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スパイシーモスチーズバーガーを自作してハンバーガーの要素について考える

やあ、みんな。ケイチェルおじだよ。

今週の再現料理コーナーはモスバーガー。なかでもおいたんが一番好きなスパイシーモスチーズバーガーだ。

モスバーガーについては、これまでにナンドッグとスパイシーチリドッグは再現を試みたことがある。

今日はいよいよモスの本丸とも言えるモスバーガーに挑むことにするよ。たっぷりミートソースが魅力の、唯一無二のバーガーだけど、綺麗に食べるのがほぼ不可能で、初デートで女性には頼みにくいバーガーNo.1でもあるな。

モスについてのおいたんの思い入れは前のナンドッグの記事に詳しく書いたから、未読の方はそちらをぜひお読み頂きたい。今回は別の角度からハンバーガーについて語ってみよう。

モスのハンバーガーと言えば、バンズがヤマザキパンっていうのが、ちょっとした意外性もあって有名な話だよね。モスって指定農家の野菜を使ってることを売りにしてたり、ヘルシーでオーガニックなイメージすらあるのに、バンズが山パン?って。(*マックのバンズと同様、一部地域では違います。九州ではキムラヤ、沖縄では具志堅パンらしいよ)

おいたんはこの話になるとどうしても『美味しんぼ』第9巻の「ハンバーガーの要素」っていうエピソードを思い出さずにはいられない。YouTube公式チャンネルでもアニメ版が視聴可能です。

↑動画の1:15:26からが「ハンバーガーの要素」

あらすじ
海原雄山が主催する美食倶楽部で将来を嘱望されていた宇田という板前が、実はハンバーガーショップを開くのが夢だったと言って、美食倶楽部を辞めてハンバーガーショップをオープンさせる(この始まりからしてすでにヤバい)。開店前にハンバーガーを試食するために呼ばれた山岡さんとクリ子ちゃん。
熟成させた赤身肉、有機栽培の玉ねぎとトマトを使用した試作バーガーを食べる山岡さんだが、一口齧って浮かない顔をする。するとそこに入り口を開けて入ってくる巨大な男。海原雄山である。美食倶楽部を辞めてまで開いた店のハンバーガーを食べにきたと言うのだ。おそるおそる試作のバーガーを差し出す宇田。しかし雄山は一口齧るなり、そのバーガーをポイと放り投げ、「こんな物は売り物にならんっ!」と言って店を出ていってしまう。
その後、そのバーガーを試しにキッチンカーで路上販売をしてみることに。「美味しいと思ったら50円を払って、気に入らなければ食べかけを返して下さい」と言ってハンバーガーを売るが、どの客も一口食べるなり「返すよこれ」「美味しくなーい」と、ことごとく返却の山(50円でも食べたくないハンバーガーってどんだけ不味いバーガーよ?)。事ここに至って宇田も「最高の材料を使ってるのに、何か違うと感じていた」と漏らす(元美食倶楽部のホープとは思えない味音痴ぶり)。
「寿司でも食うか」と山岡さん。宇田を連れて、馴染みの寿司屋で4種類のマグロ寿司を握ってもらうことに。
①冷凍マグロの赤身▶「場末の寿司屋のマグロの握りというやつだな」と言いつつ、パクパク食べる中松警部。
②一見すると先程と同じ冷凍マグロの赤身▶「ごはんが美味しい!一番目とは比べ物にならないくらい美味しい酢飯だわ!」とクリ子ちゃん。
③見事な大トロ▶「これはすごい!マグロの旨さと酢飯の美味しさ、これぞ寿司って感じ。大感激です」と宇田。
④一見すると先程の大トロと同じもの▶一同「すまねえ、お茶をもらいてえんだが」「酢飯が美味しくなかったのよ」「酢飯が弱いと大トロまで不味く思えてしまう」
ここで宇田は気づく。「そうか。私のハンバーガーは、パンが力不足でハンバーグの旨味を受け止めきれていなかったのか…」

要するに、「二級品のバンズと一級品のハンバーグを組み合わせたバーガーは、二級品どうしを組み合わせたものより遥かに劣る」という説。二級品どうしのもの(作中では「ワックバーガー」として登場)はむしろバランスが取れてそこそこ美味しく感じるらしい。

モスバーガーに話を戻そう。バンズが臭素酸カリウムを食パンに使ってることで有名な山パンってことは、どう考えても二級品よね(山岡さん曰く「精白しすぎた小麦粉を使ってる…味もないし栄養価も低い」)。ところがモスのハンバーガーはそこそこ美味しいし、世間の評判も悪くない。てことは、ハンバーグも二級品でバランスが取れてるってことか!?

実はおいたん、以前の記事で書いたことがあるけど、モスバーガーのハンバーグって、フニャっとして薩摩揚げみたいだなあといつも思ってたんよ。そしたら再現料理研究家の稲垣飛鳥さんも全く同じことを仰ってて驚いた。どうやら、モスバーガーの創業者が「日本人に合うように日本のハンバーグをベースにした」らしい。1970年頃の話だから、その当時のふにゃっとしたハンバーグのことだろうね。ネットを見てみたら、このつなぎたっぷりのハンバーグに違和感を覚えて、「モスバーガーを美味しいと思ったことがない。マックのほうがマシ」という意見も多く見られた。

そんなわけで、モスバーガーの再現レシピは基本的にこちらの稲垣飛鳥さんのものを参考にします。

作ってみると分かるけど、あの味を出すにはやはり二級品感を出すのがポイントだと思う。

①バンズ作り

モスバーガーのバンズはちょっと前にリニューアルされたらしい。近年の健康志向の高まりと、コロナ禍での持ち帰り需要の高まりを受けて、全粒粉入りのものになったそうだ。とりあえずレシピはTOMIZのものをベースにしてみよう。

材料はこちら。

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強力粉110gに対して全粒粉15g。モスによれば全粒粉は12%配合らしいからね。しかし、余計な添加物は入ってないし、牛乳と卵多めでブリオッシュみたいな生地だ。なんか二級品とは言えないバンズができそう。

かなりベチョベチョ生地で、まとめるのにちょっと苦労しました。

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こたつ発酵。

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分割・ベンチタイム・成形・二次発酵・焼成のいつもの流れです。

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これでバンズはできあがり。ちょっと焼き色がつきすぎたな。全卵じゃなくて卵白と牛乳でドリュールすればよかったか。

②パテ作り

モスバーガーのパテは、おいたんはてっきり牛豚合挽だと思ってたけど、2013年頃から牛のみになったらしい。そう言えば2013年以降にモスバーガー食べたことあったっけな?全然思い出せない。今回は合挽肉しかないので、牛豚で作ります。

稲垣飛鳥さんのレシピを参考に、挽肉・パン粉・卵白・ビーフコンソメ(ダシダ)・塩・砂糖・溶かしバターの代わりにラード。実際のモスのパテは他にも添加物たっぷりらしいよ(それが悪いとは言ってない)。

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これを捏ねて、セルクルで成形。

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すこし伸ばし広げて、冷凍させます。

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③ミートソース作り

昨夜作ったミートソースは香味野菜を30分蒸し焼きにして、コンソメなど旨味調味料を使ってない純粋なミートソース。このままだと一級品のミートソースになってしまうから、余計な物をたくさん入れよう。

砂糖たっぷり、とろみ付けの小麦粉、バター、チキンコンソメを追加。

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モスのやつはカラメル色素だのアミノ酸だのいろいろ入ってます。

④オニポテ作り

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今回は暮らしニスタっていうサイトのレシピで作ったらオニオンリングも上手くできた。

⑤スパイシーモスチーズバーガーの組み立て

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まずは片面だけトーストしたヒールバンズにマスタードを塗ります。

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パテを焼いてその上にオン。

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マヨソースを乗せます。マヨソースはマヨネーズ・生クリーム・砂糖・レモン汁で作った。

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スライスチーズをかぶせる。

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刻み玉ねぎもハラペーニョをトッピング。

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ミートソース盛り盛り。

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トマトを優しく乗せる。

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クラウンバンズを被せて、バーガー袋に入れる。この袋に入れるのがモスのスタッフには一番難しい作業なんだって。

ドリンクはゼロコーラ、オニポテのセットができあがり。

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⑥実食

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バンズが思ったより縦に膨らんで、ちょっと形が良くないけど、めちゃ美味いわ。ふにゃっとしたパンのバンズじゃなくて、しっかりした歯ごたえのあるバンズ。山パンのバンズというより、本格ハンバーガーショップのバンズだな。ビッグマックを再現したときと同じく、一級品のバンズができてしまった。そしてふにゃっとしたパテと濃い味のミートソースはなかなかモスに近い。これはあれだ。クリ子ちゃんが「酢飯が美味しい!」と言っていた2番めのパターンのやつだ。ネタが二級品・シャリが一級品の場合は不味くなってなかったどころか、1番目のやつよりずっと美味しそうに食べてたもんね。そう考えると、おいたんが作ったのはモスバーガーを遥かに超えるモスバーガーと言えるかもしれない。

ま、モスについて散々ディスったように聞こえるかもしれないけど、おいたんはマックよりモスの方が好きよ。なんと言ってもハラペーニョを使ったスパイシーバーガーとスパーシードッグがあるもん。あの薩摩揚げみたいなフニャッとしたパテも、山パンのバンズにはちょうどいいのかもしれない。なんだかんだで絶妙なバランスの上に成り立ってるバーガーのように思えてきた。

おわり。

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