見出し画像

「麒麟がくる」を光秀目線で眺めてみて思うこと

たいてい、人は自分から見える世界の中で生きている。どう言うことかと言うと。

自分の経験したこと、環境などから影響を受けながら価値観が作られ、その価値観を通して世界を見ている。
自分なりの正義や正しさなどが、そこにはある。

映画やドラマ、小説、マンガ…
それらの中でも、自然と主人公の目線に重ねて、物語の中の世界を体験しているのだと思う。


でも、逆側の相手視点からの世界の見え方を知ることで、色々と気づかされたり、世界の捉え方がガラリと変わって見えてくること、違った質感で感じられることがある。それを知った時、なんとも言えない感覚になる。

・・・・・・・

ここ最近で、パッと思いつくのは。
NHK大河ドラマ「麒麟がくる」。
天下統一を目指しながらも、あと一歩のところで及ばず夢破れた織田信長。
信長の武将としての生き様に魅せられる人は多い。
そして、その夢を打ち砕いた明智光秀は、長い歴史の中で、反逆者であり憎き敵として語られてきた。
でも、「麒麟がくる」を見ていると、十兵衛様(光秀)にも正義があったのだと感じる。
十兵衛様の視点を通して見ると、これまで信長サイドから見てきた世界とは全く違う見え方として世界が映る。

そして、もう一つ、漫画 / アニメ「進撃の巨人」。
作者の諫山創さん、マジでもう天才か!って思う。
ストーリーは、数百年、巨人の侵入を防ぐための「壁」の中で暮らしてきた、少年エレンの目線を通して描かれている。
が、ある日、巨人が…人を食らう巨人が遂に現れる。
壁は破られ、巨人の侵入を防ぐことができず、街は破壊され、人は食われる…そしてエレンのお母さんも。壮絶な地獄絵図。
この時のエレンの絶望感、悲しみが、彼の復讐心を生み「いつか巨人を駆逐する!」と決心させる。
だから、巨人は悪であり、駆逐されるべき当然の存在であり…
と、物語は進んでいくが…
最後の最後のシーズンで、今度は逆の「巨人サイド」からの物語が描かれる。
なぜ巨人になったのか?なぜエレン達が暮らす街を、人を、襲うことになったのか?
そちら側からの正義を通して見ると、エレン達の存在は脅威であり、憎むべき相手になる。
…凄すぎる……
脳が揺さぶられまくる。


向こう側から見える世界。
日常でも、意識しないと、なかなかそれを知ることは難しいと思っている。

・・・・・・・

そして最近、妹から見える世界を知ったことで驚愕したことがある。

私と妹は、仲の良い姉妹だと思う。昔はよく二人で、旅行などもした。
だけど、最近になって、妹がこんなことを言った。

海外旅行に行くとさ。現地では、ずーっと心配しっぱなしなんだよね。
予約していた時間に間に合うか?
道に迷わず、目的地にたどり着けるか?
道中、私を見失わないか?
体調を崩さないか(私も含め)?

だから、帰国して成田空港に降り立って初めて安心できて、ようやく旅を振り返って「あぁ、楽しかった」って、その時に思えるんだよね。

と。
えーー!何それ?!?!
そんな風に思っていたことにも驚いたし、不安を抱えながら旅中過ごしているって、辛すぎるでしょー。か、可哀想…と思ってしまった。


だけど、ここで「妹側」からの視点で考えてみることにしたら…
全くイメージしてこなかった事実が見えてきた。
妹を、そう感じさせていたのは、私にも大いに原因があったのだと。

私は旅に出ると、たがが外れてしまう。
見るもの、感じるもの全てが新鮮で、刺激的で、どっぷりとその中に浸かってしまう。
ドラえもんじゃないけど、地上から3mmくらい浮いてるような感覚で、とにかくフワフワしてて、プチトランス状態になっている…かもしれない。

だから、カメラのシャッターを夢中で切っているうちに、いつの間にかメインストリートから外れて、妹とはぐれてしまうこともある。
妹からすると、不安で仕方なかっただろう。

ちょっとオシャレなレストランに行く直前に、波打ち際ではしゃいでたら、突然ザッバーーンと押し寄せた波に飲まれ、ずぶ濡れになったこともある。
妹からすると、そんなずぶ濡れな姉を引き連れて、レストランに入っていくことは、大層恥ずかしかっただろう。

イタリアで道に迷いかけた時に、ひとけのない路地裏で、タトゥーがバッキバキに入っている強面の兄ちゃんに、私が呑気に道を尋ねに話しかけに行った時も。
横にいて、何をされるか、どこに連れて行かれるか…と気が気じゃなかったらしい。

…他にも、他にも。
妹から見える世界は、そんな感じなのだろう。

それに気づいた時、本当に心から申し訳なくなった。
もともと、人を気遣う、繊細なタイプの妹なのだから、私は、もっと配慮してあげるべきだったんだ。


妹は笑いながら話してくれたけど、これからはもっと「向こうから見えている世界」を意識的に知ること、見ることも大切にしたいなぁ、と思うのです。

この記事が参加している募集

#最近の学び

181,438件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?