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【詩】空に知られぬ村時雨

愛人の葬式です
押し込めるように曇り空です
 
青空からは
天使の羽根色の光を帯びて
チョココロネのように
渦巻きながら降りてきて、
白土地さらつちからは
御簾ぎょれんの砂塵を
アリジゴクのように
噴き出しながら昇っていって、
天と地は、
ゆびきりげんまんしました
 
森がうまれたのに
意志があるように見えないのを
薄情に思ってしまいます
 
時雨が降りました
なにかを隠すように降りました
洗われた空に
星の居場所などありませんでした

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