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アンチワーク哲学【ホモ・ネーモ】

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「労働なき世界」を実現するため「アンチワーク哲学」を紹介するマガジン。なぜ、誰1人労働しない世界が可能なのか? を徹底的に考察しています。
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2023年8月の記事一覧

アナキストがベーシック・インカムを主張するのはどういうわけか?

アナキストがベーシック・インカムを主張するのはどういうわけか?

アナキストであるデヴィッド・グレーバーは、著書『ブルシット・ジョブ』の中で、ブルシット・ジョブを撲滅するための手法としてベーシック・インカムを提案した。

ベーシック・インカムとは、いわば福祉国家の究極形態だ。全国民に対して一定額の金を配り続けることで生活を保障するのだから。絶対的な国家が国民に恵みをもたらし支配する構造、と捉えることは、さほどネガティブな見方でもあるまい。

しかし、ここで疑問が

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鷲田清一『だれのための仕事 労働vs余暇を超えて』を読んで

鷲田清一『だれのための仕事 労働vs余暇を超えて』を読んで

自分と似たような主張を発見したときは、複雑な感情が込み上げてくる。

特にその主張が、自分独自の考察であると確信していた場合には、自分だけの秘密基地に誰かが土足で上がり込んできたような、そういう感覚を覚える。

それでもなお、自分の考えが第三者によって裏付けられたという心強さを感じられるし、自分の考えとの微妙な相違点に気づき自分の独自性に対する確信を強める結果に着地することもある。

要するに、自

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中山元『労働の思想史』を読んで

中山元『労働の思想史』を読んで


■この本を読むきっかけ教養の幅広さ至上主義(もうちょっといい名前がつけられそうだが、まぁとりあえずこう呼ばせてほしい)みたいなものが、近ごろ自称インテリ界隈の中で跋扈している気がする。僕はこういうマウント合戦には極力参加しないつもりでいたのだが、知らず知らずのうちに参加していたらしい。最近、そのことに気付かされた。

僕は「労働」というテーマについて本を書いたし、次もこのテーマをさらに発展させて

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教育サービスとは情報商材である

教育サービスとは情報商材である

この情報、衝撃的だった。

1971年には18歳以下の子ども1人あたりの教育費は年間2.4万円だったのが、いまや37.1万円である。物価を考慮に入れていないとは言え、1971年から物価は2~3割程度しか上昇していないことを踏まえると、やはり異常な数値である。

そして18歳を過ぎた後の、大学の学費。これも1971年ごろから比べると5倍くらいになっているらしい。つまり、この50年で、日本人が教育に費

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