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"アンの幸福" モンゴメリ

前回から早速、赤毛のアンシリーズ5作目の感想です。
面白くて一気読み。5日くらいで読み終わりました!

5作目は、アンの話に戻ります。サマーサイド高校の校長になったアンの三年間を、婚約者であるギルバートに綴った手紙をベースに物語が進行します。その手紙が毎回秀逸!笑

これまでとは一風変わった形で物語が進んでいくのですが、全然読みづらいことはなく、すらすら読めます。

ざっくり、大まかなあらすじとして、新天地で初めて校長に就任したということで、もちろん順風満帆に行くわけはないです。
(※赤毛のアンに関してはネタバレしててもそれに至る過程が面白くて問題もないと思うので書きますが、まっさらな状態で読みたいという人は下記は読まないでください!)

町の権力者一家に嫌がらせをされたり、人間嫌いでかなり変わり者の副校長に嫌われたり、隣家の小さな女の子が精神的な虐待まがいを受けていて、それを救おうと奮闘したり、うまくいっていないカップルの結婚の手助けをしたり。

大体はさすがのアンの持ち前の機転や人柄の良さで、全部うまくいきます。

でも一つ、アンでも全然うまくいかなくて、個人的に笑ってしまったエピソードがあるので今回はそれを簡単に書こう。笑

アンは、アンのことを慕っているヘイゼルという女の子の相談にのります。内容は、恋人であるテリーのことがもう好きじゃなくなってしまったということ。でももう結婚の話まで出ているし、そんなことをテリーに伝えたらテリーがショックで死んでしまうとヘイゼルは考え、伝えられずにいます。
そこでヘイゼルは、

「あなたからテリーに話していただけたら、あたしの気持ちをテリーに話していただけないかしら…テリーはあなたのことを素晴らしい人だと思っているのよ。あなたのいう通りになります。」

と、アンの方からテリーにもう冷めたということを伝えてくれないかと持ちかけます。それはヘイゼル自身から伝えなくちゃいけない、とアンは断りますが、断り切れずに引き受けてしまいます。
で、テリーに伝えたらテリーの方も、自分もヘイゼルのことは一時的に月の光に浮かされていただけだ、と言うので、これで一件落着。

かと思いきや、数日後怒り狂ったヘイゼルがアンのもとに怒鳴り込みます。
要は、アンがなぜテリーににそんなことを伝えたのか、と言うことに怒っているらしい。は?

アン「あなたはテリーのことを愛していないし、結婚できないと、あたしに仰ったじゃないの」
ヘイゼル「あら、それは一時的な気分のせいだったんでしょうよ。まさか、あなたが本気に取るとは思わなかったわ。あたし、あなたなら芸術的気分というものを理解できると思ったのよ」
ここから、ヘイゼルの暴言の応酬です。

「ああ、年のせいでそんなことをするというのなら、若い人たちの幸福を嫉んで、それを台無しにしようと決心するなんて…あたしは決して歳だけはとりたくないわ」
「あなたなんかに口もきくもんですか!ああ、あなたが何もかも台無しにする前には、テリーとあたしはそりゃあ幸福だったのに!(中略)ああ、あなたを憎んでいいのか、憐れんでいいのかわからないわ!ああ、よくもあたしをこんな目に合わせたわね…あたしがあなたを愛していたのに…あんなに信頼していたのに…あんなに信じていたのに!」

アンは大人の冷静さでヘイゼルに帰宅を命じ、自分にこう言い聞かせます。

「ヘイゼルのうわべだけのお前への憧れを真に受けて喜んだことを認めなさい。崇拝されるのはいい気持ちだと思ったことを認めなさい。自分が救世主ででもあるような気がして、当人たちは少しも救われたいと願ってもいないのに、人々を愚かな行為から救い出そうとしたことを認めなさい」

最後には、ヘイゼルからアン宛に届いた怒りの手紙で、締めくくられました。この手紙も傑作。これは原作を読んでみてください。

めちゃくちゃアンかわいそうw他人の恋愛には手を出すなという教訓ですね。

今回は面白話だけを取り上げましたが、個人的には隣の家のエリザベスという女の子をアンが救い出すお話が好きです。心がジーンとした。

次はシリーズ6作目です!楽しみ〜✨
また感想書きますね。

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