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キャラが立ってるからユニバースを結合できる『スパイダーマン ノーウェイホーム』

※ネタバレありです

僕はMCUを全部観てないんだが、これには『アベンジャーズ エンドゲーム』で重要な役割を果たしたドクター・ストレンジが出てくる。あと、「マルチバース」という概念で、過去のスパイダーマンたちが倒した敵がまた出てくる。ウィリアム・デフォーが出てきたりしてそれはそれで豪華だなと。

しかしドクター・ストレンジは『ドラえもん』映画におけるタケコプターやどこでもドア、四次元ポケットと同様、オールマイティに何でもできてしまって主人公が切り抜けるべき障害を消し去ってしまう。だから『ドラえもん』映画で必ずタケコプターが電池切れし、四次元ポケットが故障するように、途中でストーリーから消えることになる。

それに加えて、前回レビューを書いた『99.9 -刑事専門弁護士-』でもそうなのだが、映画館に役者やキャラクターに会いに来るという要素をもたせて興行成績につなげるという感じで、キャラクターの顔見世興行のようになっている。劇というのはそういう要素があることは確かだけどね。MCUに馴染みのない観客は少し勉強していったほうがいい。

あと、そういうキャラクターをたくさん出せる仕掛けとして「マルチバース」というのが設定として優れていて、ストーリー的になんの齟齬もなく、過去にピーター・パーカーを演じた役者は全員出てくるし、過去作の悪役も出てくるし、もちろんMCU作品なのでドクター・ストレンジもウォンも出てくる。

『男はつらいよ』など言うまでもなく、キャラクターを楽しむ映画ということで、どんどんMCUでのキャラの交流は増えていくんだろう。逆に言うとキャラの立っていない世界観をかけ合わせてもしょうがないということか。

作品のテーマは「知られすぎることの不幸」というようなSNS時代にすごく身近な内容で、ドクター・ストレンジの魔術でピーター・パーカーがスパイダーマンであることを全世界の人から忘れられようとしたところから物語が始まる。公的な人格とプライベートな人格の差がストレスになることは人間の常だけど、「知られない」「知られすぎ」ということの塩梅がどちらかに大きく触れすぎてしまうことの寂しさみたいなものを描いている。

MCUのすべてを観ていなくても楽しめる映画だけど、スパイダーマンシリーズは全て観ていった方がさらに楽しめると思う。あと、配信で過去作の復習が簡単にできるという環境まで考慮にいれてプロデューサーが動いてる感はどんどん強まっている。「知らなかったら配信でチェックしてね」という。それなら、いつかは東映の特撮スパイダーマン「マーベラー、チェンジレオパルドン」もMCU入りをお願いしたいところだ。

MCU三部作の1作目↓


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