100. Digital Twins、IoT ソリューション開発 ~ Healthcare シナリオ ~
はじめに
この定期購読マガジンを始めてから、丸二年たちました。
その間、特に IoT はほぼ当たり前にやるものになりつつあり、関連サービス等も成熟したようで、特に目新しいメジャーアップデートはありませんでした。
この定期購読マガジンも、幅広く、ちょっとでも関係しそうな技術ネタの深堀を最近はやっていましたが、二年も経過したことだし、そろそろ、Digital Twins、IoT のソリューション構築のウォークスルー的な記事連載を始めようかなと思っている次第なので、お付き合いくださいませ。
開発する Healthcare シナリオ概要
対象は、ずばり、これ。
健康寿命に関わる取り組み「軽井沢健診」をサポート | 東陽テクニカ | “はかる”技術で未来を創る (toyo.co.jp)
認知症予防など、健康寿命を延ばすための取り組みが、軽井沢で実際に始まっているそうです。行政や信州大学さんも関わっている産官学のプロジェクトです。どうやら、Digital Twins Consortium の Healthcare のリファレンスプロジェクトにもなっているらしい。
歩行計測機器は既に開発導入済みで、健診を行う会場で定期的に地域の老人達の歩行を計測し、Windows PC にデータを転送して保持しているとのこと。
健康寿命を延ばしていくことはとても重要なことであり、転んで骨折して寝たきりになると頭が明瞭な高齢者でも、あっという間に認知症になるという研究結果もあるので、継続的な歩行状況の計測は重要らしい。
ということで、このシリーズでは、
歩行計測機器の管理
対象者の計測と計測データの継続的な管理
計測する日程や補助者のスケジュール管理
医師(専門家)の、計測対象者のデータ閲覧・診断
対象者と医師の対応付け
…
といった項目を支援する、IoT・Digital Twins ソリューションの骨格を作っていきます。
IoT・Digital Twins は、Digital Transformation の基盤になるので、当然、出来上がったソリューションは、健康寿命を延ばすための Digital Transformation の基盤にもなる。
開発方法概要
要件定義やアーキテクチャ設計は、
で解説している、Shlaer-Mellor 法を、私のこれまでの知識と体験をベースに、哲学や数学で再定義した概念モデリングで行います。
概念モデリングにより、この Healthcare 案件の開発に必要なドメイン群の洗い出しと概念モデルを作成し、
で解説している、”変換による実装”を駆使して、Azure IoT Hub や Azure Digital Twins、Azure Data Explorer、その他で実際に動く、ソフトウェア成果物を自動生成していきます。
この工程では、二年前に開発済み、かつ、Github で公開しているツール群
を使うことにします。これらのツールは、https://xtuml.org からフリーでダウンロードできて使える、Shlaer-Mellor法(xtUML)用のモデリングツールの BridgePoint で概念モデルを作ると、そのモデルデータから変換による実装で、Azure Service 上で必要なソフトウェア成果物を生成できるようになっています。
これらのツールは、2022年年末からメンテナンスレスなのと、BridgePoint もバージョンアップされていたりするので、この連載では、まず、これらのツールのアップデートから始めることにします。
なにしろ、”変換による実装”では、ソリューションの開発対象の要件とは一切関係なく、独立・並行して、実装設計ができるので、この流れで問題なしです。前述の歩行計測要件は、既に二年前に BridgePoint で概念モデルで記述しているので、自動変換環境が整い次第、そのモデルをソフトウェア成果物に変換すれば OK。要件的に問題があれば、モデルを見直して再生成すればよいだけのこと。
開発ステップ
作業を進めていく過程で、ある特定の技術セットを深堀したり、寄り道したりすることがありそうですが、今考えているステップは、以下の通り。
github 上の開発ツール群の更新
開発環境のリファイン
NuGet パッケージの依存ライブラリ更新
BridgePoint の最新 OOA of OOA への対応
Azrure サービス群の更新への対応
ドメイン分割の見直し
アプリケーションモデルの見直し
計測機器と Azure IoT Hub の接続
Azure IoT Hub 設定
計測機器接続用ソースコード開発
変換による実装
DTDL 生成→ Azure Digital Twins の Twin Model 定義
関連する Azure Functions プロジェクト生成
セットアップ
最後に総括
最後に
こんな感じで以降の連載を考えています。
今後も、ネット上にある、あるいは、ChatGPT 辺りに聞けば出てくるような情報は無料、出てこないような高度なネタは、有料パート、で進めていくので、隅々まで知りたい人は、定期購読よろしくね。
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