないから。
私は発表会に向けて頑張っているときの
研ぎ澄まされていく感じが好きなんだと思う。
不甲斐なく思ったり、プロの演奏を聴いて落ち込んだりすることも、全て受け止めて収斂させる。
あと、できないことを知るというのは、
知らない世界の端っこに触れられていることでもあるから、興奮するのもある。
「うっそこんなにムズいのうっひゃー!」
となる。
楽しいというのは、ラクというのとはちょっと違う。
長々と書いたけれど、
これからもピアノと長い付き合いをしていきそうだ。
今年も実り多い一年でした。
次回に期待!
初詣で念入りにお願いしておこう…