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09.アメリカンヴィレッジの 今後の行方

 北谷町が主催したコンペティション。美浜地区内(アメリカンヴィレッジ)の周辺建物やゆとりある快適な歩道空間等と調和した、北谷町独自の雰囲気を活用した都市景観を創出するもの。「遊・健康・憩いが融合する交流点」をテーマに掲げるものであった。北谷町はここ数年で急成長を遂げた、沖縄の中でも最も熱気のある街へと変貌した場所である。そしてその中心はいうまでもなく美浜地区(アメリカンヴィレッジ)である。しかしその開発の副作用ともいえる問題も少なからず現れてきた。

 日本政府と米国政府との取り決めによって戦後60年経った今でも沖縄には、日本全体における米国専用基地の75%が存在し、沖縄本島の20%を占めている。しかし北谷町はこの逆境を逆手に取り、持ち前の大らかな気質と大交易時代から育まれた精神で、基地という「負」の遺産をもプラスに転じてきた。そして誕生したのが現在の活気ある美浜地区(アメリカンヴィレッジ)である。

 残念な事に結局我々の提案は行政側に伝わらなかった。アメリカンヴィレッジがこれからも更なる発展を遂げ、次のステージに立つには、今人類が抱えている問題、自然との共存・共栄をテーマとした要素を取り入れる事が大事であると考えた提案であった。
「サスティナブル・ディベロップ=持続可能な開発」将来の環境や次世代に利益を損なわず、いい環境で次世代につなげていく。それをキーワードに自然界に存在する森羅万象を街に具現化する。街を訪れた人たちが自然を体感し、自然との対話を通じ、心が揺さぶられ我々が住んでいる地球をもっと愛しみ、大事にしていく精神を少しでも感じ取る。そのような仕掛けを提案したのだが・・・。

 審査の結果、コンペに採用された作品をみてみると、それは沖縄のどこの街にでもある風景の再現にすぎないものとしか思えないものであった。未来に向け北谷町らしい景観創出、魅力の演出等が重要な目標であり課題のコンペであったはずだが・・・。
 来年度の工事着工になると思うのだが、わたしはその作品がそのまま作られていくことに、一抹の不安と危惧を抱かずにはいられない。

2006.12.18  主宰 門口安則

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