悪を全然憎んでない

ベイビードライバーという映画を観た。
映画好きがこぞってオススメしてくる映画だ。
さぞかし面白いのだろうと期待してみたが、僕はこの映画にイマイチ乗ることができなかった。
この映画の主人公は強盗の逃亡を手助けするドライバー。音楽が好きな主人公はいつもイヤホンでお気に入りの音楽を聴いている。その音楽が強盗やカーチェイスや銃撃戦と絶妙にリンクして観るものに快感を与える。
褒める人の気持ちもよくわかる。
だけど僕はこの映画を楽しいと思えなかった。
なんだかそれが悔しくて僕がなぜこの映画を楽しいと思えなかったのかをじっくり考えてみた。その結果、僕は犯罪者が主人公の映画が苦手だということに気づいた。
ここまで聞くと「正義感が強いんだね」と思う人もいるかもしれない。僕も最初はそう思った。しかしよくよく考えてみるとそれは全く違っていて、僕が憎んでいるのは「悪」ではなく「悪をかっこいいと思う価値観」だった。
中学生が不良に憧れてしまう感じ。あの感じが嫌いすぎるのだ。悪を憎んでいるのではなく「3年の田坂先輩って小6からタバコ吸ってるらしいぜ。やばくね?」と目を輝かせながら言っていたアイツになりたくないのだ。アイツはとっくに就職して家族を作って、僕よりはるかにまっとうな人生を歩んでいるというのに。
20年たった今でも高校の友達が下校中にいった「極道系の人って普通にしてたら優しいよな」という言葉を思い出しては頭の中でボロクソに言い負かしている。脳内で友達を20年間罵り続けるなんて正義感が強いどころかめちゃめちゃ嫌なやつだ。それでもやめられない。かといって良い行いをしているわけでもなく、ただただこの「悪をかっこいいと思いたくない」というこだわりのせいで、時間をとられ、楽しめる物を狭めている。

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